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年を数えることが出来ない程の大昔。
ここは砂の地で砂以外に何も無かった。
白金の満月に渦が映る夜に一匹のカエルが銀の糸を伝って降りてきた。カエルはここに居を構えると決め、水を貯める為に大きな甕を拵えた。すると甕の中から水が渾渾と湧き出し砂の地にとても大きな水溜を造った。カエルは喜び水の神に感謝の祈りを捧げ毎日を暮らしていた。
ある日水溜まりだけではあまりにも寂しいと今度は渦の神に祈った。
甕の中に渦が浮かびタヌキがぞろぞろと湧き出してきた。カエルは携えていた渦の言葉をタヌキ達に与え、水溜まりを豊かにするようにと命じた。タヌキ達は水溜まりの周りに葦を植え沢山の魚を放した。水溜まりは生き物で豊かになり、カエルはそこを甕潟と名付けた。タヌキ達はそれからも数え切れない年月を働き続け甕潟を広げ、虫や鳥を呼び寄せ懸命に甕潟の為に働いた。カエルはその様子にとても満足していた。
渦祝の日、タヌキ達がカエルに頼み事をしに来た。私達は数える事が出来ない程の年月を働き歳もとりとても疲れた。今日は祝いの日だ。今までの褒美に甕に帰してくれと願った。しかしカエルはタヌキが居なくなると潟の面倒を見る事が出来なくなると困るので甕は無くなったと嘘をついた。
タヌキ達は怒りカエルを責め立てた。あまりの五月蠅さにカエルはタヌキ達から渦の言葉を取り上げてしまった。カエルの余りの仕打ちにタヌキ達は更に怒り狂い、腹を叩き、雷を起こし、大雨を呼んだ。タヌキ達は甕を探し求め信濃川や阿賀野川の土手や周りをあたり構わず掘り起こした為に大洪水になった。
洪水は彼方此方に大きな水溜まりを造り一番大きな水溜まりが鳥屋野潟となった。言葉を取り上げられ考える事が出来なくなったタヌキ達は手当たり次第に甕潟の生き物を食べ始めた。その所為で甕潟はどんどん荒れ果ててしまった。カエルは暴れるタヌキ達を葦舟に乗せ栗ノ木川に流してしまった。
潟の面倒を見るタヌキ達がいなくなり困り果てたカエルは渦の神ではなく波の神に願い、甕から新しいタヌキを呼び寄せた。新しいタヌキ達は聞き分けが良くカエルの言うことをよく聞いた。それはカエルが新しいタヌキ達には渦の言葉を与えず揺れる波の言葉を与えたからだ。
カエルに追い払われた古いタヌキ達は鳥屋野潟に流れ着いた。すると彼方此方に青白い青鷺火が浮かび上がり潟の中から小山ほどもある大亀が水の中から現れた。大亀は十間もある大口でタヌキ達を飲み込み始めた。舟を懸命に漕ぎ逃げまどうタヌキ達の前に大渦が現れた。
大渦の中から渦女が立ち顕れ大亀を月まで渦の力で吹き飛ばした。そして大亀は月の影となり月亀となった。
タヌキ達を見た渦女は「なんと哀れなタヌキ達でしょう。私は渦の神に仕える者。渦の言葉を再び与えることは出来ませんが救ってあげましょう」と渦女はタヌキ達に正しい渦を見つけなさい・・・・
以下欠落




