第三十二話 強引な行動
エイプリルフールやってねぇぇぇーー!!
それはそうと、これから時間や場面が変わるときは「✦✦✦」を入力します。画面によってきれいに分けることができないと分かったので、これからはそうします。
「どうしようか」
思わず呟いてしまう。
本当に難しい。
パズズが敵となれば、冥獄府が機能していない可能性がある。
最悪の場合、ネルガル達は既に始末されてしまったのかも知れない。
それほどまでに、パズズは強い。
「あまりそうは考えられないが……」
「ライム様……、さっきのは一体……?」
独り言はここまでだ。
少なくとも神界に行くという目的自体は変わっていない。
贅沢も言ってられない。
パスを呼びつけたほうがいいだろう。
「一度、法廷に戻る。パスも連れて行く」
「最善手でしょうね」
テミスも賛同する。
テミスは実際にパズズと会ったことは無いが、話には聞いている。
滅びることのない悪を体現した存在。
正義を捨てた唯一にして、絶対の悪。
【私はもう少し行くのに時間がかかる】
法廷に行こうとしたその時、脳内に直接パスの声が響く。
意思に魔力を乗せて遠くからでも声を届けることができる。
さらにその意思を魔力で覆えば傍受を阻害することもできる。
神々のあいだでは、思念伝達と呼ばれている技術だ。
サリアやルディはそわそわと周りを見ている。
慣れていないものからすれば少し気分が悪くなったりするようだが、どうやら気分が悪いというよりは困惑しているようだ。
「ら、ライム様? さっきのは……?」
「あまり気にしなくていい」
思わず対応が雑になってしまう。
現状、直ぐにに動けて最もつよいのがヒュパスだったが、しばらくは動けないと判明した。
このまま行動を起こさなければ必ず何かが起こる。
仕方ないが、無理にでも動く必要がある。
「原初の聖廟に行くぞ」
パズズの存在を知っているテミスだけでなく、サリアたちまで驚く。
まあ、当然だ。今さっきまで法廷に戻ると言っていたのに、急に原初の聖廟に行くと言い出したのだから。
急な方向転換だが仕方ない。
少なくとも、動かなければ状況は変わらない。
何か行動を起こすべきだ。
「ら、ライム様……、その……。申し上げにくいのですが……」
「どうした?」
サリアが恐る恐る話し始める。
「原初の聖廟の礼拝堂は聖女様か教皇様が同行しないと立ち入れない結界がありまして……」
「……」
それ、先に言ってくれないかな……。
まあ、そんなこと言っても仕方ない。それよりもこれからを考えるほうが大事だ。
「猶予はないな。やっぱり無理やりでも動く。まずは聖女と接触することが必要だな」
正直、教皇でもいいのだが……。あいつは人の話を聞いてくれそうにない。
「リア。聖女についての情報を集められるか?」
「任せて。もう始めている」
リアの肩には5センチほどまで小さくなった2頭身のリアが座っており、楽しそうに足をぶらぶらとさせている。
これはリアの“血分身”と言う技だ。
自分の血を使って自分を複製することができる。
基本的には3時間の活動限界があるのだが、血の使用量次第ではもっと伸ばせるらしい。
本体のように様々な技を使うことができるとても便利な技だ。
欠点としては、ミニネアにもある程度の自我があること。
欠点ではないように思えるが指示を聞いてくれない可能性があると考えたらいいだろう。
それに、ミニネアの性格は決まっておらず、ランダムらしい。そういう面でも完璧な技というわけじゃないのだ。
まあ、技を解除して消えることにはミニネアは嫌がることはないらしいので、心が痛むというほどではない。
それは救いだな。
そしてこの技は最近身につけた技らしく、欠点はあるが眷属であるコウモリやオオカミよりも便利らしい。
どうにか隙を見つけることができるといいが──
✦✦✦
3時間後。
リアが話し始めた。
「聖女は今、こことは少し離れた教会の最上階に居る。抜け穴もあるし、すぐにでも行くことができる」
「なんでそんなところに?」
リアは目を伏せる。情報を集めながら話していたようだ。少し考えている。
「教皇の指示で、部屋に押し入れられた感じらしい。警備がかなり固い。やっぱりすぐには行けない」
「どっちなんですか!?」
テミスでさえ思わず突っ込んでしまう。
まあ、情報を集めながらだし仕方ないと割り切ろう。
……まさかわざとじゃないよな!?
「教皇様がそんなことするなんて……」
「そんなことする人だったの……?」
教皇について知っているであろうサリアとルディは信じられないと言った様子だ。
それに対してエリスは──
「いいえ、あの顔はきっと悪者に違いありません!」
顔じゃワカラナイヨネ……。
まあ、否定する気にもなれない。今のところ、善人の要素はない。
「教皇がそうなった理由に心当たりがある奴はいるか?」
俺がそう問えば、頭のなかに声が響く。パスの声だ
【私が知っている】
そうしてパスが話し始める。
曰く、教皇ルキシトの妻、要するに聖女エミーの母は先代の聖女であり、8年前に謎の病で亡くなったらしい。
その病はどんな治療魔法も全く効かず、先代の聖女──ルーシアはそのまま命を落とした。
ルーシアが命を落とすまではまさに聖者という人物像であったルキシトはその日からかわり、エミーが聖女となることを全権力と能力を持って阻止しようとした。
だが、エミーは本物の天才だった。
どれだけ神聖魔法を学ぶことを制限しても、人脈と人望で教わり、ほかの神官が行っているのを真似し、ついに結界術まで会得した。
ギリシュ教国の結界もエミーが11歳の頃に張ったものであり、その行いも、民との接し方も、先代聖女に引けを取らないほどよいものであった。
だが、エミーがギリシュ教国の結界を張った頃から教皇ルキシトの行動はエスカレートしていき、今ではほぼ常に国で一番高い教会の最上階に監禁しているような状態らしい。
今回のパーティーはエミーがそこから抜け出して開催したものらしいのだ──
【私が知っているのはこんな感じ。それじゃあ】
それだけ言ってパスからの連絡は終わる。
そしてパスからの話が終わるなりエリスが立ち上がる。
「聞けば聞くほど理不尽な男ですね。一刻も早く聖女を連れ出しにいきましょう!」
「そうですね!」
「やってやろうじゃない!」
サリアとルディも便乗する。
まあ、正義感は悪いものじゃない。
そんなことを考えていたら、テミスが耳元で話してくる。
「先輩……、謎の病って……」
「お前もそこが気になったか……」
謎かどうかなんてどうでもいい。
問題は病であることだ。
なぜそれが問題かって?
パズズは病を司る邪神だからだ。
だが、そんなこと言ってられない。
「今すぐその教会に行く」
自体は一刻を争うのだ──
✦✦✦
キャラ紹介
ルキシト・ホーリア
略称:なし
種族:人間 性別:男
髪色:くすんだ緑
瞳色:深緑色 髪型:
身長:185cm 体重:68kg
年齢:49歳
一人称:私 二人称:あなた
好きな食べ物:トマト
嫌いな食べ物:熱いもの
ギリシュ教国の教皇であり、聖女エミーの父親。とても頭がいい。本当は■■■を■■ているが、■■の本当の■■に気■■、エミーを■■■うとしている。
〜裏話〜
ミニネアが見たもの。
血分身によって作られたミニネアは様々なところを見て回った。宿の中、下水道、家の中。
これはその中でも下水道に入ったミニネアの話だ──
✦✦✦
「まったく、なんで私がこんなことを!」
プンプンしながらミニネアは下水道を歩いていく。
本当ならずっとゴロゴロしていたかったが、本体のネアに言われては仕方ない。
渋々引き受けたのだが──
「なんでここなのよ! 臭いし汚いし!」
「チュウ」
「え?」
後ろを見る。ネズミが一匹。じっとミニネアを見つめている。
「きゃあああ!?」
ミニネアは必死に走って逃げる。
普通に飛べばいいし、ネズミ如き勝てるのにどうやらこのミニネアはかなり天然らしい。
「もうこんなの引き受けてやんないんだからー!!」
これからは行事を大切にします
最近知ったけど聖廟って教会とは全然違って木造で庵みたいな感じなんですね。
ルキシトの紹介忘れてた。
忘れ物が多すぎるな……




