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第三十一話 太陽と月



      今回はネルガル視点です



「じゃあ、僕たちは他の戦力を集めようか」


エアが提案する。

エアの見立てでは今の戦力では足りないと結論づけていた。


「……ほな、暇な奴から集めるか」

「ひ、暇って……。みんな結構忙しいよ?」

「比較的や」


事実、残っている戦力になりそうな神は限られる。その中でも安定した戦力になりそうな神は皆忙しい。


「それなら、ウトとシンはどうでしょうか?」

「いいねそれ! あの二人なら取り合ってくれそう!」


エアが楽しそうに笑う。まさに子供だ。

最高神がこんなのでいいのか不安になるくらいの。


「では、(わたくし)が繋げますわね」


イシュタルが一歩前に出る。

ウトとシンはそれぞれ太陽と月を司っている。自然を司るイシュタルとはある程度の関わりがあった。


ゴンッ、と音を立てながら門が現れる。

骨組みは直接地面から生えているかのような木だ。

さらにその木に色とりどりの花が巻き付いており、左上からは清水が流れている。

まるで、自然をその門にまとめたかのようだ。


「参りましょうか」




門の先には幻想的な別世界が広がっていた。

その名は““陽月宮(ようげつきゅう)””太陽と月を司る神がいる間だ。


ドーム状の空間。空を見上げれば、左側が昼、右側が夜で綺麗に分かれている。

昼になっている方は多少の雲がある晴れで、夜になっている方は星空が広がっている。


足元は薄い水で覆われており、水面が空を反射して輝いている。


そして、ドームの中央には2つの人影が。


昼側の方には、背の高い男が立っていた。

三十代ほどだろうか。

茶色の髪を七三分けにし、ショートボックスの髭。

同じく茶色の瞳孔には、昼の景色が映し出されていた。


夜側には、長い月白色の髪をたなびかせた少女が立っている。

銀色に淡く輝いている瞳孔はまるで月をそのまま映したかのようだ。


「お前たちから来たのか。こっちから行こうと思ってたんだが」

「嘘つかないでよおっさん。行くの渋ってたでしょ?」

「気のせいだ」


茶髪の男が抑揚のあまりない声で話す一方、少女の方は少し小馬鹿にしたような話し方だ。


だが、この2人もれっきとした神だ。


男の名前はウト。太陽を司る神だ。

少女の名前はシン。月を司る神だ。


「漫才はもうええわ。それより、ふざけてる場合とちゃうねん」

「現況を詳しく」


ネルガルが二人を止めると同時に、ウトにも真面目スイッチが少しだけ入ったらしい。


一方前に出たのはエレシュだった。


「えっと、正義(ラシュヌ)調和(ヴィシュヌ)が取られちゃって、今は戦える人を集めてるの」


ウトは少し考えるように顎に手を当てる。

シンも、左目を閉じて可愛らしく何かを考えている。


「ネルガルやエアだけでなくえーちゃんやいーちゃんがいるなら過剰戦力な気もするが……。ライムもいるんだろ?」

「おっさん、その呼び方やめな? 控えめに言ってキモいよ」


この呼び方はウトの絶対条件(マイルール)だ。

女の子には絶対に呼び捨てをしないという独自のルールをウトは持っている。


「ま、まあもうみんな慣れてるし、そこまで言う必要はないよ、シン」


エアがなだめる。


「シン、その通りだ」


ウトも野次を飛ばす。

シン本人は不服そうだ。


「わ、わかったよ……。それで、どこに行けばいいの?」


それが問題だった。

神同士でも、仕事量の多い少ないはある。

もっとも顕著なのは執行神だ。


執行神は大きく分けて神を裁くのと人を裁くのに分けられる。


ライムやテミスは神を裁く方に分類される。

だが、その仕事量には大きな違いがある。


神を裁くのはあまりない。当然だ、神への罰は殆どが一生涯にわたるものや死刑だからだ。


それに対して人を裁く方はいくつも刑が分けられる。そして、人数も多い。よって、そう簡単に仕事から抜け出すことはできない。


「ていうかさ、ネルガルは抜け出してきてよかったの?」


シンは尋ねる。

その言葉の節々には少しの不安が混じっていた。


「せやな。離れ過ぎかもしれんわ」


ネルガルも同じ考えだ。


今この場にいる神の脳裏に浮かんでいたのは、パズズだった。


パズズは冥獄府(タルタロス)の最下層に収監されている。だが、パズズが本気になればその程度抜け出すこともできる。


正直、今パズズが冥獄府(タルタロス)にいるのは本人の気分の面がだいぶ強い。

もし出ようとしたら、全力で阻止する必要がある。


「ほな、さっさと戻るで」


ネルガルは急に不安になってきた。


ありえないはずだが、もしパズズが冥獄府(タルタロス)から出ていたら……。


もしそうだった場合、ネルガル達や未だに仕事をしている神を除いたら戦力は執行(アヌ)をもったライムと、ヒュパスとテミスだけだ。


それだけでは、確実に負ける。

場合によっては、時間稼ぎすら許されない。

ヒュパスが万全の状態なら話は変わるかも知れないが、ヒュパスはパズズを冥獄府(タルタロス)に収監するための戦闘から極度に弱体化した。


少し急ぎで冥府(クル)へと空間を繋げる。

嫌な予感がした。


大昔からそうだった。ネルガルの勘はよく当たる。


大事(おおごと)になってへんかったらええんやが……」




シン

略称:なし

種族:神 性別:男

髪色:月白色

瞳色:銀色 髪型:ロング

身長:162cm 体重:50kg

年齢:遥か昔

一人称:(ボク) 二人称:(キミ)

ライムを呼ぶ時:ライム

好きな食べ物:卵(特に卵黄)

嫌いな食べ物:しょっぱいもの

 古い神の一人。月と影を司る。古いと言ってもネルガルやエレシュキガル、ヒュパスほどではない。


ウト

略称:なし

種族:神 性別:男

髪色:茶色

瞳色:茶色 髪型:七三分け

身長:193cm 体重:92kg

年齢:遥か昔

一人称:(おれ) 二人称:お前(おまえ)

ライムを呼ぶ時:ライム

好きな食べ物:サニーレタス

嫌いな食べ物:脂身の多いもの

 古い神の一人。太陽と光を司る。見た目では明らかにシンより年上だが、実は同い年。




〜裏話〜


ネルガル達が来るまでの陽月宮(ようげつきゅう)──


「ねえおっさん。(けむ)いって言ったよね?」


シンが不機嫌そうにウトを睨む。

視線の先には、たばこを吸っているウトがいた。


「なら離れればいいだろ」


対するウトも全く吸うのを止めようとしない。

それに、ウトの言うことは正論でもあった。


「そういう問題じゃない。見てるだけで咳込んでくるんだよ。僕の身体に影響が出たらどうすんのさ?」


シンは引かない。

そもそも、シンの言うことも正論だ。


それに対して、ウトはフッと笑う。


「お前の言いたいことはわかったが、これは身体に影響は出ない。中身はサニーレタスだからな」


明かされる衝撃の事実。

そう、ウトが吸っているのはたばこの中身をサニーレタスに変えたものだ。

ウトは、サニーレタスの煙を吸っている。


ウトはよくたばこも吸うが、特にストレスが溜まっておらずただ煙を吸いたいだけのときはよくサニーレタスの煙を吸っているのだ。


「……頭おかしいんじゃないの?」





        シンは男の娘です




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― 新着の感想 ―
サニーレタスの煙!?二度見してしまいました ついに登場したか…男の娘…刺さる人続出するでしょうね エアくん、可愛い!推してしまいそうだ…
2026/03/27 17:00 クライラク
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