CHAPTER3 PART7-5
何も言えなくなったあたしの頬を、帽子屋さんは優しく包む。
「……大丈夫。
時空と時空の狭間…それは、ワンダーランドの今が、あなたの世界の今ではないということです…。
きっとまた…会えますよ…」
正直、意味がわからなかった。
それに帽子屋さんのその言葉に、どれだけの信憑性があるのかはわからない。
でも、それでも…、信じて損はないはず。
「……ま、待ってる。
ずっとずっと待ってる…!」
それを聞いた帽子屋さんは、ニコッと笑った。
「さぁ、行きなさい」
あたしは、真っ直ぐ白うさぎさんの所に向かった。
白うさぎさんが準備をし終え、あたしが消えていこうとすると、
「アリス」
帽子屋さんに声を掛けられる。
「ルカ…」
「ルカ…?」
「私の…本当の名です」
(……!)
聞いた瞬間、どうしようもなく愛おしくなった。
「…、ルカ!愛してる!」
最後に、帽子屋さんの笑顔が見えた。
─────……………
「おわっ、もうこんなとこまで崩壊がきてる…。
なぁ…やっぱり、帽子屋はアリスと一緒にここから逃がした方がよかったんじゃねぇの?」
三月うさぎの疑問に、ヤマネが俯き答える。
「帽子屋の…使命…」
「使命?
あの…『ワンダーランドの最期を見る』とかいうやつ?
んなもん死んだら元も子も…」
「大丈夫だって三月うさぎ」
チェシャ猫が、ノホホンと笑う。
「もう白うさぎに準備はしてもらってるから、いつでも出られるし。
帽子屋の使命果たさないと、後悔が残るだろうし」
「でもさぁ…」
と、三月うさぎは続ける。
「本当にアリスのいるところに行けんのか?」
「たぶん、ね。
時間はズレるかもだけど…」
チェシャは、チラッとジョーカーを見た。
「もう、少しだな…」
間もなくワンダーランドは崩れ、チェシャ達はアリスの世界へと逃げた。




