CHAPTER3 PART7-4
背中のナイフは抜かずに、血を止めようとドレスを破って傷口を覆う。
「いや…いやだよ帽子屋さん……!
お願い……死なないで……!」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を見て、帽子屋さんはフッと笑った。
「……、酷いですね…。
可愛い顔が台無しですよ…」
(こんな時に何を……!)
怒りたくなったけど抑えた。
「あたしは……、あたしは、帽子屋さんさえいてくれればそれでよかった…!
こんなの…あんまりだわ…!」
ポタポタと落ちる涙を、帽子屋さんは優しく掬った。
「アリス…、聞いてください…。
このワンダーランドは、時空と時空の狭間に存在しているんです。…
長年…祖母や母が調べた結果、この世界は酷く不安定であることがわかりました…。
つまり、いつ崩壊してもおかしくなかったのです…」
帽子屋さんがそう言った瞬間、ミシッとおとを立て、空間に亀裂が入った。
そこから、ゴゴゴゴ…と、少しずつ崩れていく。
(まさか……っ)
「ワンダーランド……なくなっちゃうの…?」
帽子屋さんは、小さく頷いた。
「恐らく…ジョーカーの“存在”によって保たれていたバランスが崩れたのでしょう…。
ワンダーランドが消える前に…、アリス、あなたは逃げなさい…」
ちょうどその頃、一方からヤマネと三月うさぎさん。
一方からチェシャ猫さんと白うさぎさんがやってきた。
白うさぎさんを見た瞬間、帽子屋さんの言っている意味がわかって、少し腹が立った。
「いや!!
帽子屋さんやみんなを置いて、あたしだけ逃げるなんて…!
そんなの絶対いや!!」
そう言い張ったあたしに、帽子屋さんは怒ったような表情で言った。
「お願いですから、逃げてください!!
あなたに何かあったら…私はもう…」




