CHAPTER3 PART7-3
帽子屋さんの言っている意味に気づいたジョーカーは、弾かれたようにあたしを見た。
「アリス……、俺は…、俺は…!」
ジョーカーの目から、涙が溢れてきた。
「俺は……君の笑顔が…見たくて…」
ジョーカーの気持ちはわかる。
ただ、伝える方法を間違えただけ。
あたしが、ジョーカーを好きじゃなかっただけ。
伝わるかどうかはわからないけど、小さな声で呟いた。
「ありがとう。
あたしは、恨んでなんかいないよ」
って。
たぶん、顔を見てわかったんだと思う。
ジョーカーは一瞬驚いて、俯いた。
(よかった…。
これで…終わりなのね…)
「……!!
止めなさい!ジョーカー!!」
安堵したのも束の間。
帽子屋さんの声で、ハッとなってジョーカーを見た。
帽子屋さんが止めに入る中、ジョーカーは、自分で自分の胸に剣を刺していた。
グサッ。
「きゃあああああ!!」
あたしは、その場に座り込んだ。
(どうして……どうして……)
「アリス!」
帽子屋さんが駆け寄って、取り乱すあたしの背中を撫でてくれた。
そのおかげで、あたしは少しだけ冷静になった。
「帽子屋さん…、ジョーカーは……」
あたしの問いに、帽子屋さんは首を横に振った。
(そんな……)
「…アリス。
帰りましょう」
帽子屋さんの顔は悲しげに歪んでる。
あたしは、黙って頷いた。
その瞬間。
ドンッ!
「……っ」
何かが当たる音がして、帽子屋さんが倒れた。
向こうで、死んだはずのジャックがこちらを見ていた。
「ジョーカー……さまぁ…」
ジャックは今度こそ、本当に息絶えた。
(なに……?
なにが起きたの…?)
倒れた帽子屋さんの背から、ドクドクと血が流れていくのを見て、あたしはようやく察した。
「……いやあああああああ!!!!」




