どうもありがとうっピ!
私はほんの少し、春の陽気に浮かれている。
今日の気温は最高24度。
テレビを見ていても、夏と錯覚している人がインタヴューに応えていた。
地域によってはかき氷も売れたらしい。
高原へ行きたい。
一面のネモフィラを今年こそ鑑賞したい。
オンシーズンの休日は並ぶほどの人出になりそうな予感がするけど。
3月末ごろ、とある事情で私もでかわも体力が低下した。
食べられないシンドさ、ウィダーインゼリー桃のありがたみを知った出来事だった。
でかわは未だにお布団にもぐる時間が長い。
(私もでかわのこと言えないけど)
2人とも省エネで暮らしていると、冷蔵庫の在庫も比例していく。
そんな冷蔵庫に喝?を入れるべく、私は週末、買い物へ出かけた。
高原へいくなら体力もつけておきたい。
となると、短い距離でも歩いていく。
その帰り。
もう慣れたものだけど重たい荷物を両手に分散させ、私はお行儀よく足でスーパーのドアを開けた。
牛車の気分。
少し歩いたところで、それは聞えた。
言葉にできないほど美しく、可憐な旋律。
私は思わず立ち止まり、鳴き声の主を探した。
最近は見ない日のほうが少ない、アジア圏風の若い人々が自転車で私を追い抜かしてゆく。
……いた。きっと、あの鳥だ。
とはいえもう夕方で、5メートルくらい上空だからほぼシルエットだけど。
時折、飛び上がりながらも、場所を移動せず鳴き声を発している。
「とっても、いい声だね」
呼びかけてみる。周囲に人がいないのは一応、確認しておいた。
しばらくして、思いがけない鳴き声が返ってきた。
「どうも、ありがとうっピ!」
(え……)
心の中で目が点になりながらも、現実の両手にかかる重みを思い出す。
くるりと背を向け、元の道を辿り始める。
「もう少し、聞いていけばいいのに~」
(えっ……えっ)
後ろ髪惹かれる思いで、私は何度か振り返りながら歩いた。
鳴き声の主とはまた別の、すこしムックリとした鳥が、近くの電線にとまった。
それで、着いてきたのかと思った。
そんな日もある。
だって春だから。
え?でかわの反応?
安定の、ノーコメント。
今度は明るい時間に出かけて、ゆっくり観察してみたい。
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