自称偽物(?)との模擬戦─其の五─&+α
投稿が遅れます。理由は私的な事です。
ゴメンなさい
──クロ視点(模擬戦再開の直前)──
·····もしかしたら、アイツの方が対戦闘向けの頭脳と技術を持っているのでは無いのだろうか······。
だとしたら、このワタシの存在意義は一体どこに有るのだろうか?
·····あ、どうも。少し存在について悩みを抱えてきたクロです。
ついさっきまで、機械の主導権を奪ったクソ野郎──改め、黒丸の野郎──の行っていた戦闘や会話をアイツの視点を通じて見ていました。
···この変な敬語もいいか。なぜ敬語を使っていたのだろうか?
まあ、ともかく、私はこの中からアイツの行動全てを見ることが出来る。そういう事だ。
さて、今の状況なのだが、アイツの呼び名を"黒丸"と決めてから、二人とも最後の戦闘にすべく精神統一(?)のようなものをしている。
エレン隊長ならばそれをする意味は分かるのだが、ワタシは野郎·····ではなく、黒丸が精神統一する理由が理解出来ない。
確かにワタシのような機械兵は、人間で言うところの神経回路に近いものは存在する。
だが、それはあくまでも、歩く・走る等の動作をするためのみの物。しかも、"精神"は機械兵には存在しない。
なのにアイツは、視界を暗くして一歩も動くことなく静止している。不思議なものだ。
これは形は違えど、ある種の殺し合いなのにも関わらず、二人とも不意打ち等をする気配を感じられない。
この認識は間違っているのだろうか?
その事に関してのみ、ワタシは不思議な感覚を感じている。
─当たり前のことでも、許すことが出来ない─
そんな感覚がカラダ中を渦の様に巡り巡っている。ワタシも案外、常識から逸した存在かもしれないな···。
話が逸れた。ま、精神統一の件は置いておくとしよう。それよりも、ワタシはアイツに協力する──受け入れる──事を決めた。理由は不明だ。
アイツの思考回路に染まってきているせいかもしれないし、ワタシ自身が決めたことかもしれない。
ついさっきまで、もう訳が分からなくなるな、とまで思った程だ。自分自身でも相当理解不能な決意を行ったのだろう。
ワタシは他人事のように感じていた。
この時は、だ。
ワタシは違和感を感じないまま、行動に移っていく。
一つだけ気掛かりな事がある。先程の事だが、アイツが気になることを言っていた。
「カラダの中から嫌な音が聞こえた」
と発言をしていたのだ。
しかも、ワタシがいる場所からだ。
その場所とは······もうお分かりだろう。
──電脳の中だ。
ワタシがあちこちを破壊し回ったため文句は言えないのだが、アイツの発言にどうも不安?のような事を感じてしまう。何も起きなければいいのだが······。
その時はその時だ。対策を練ろう──その時に備えて。
·····どうやら始まるようだ。
気に食わないが、全力で協力していこうか!
───そして、最後の模擬戦が始まる。
◆◆◆
──黒丸視点──
·····んァ?電脳であいつが何かをしているようだがァ···一体何やってんだァ?迷惑を掛けんじゃあねェぞ·····。
今の状況だが、オレら両方が精神統一をしている。これはオレの癖のようなもんだ。
住んでいた国では、なんて言ったけなぁ·····。
···思い出した。確か·····
『武士之心得』
っつうヤツだなァ。意味はよく分かんねぇが、確か、自分の慢心を戒めるために数百年前から行っていたと親父に聞かされた。
確かオレも、その話を聞いて武士に憧れたもんだっけなァ·····。
···?ありゃあ?どうしてこんな記憶があんだァ?可笑しいなァ·····まァ良い。それよりも──そろそろだな。
「···さァて、そろそろ始めるとしましょうか·····お嬢──いや、隊長」
オレはお嬢──いや、隊長を一人の対戦相手として定め、そう宣言した。
理由は簡単だァ。いつまでも茶番を続けるわけにはいかないからだ。
「そうだな。そろそろ落ち着いてきた頃だろうからな。私も──お前も」
「?『私も』」
─それは一体どういうことですか、と聞こうとしたところで感覚全体が危険性を発して来た。
それと同時に機械が感じる吹雪のような寒さ。どうやら触れてはいけないレッドゾーンに触れるところだったようだ。あっぶねェ···。
「···そうですね。オレも少しは落ち着きましたよ、隊長」
「···さっきまで私の事をお嬢だのなんだの言っていたがもう良いのか?」
「えっ!?まだ言っていいんですか!?なら遠慮なくおじょ─」
「冗談!冗談だ真に受けるなこの馬鹿!!」
···軽い冗談のつもりだったのだが···貴方の方が間に受けていませんかね?しかし口に出すことはしない。
学習するんだよ、このオレは。
「······まァそれはともかくとして、始めるとしましょうか」
「ああ、そうだな」
さっきの様子とは打って変わって、姿勢を正して向き合い、両者剣呑な雰囲気を出している。
まだ一歩も動かしていないのに、二人の警戒度は増していくばかりだ。
時刻は午前二時。
あれだけのことがあってもまだ一時間しか経っていない。
静かな夜のクロ/黒丸だけの秘密の訓練場になる筈だった場所には、機械兵にある特有のモーター音と、帝国の極秘部隊の隊長の心臓の鼓動音が微かに聴こえるのみ。
一分一秒が過ぎる度に、それは僅かながら大きくなっていく。
黒丸/クロは──
──キィィィィィィ シュァァァァァァ ビビビッ
『コマンドノ起動ヲ確認 パスコード:OOX···認証 全力形態ヘ移行シマス』
──この模擬戦に勝つ為に二人三脚の名の通り、協力し合いながら全力に向けていた。
エレンは──
──スゥゥー フゥゥー ·····ハァァー
──歴戦の戦闘員でもそうでなくても、見た者ならば、嫌でも戦場での姿を彷彿させるであろう、"死の傭兵"に恥じない姿に雰囲気ごとその身を変貌させていた。
そして──シャッ、ダッという足音がすると同時に、常人では認識不可能な、音速レベルの模擬戦が再開した。
そしてもう一人?と言うべきなのだろうか。
いつの間にか空から二人の戦いを見守ろうとしていたナニカが、雑音にも鈴の音にも聞こえる声で、こう呟いた。
『確認されました。Code960および960’とエレン・シークの世界的スキルの発芽の確認。その数は四です。
Code960&960’は、
世界的スキル:『科学ノ狂者達』,『人間ノ始祖』の会得を成功させました。
両スキル、完全解放まであと48%です。
Code960は、称号『始まりの一人』『悩める探求者』を獲得しました。
Code960’は、称号『冷酷な鑑定士』『紅色の荒者』を獲得しました。
エレン・シークは、
世界的スキル:『戦女神』,『闘神』の会得を成功させましました。
両スキル完全解放まであと43%です。
称号『駆け巡る者』『瞬滅』を獲得しました。
以上で確認を終了します。
·····面白い奴らもいるもんですね。
とても珍しい・・・まさかスキルを得るだなんて。もしかしたらこの世界初なのでは無いでしょうか···。
あの二人···特に、彼ならばこの力を·····託せるかもしれない』
あるひとつの人外の存在が、僅かな希望を持ち始めていたことに、まだ二人は気付いていなかった。
これに気付くまで、あと──少し。




