第71話 宝物の発見
地響きがやむと、そこには下へ向かっている通路が出てきた。
しかし、それ以外は何も発見できず浩二たちは探索をあきらめて
馬車に乗り、下へ向かうことにした。
21階層へと通じる坂道を下りていると、右側に洞窟があった。
「…浩二、この中空洞になっているぞ」
「休憩にもってこいな場所だな」
「ん~、敵はいないみたいだし休んでいくか?」
「そうだな、少し休憩にしよう」
浩二たちは、馬車の中のみんなに空洞での休憩を話すと
全員一致で賛成してもらい、空洞の中へ馬車を進めた。
空洞の中は、どこかの体育館くらいの大きさで馬車を入れても
全員が休憩するには十分すぎる広さがあった。
また、空洞の中をみんなで探査していると2つの扉を発見。
1つは、かなり古いもので鍵もなくすぐに開きそうだった。
もう1つは、鉄でできた扉で古いことはわかるが錆びたところもなく
頑丈そうだが、こちらも鍵はなくすぐに開きそうだ。
「さて、どっちから開けますか?」
「俺は木の扉だな」
「私は鉄の扉からだね」
「…同時に開ければいいんじゃないの?」
「ソフィアの言うとおりだな、同時に開けようぜ」
「オッケ~」
「「せ~の!」」
洋二と馬場さんが同時に扉を開けると、地響きが起こった。
「な、な、な、なに、に!」
「こ、こ、これ、これは!」
皆その場にしゃがんで、地響きが鳴りやむのを待つ。
しばらくして、地響きが収まると静寂が戻った。
「……どうなったんだ?」
「おそらく、ボス部屋の壁が元に戻ったんだな」
「…ということは、また蓋をされたのか?」
「そういうことだな」
「…俺、ちょっと見てくる」
「ああ、私も行くよ~」
「洋二様、私も行きます」
洋二、馬場、ジニーの3人は、空洞を出て上への道を進んでいく。
その間に、浩二たちは扉の中をチェックしていく。
「…こっちの木の扉の中は、大きな箱に入ったたくさんの金貨だな」
「いくらぐらいあるのかしら?」
「数えてみないとわかりませんが、1000枚はあると思います」
「その箱が2つ…」
「すごい量ね…」
「でも、こんな宝物らしい宝物は初めてですね」
「そうね、そっちの鉄の扉はどう?」
「こっちは、箱に入ったポーションとカバンが2つ。
あとは、用途の分からない魔道具が5つありました」
「そのかばんって、アイテムボックスのような鞄かしら?」
「ん~、みたいですね。ここに説明がついてます」
「説明付きとは、親切な宝物ね」
「魔道具は、どんなものがあるんだ?」
「え~と、いろいろあるわね。
物を冷やすものに、温めるもの…これは洗濯機かな?
ダメね、詳しくはわからないからギルドで調べてもらいましょう」
「では、俺のアイテムボックスに全部入れておきますね」
「ポーションはどうなの?」
「ん~、これも用途不明ですね。鑑定で分からないのは初めてね」
「これも、俺が預かっておきますね」
浩二は、アイテムボックスにアイテムをすべて入れていく。
「それにしても、神崎君たちは遅いわね」
「もうすぐ戻ってきますよ、今のうちに休息しておきましょう」
「そうね…」
洋二達が戻ってくるまで、浩二たちは馬車のそばで休息をとっていた。
浩二が出した軽食や、飲み物を飲みながら洋二達を待っていると
入り口から洋二達が、帰ってきた。
「いや、本当に通れなくなっていた」
「壁になっていたよ~」
「こんなダンジョンが、あるんですね…」
洋二達は、20階層への通路が確かに通れなくなっていると証言した。
「閉じ込められたってことかしら?」
「いえ、『英雄の宿』の鍵で帰れますからそんなことはないと思いますよ」
「ということは、鍵は必ず手に入れることができるものなのね」
「と、なりますね」
「洋二、軽食と飲み物用意しておいたから少し休憩しろよ」
「おお、ありがたい」
洋二達3人は、用意された軽食を食べ始める。
「この後は、21階層へ向かうんですか?」
「そうよ、あの扉の奥のものも回収したし…」
「あ、扉の奥には何があったんです?」
「本物の宝物があったぞ」
「「おお~」」
1時間ほど、空洞で休憩して浩二たちは再び馬車で21階層への通路を進み始める。
少し長い距離を歩くと、前方に21階層への出口が見えてきた。
「ここが21階層か…」
浩二たちの目の前に広がるのは、一面の銀世界。
「…さむっ!」
「いきなり、冬が来たわね」
外が見える席にいた洋二が、皆に防寒着か防寒の魔法を使うように言ってくる。
「防寒の魔法を頼む」
「七瀬さん、お願いします」
「わかったわ、アリアちゃんもいける?」
「はい、お任せください」
七瀬さんとアリアは、皆に防寒の魔法をかけると寒さが軽減された。
浩二は、ゴーレム馬を積雪使用に変えると21階層を進む。
馬車の外を歩くのは、イザベラ、洋二、ジニー、藤倉さん、ララさんの5人。
積雪使用のブーツに履き替えて、銀世界を進む。
一面の銀世界は、目印になるものもなくただ歩くしかない。
「……何にもないな」
浩二は、雪のみが続くフィールドを見てそんな感想をつぶやいた。




