第29話 新旧の勇者
「ジニー、驚いてないでドロップ品を集めて」
「あっ、はい!」
ジニーは『狼』の死体がダンジョンに吸収されて残っている『アイテム』を集めていく。
「つくづく『ダンジョン』って不思議だよな」
「『ドロップアイテム』のことか?」
「そう、外じゃ魔物の死体を解体して『素材』を回収するのに
ダンジョンは魔物の死体を吸収して『アイテム』を残すんだからな」
「ん~、たぶん魔物の構成が違うのかもね」
「それはどうゆうこと?七瀬先生」
「たぶんだけど、ダンジョンの魔物は『魔法』でできているんじゃないかな?」
「『魔法』で?」
「そう、『魔法』の氷系なんかの形作るものがあるでしょ?あれと一緒じゃないかな?」
「そういえば、この世界には『小説』なんかでよくあるような
ダンジョンから魔物があふれて出てくることがないわね」
「外に出た途端、霧散してしまうのね」
「…じゃあ、何でダンジョンに結界を?」
「それは出入りを制限するためでしょうね」
「なるほど…」
「洋二様、アイテム回収終わりました」
「おお、えらいぞ~」
洋二はジニーの頭をやさしくなでている。
「マスター、下の階段を見つけました」
「よくやった、雪」
俺は洋二と同じく、褒めるために雪の頭をなでてやる。
雪は満足げに「えへへ」と嬉しそうだった。
「それじゃあ、第4層へ行くぞ」
「「「おお」」」
第4層へ突入する洋二達だが、そこには他の勇者パーティーのメンバーがいた。
「お、洋二達も到着か」
「…七瀬さん、ここのダンジョンって何階層まであるんですか?」
「ここは変貌したダンジョンといっても、
もともとは『初心者専用ダンジョン』だから、5階層しかないわよ」
俺は周りを見渡し、ため息をつく。
「それでこの階層に、こんなに人がいるのか」
「『勇者』は全員そろっているわね」
「…しかも、新旧の『勇者』がね」
「…藤倉さん、馬場さん行った方がいいみたいね」
「そうですね、じゃあ私たちはこれで」
「またね~」
かなり遠くの方で言いあいになっているみたいで
十中八九、新旧の『勇者』同士でもめているみたいだ。
「ありゃ、『魔王』をどっちが封印するかでもめてるな」
「…『勇者』しか『魔王』を封印できないんだから、みんなですればいいのに…」
「プライドが邪魔しているのかしら?」
「いや、あれは旧『勇者』たちが封印しようとして新『勇者』たちが今度はって出てきたからだな」
「ああ、一度『魔王』を逃がしているからか」
「…どうします?七瀬さん」
「ん?」
「上の3階層でレベリングか、4階層の捜索か」
「そうね、君たちはどうするの?」
「俺は、ジニーや浩二たちと上に行こうかなと…」
「私は、洋二様の意見に従います」
「私たちは、マスターと一緒に」
「ん~、なら宮本君『前衛』を何人か召喚してもらえる?」
「では、3階層に戻ってから『召喚』しますね」
「それじゃ、行きましょう!」
「「おお~」」
俺は、3階層で『ヴァルキリー』を2人召喚してレベリングをした。
2日ほどして、疲れた表情で戻ってきた藤倉たちに聞いたところ
結局『勇者』たちは全員で5階層の『魔王』のもとへ向かったそうだ。




