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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第4章 激突
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海外派兵

 ゼーベルムート・・・。

 ジュッシュ公国とサデウミス集合国家は日本のもたらした技術で大きく発展していた。


 ゼーレフォンには日本の貨物船が停泊できる船舶ターミナルが完成、ジュッシュ領内にも飛行場が出来上がりつつあり、現状では回転翼機の駐機は可能であった。


 またジュッシュから日本まで届く通信アンテナも設置し、ラジオ放送も行われていた。


 サデウミスでも『ソプラソット山脈』の東に超大型の油田開発施設とタンカー係留用の桟橋が完成。海上自衛隊の協力も在って原油の拡大は抑えることが出来た。


 そんな頃、神宮寺達のみに驚くべき知らせが届く。


「斥候からの報告。『ボルドロイゼン近郊において敵兵が集結しつつあり、数およそ30万』」


「30万・・・!?」


 動揺する特戦群にルフトが追い討ちを掛ける。


「まだまだ序の口にすぎない。帝国領には徴兵可能な人員は80万人居るし、退役したものも合わせれば100万は下らん。」


「100万ですと・・・!?」


 ジュッシュの兵力は

 ・歩兵40万

 ・騎兵10万

 ・大砲1,500門


 これに特殊作戦群100名を合わせたとしても、苦戦は免れないどころか敗北する可能性が大きすぎる。


「本国に援軍を要請しましょう。」


「仕方ない・・・。」


 防衛省・・・。

「幕僚長、ジュッシュの特戦群から援軍要請です。」


「援軍・・・。近い内に大陸で大規模な合戦が起きるな。」


「二個師団と一個旅団の参戦が望ましい、と。」


「二万人送り込め、か・・・。」


「米軍に頼みますか?」


「あいつ等に頼んだら『謝礼として大陸を貰う』とか言うに決まっている。このまま国内に軟禁状態にし

て大人しくさせておいた方が、後のこと考えてもよほどましだ。」


「ではどうしますか?おおすみ型3隻では到底-」


「民間の客船、貨物船、フェリーを徴用する。」


「批判が殺到しますよ。」


「批判を恐れてジュッシュを見殺しにするのと、批判覚悟で日本のエネルギー問題を解決に傾けるの、ど

ちらがましだ?」


「・・・。わかりました、我々は汚れ役ですからね。」


 本格的な海外派兵と言う事で政府も動揺したが、それでも軍部の暴走状態に在るボルドアスをこれ以上

野放しにできず、この決戦で一気に叩く事となった。


 派兵部隊は東京湾と函館港から出港・・・。

 人員:16,300

 戦車:54

 ヘリ:18

 が、ジュッシュ公国を目指した。


 ゼーベルムート・・・。

 公城内で公王シュヴァーベンが軍の指揮官を集め対坑策を考えていた。


「今度の数は『ラブングル会戦』のそれを遥かに上回っています!本格的に遷都を考えやれたほうが-」


「何処に逃げるというのだ?民を置いて予一人尻尾を巻いて逃げと言うか!?」


 会議は紛糾し公都で篭城戦か、遷都を繰り返して各地で徹底抗戦か、どちらにせよ防戦案しかでなかっ

た。


「日本軍には何も案が無いのか?」


「無い事はありません。すでに終戦までの原案が出来上がっています。」


「終戦だと!?」


 神宮寺から「終戦」の言葉を聴いて二つのビジョンが浮かんだ。


 一つは、自衛隊がボルドアスに寝返り公都に侵攻する事。


 もう一つは、自衛隊が全面協力すること。


「ブルフ平原にコンクリートトーチカを建造、その間を三本の塹壕で連絡させ、800m先に鉄条網を設置し

ます。」


 ジュッシュ公国が今まで考えもしなかった。


 戦列歩兵が主流のこの国にっとって『塹壕戦』など未知の領域であった。


「ですが、これは援軍が到着するまでの中繋ぎです。」


「援軍が来るのか!?」


「はい、総兵力2万の大部隊です。」


 2万人はジュッシュにとっては『大部隊』とは言えなかったが、自衛隊の人員25万から見たら方面隊

一つを動かすのも苦労する。そういう意味では『大部隊』だったのかもしれない。


 援軍到着までの間、日本・ジュッシュ両軍は陣地の構築と計画の具体性を固めていった。

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