表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第4章 激突
45/74

宗谷岬沖海戦

 宗谷岬沖20海里・・・。

 接続水域内で、ボルドアス艦隊旗艦『ローグフリード』と海上自衛隊の護衛艦『ゆうだち』が睨み合っていた。


「直ちに反転し引き返せ!さもなくば発砲する!!」


 ゆうだちの警告を無視し、艦隊は南下する。


 ローグフリートにはギル=ランシンド王国の観戦武官が同乗していた。


「10kmも離れてるんだ。当たるわけが無い。」


 同艦隊の装甲戦列艦5隻にはギル=ランシンド製の『後装式の12ポンド砲』を装備していた。


 小型の艦砲であったが、後装式のため装填速度が速く、使用する弾も『丸弾』でない上砲身内にはライ

フリングが彫られているので射程も5kmに達する。そして、確実に敵艦にダメージを与える為に着弾と同

時に炸裂するように作られている。


「それに、アイツの言い方だとこのまま行けば日本に到達するのだろ?」


「ならアイツに警戒しつつ南下。計画通りに動く。」


 ゆうだち 艦橋・・・。

「案の定、警告に従わないな。」


「5000まで近づき威嚇射撃しましょう。」


「そうだな・・・。第1戦速、距離5000まで接近。榴弾一発装填。」


 ローグフリート・・・。

「近づいてくるな・・・。」


「装甲戦列艦を前に出せ。12ポンド砲発射準備。」


 砲尾を開き、砲弾と装薬を装填し砲尾を閉める。


「門扉開け!」


 いつでも発射できる。


 灰色の巨大船が5000mで同行戦になる。


 艦首に付けた大砲がこちらを向く。


「撃ってくる気か!?」


 炎と共に煙を吐き出し・・・。


 バッコンンンン


 ローグフリードの目の前に着弾した。


「あの大砲、最新式の12ポンド砲と同性能なのか!?」


「不幸にも外したようだな。それに5000mなら届く。」


 日本側にしては威嚇発砲であったが、ボルドアス艦隊にしてみれば先制攻撃であった。


「放てぇええっ!!」


 三隻、片舷45門、計135門の12ポンド砲がゆうだちに向かって火を吹いた。


 ゆうだち・・・。


 ドゴォオオン


「のわぁっ!?」


 爆発音と共に船体が大きく揺れる。


 少しして報告が上がってくる。


「ヘリコプター格納庫に直撃!!」


「火災発生!負傷者も出ています!!」


「火の手を機関部に回すな!救護班を急いで向かわせろ!!」


 全乗組員、全力を尽くし船の全てを守る。艦長も同じ気持ちであった。


「正当防衛射撃を行いう。目標、敵先頭の戦列艦。」


 CICで指定した目標に62口径76ミリ単装速射砲が、その砲口を向ける。


「主砲、手動発射、撃ちー方はじめっ!!」


 ローグフリード・・・。

「命中!」


「当たらんものだな。」


「あくまで『最大射程』が5000mなだけで、有効射程はせいぜい3000mだ。」


 だが、一門の砲に対しこちらは片舷45門。手数で圧倒している。


「なら3000、いや2500mまで接近し確実に仕留める!」


 ローグフリートより右の船全てが灰色の巨大船に艦首を向ける。


 そのとき、灰色の巨大船が発砲した。


 装填時間からして後装式のほうであると予想できる。


 そして・・・。


 ドガァアアン


 その砲弾が命中、装甲戦列艦を葬った。


「馬鹿な!?全周5mmの鉄板を貼り付けているのだぞ!!」


 丸弾は無論、12ポンド砲の砲弾ですら貫通は用意ではない。それでも、巨大船の砲弾はそれを易々と

やってのけた。


 ボルドアスの軍人もそうだが、最も動揺していたのは、間違いなくギル=ランシンドの観戦武官である。


 ゆうだち・・・。

「向かってくる艦を優先的に攻撃しろ!」


 艦長は、敵の狙いは至近距離で砲撃し本艦を確実に撃沈する事と予想した。


「砲撃の手を緩めるな!」


 毎分85発、百発百中で命中させていく。


 20隻程沈めたところで、残りが反転し離脱を開始したので、ゆうだちは砲撃を止めた。


宗谷岬沖海戦

 日本(ゆうだち)

 死者2

 負傷9


 ボルドアス

 撃沈20


 首相官邸・・・。

 永原総理は海戦の結果を待って記者会見を開いた。


 報道陣は100名余り。よほど関心が有るといえよう。


 壇上に付くなり記者達に言い放つ。


「本日未明、北海道宗谷岬沖約20海里において、海上自衛隊の護衛艦ゆうだちとボルドアス帝国の艦隊が

激突しました。

 結果は敵艦20隻を撃沈し、残る30隻を撃退するという、わが国の勝利です。しかし残念な事に、二名の

隊員が殉職なされなした。」


 記者の質問は「戦死の責任は誰が負うのか」「先制攻撃ではなかった」など、国の揚げ足取りに走るよ

うなものばかりであった。


「誰が責任を負うかについてはお答えできません。

 攻撃につきましては、ゆうだちが威嚇を行った直後、敵艦からの直撃弾を受けたので正当防衛です。」


 続いて聞かれたのは、「この戦争はいつまで続くのか」であった。


「海戦が終了して少しした後、第三国からの計らいでボルドアス帝国の王女が講和を求めてきました。」


 この発言に、会場がざわめく。


「王女が言うには、軍部が暴走し皇族の力では抑えきれない。日本に亡命政権を樹立し大陸のクーデター政権を排除してもらいたい、という事です。そうすれば、我が国に対し無条件で講和を受け入れる、とも言っておりました。」


 ギル=ランシンド王国の存在を隠し、講和交渉と海戦の時期をずらし、都合の良い内容になっていたが

それでも、リーエンフィールが無条件講和を言っていた事は事実であった。


 しかし、大陸でもまた戦闘が起きようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ