9/25
玖
現在の時刻、午後8時30分。
辺りはすっかり家の明かりと電灯の明かりが点々としていた。
俺の家もすぐ目と鼻の先に見えている。
普通の家庭の子供は家に帰るのに、不安に思ったり憂鬱に思ったりしないんだろうな。
溜め息が自然と出てくる。
少し感傷に浸っていると制服のポケットに入れていた携帯が一つ音を鳴らした。
携帯を取り出してみるとメールが一通来ていたので覗いてみると、差出人は数十分前に別れた昂輔からだった。
「・・・・・・あいつ、絶対エスパーだ」
昂輔からのメール内容を見て、こういう時期の俺はいつもあの二人に助けられているんだなって思えた。
いやまぁいつも助けれられているんだけどさ・・・・・・。
適当に返事を返して携帯はポケットにしまった。
「いつまでもウジウジしてらんない、な・・・・・・」
黒く重たかったモノがスッと落ちたかのように、足取りが軽くなった。そしてついでに言えば周りの空気も変わった気がした。
自分の家まであと少し。今日はもう家族や、朔良に何を言われても気にしないでいられる。
(あ、でも成績以外に何を変えていけば・・・・・・)