拾玖
「全員揃ったなぁー?さて、今年も体力作りからはじめるぞー」
体育教師の一言によって整列していた生徒たちから声が上がった。
その中に俺も含まれているわけだけど、去年の体力作りは確かランニングと筋トレ、もう思い出したくない程体を動かされてたものだ。それがもうやらなくちゃいけない時期になって・・・・・・ああ”あ”ぁぁぁぁもうやだっ!!!!!
「紅葉、一人で何悶えてるんだ?」
「はっ!」
「大丈夫?」
「あ、え?何が・・・?」
意識が飛んでいたようだ。とにかくこれから始まる体力作りは俺にとって憂鬱で仕方ないということだ。
「それじゃーお前らにはこれから山中ランニングに行ってもらうが、その前に二人一組で入念にストレッチしろ」
整列していた生徒たちは徐に立ち上がり、各自適当なペアを作りストレッチを始めた。
「紅葉、一緒にやろうか」
「うん、」
「えっ俺は!?」
「優ちゃんは他の人とやりなよ」
「お前らまた俺を除け者にする気か!?」
「優ちゃん、僕らと違って友達多いから良いじゃん」
昂輔に言われる優志はまた騒ぎ始めたが、昂輔は俺の後ろから肩に顎を乗せながら言った。すると優志は急にその場にしゃがみこみ、のの字を書きだした。
「はぁぁぁぁどうせ俺なんてさクラス違うし、紅葉も俺より昂輔の方が頼りにしてるっぽいし・・・そりゃあ俺は友達が多いかもしれないけどさーお前らが一番だって思ってるよ・・・でもお前らにとっては、俺なんて・・・おれ、なん・・・て・・・・・・」
「昂輔、あれどうにかしてよ」
「えぇー放っておいてもいいんじゃない?」
「あとから絶対面倒くさくなるよ?」
「はぁ、仕方ないなー」
昂輔は俺から離れて、未だにのの字を書きながらブツブツ言ってる優志のもとに行き肩に手を置いた。
「優ちゃん、さっきはごめん。いつもの悪ふざけがすぎたよ。僕たちには優志も必要だからそんなに落ち込まないで」
「・・・・・・本当か?」
「ホントホント」
「・・・紅葉も、俺が必要か?」
まだちょっとだけ疑ったように聞いてくる優志。
昂輔も言い方は少し軽いが、優しい笑みを浮かべてるからきっと本心なんだろう。
「当たり前じゃん」
俺には昂輔と優志の二人しかいないんだから、
一人だって欠けて欲しくない。
俺は二人の近付いて、しゃがんだままの優志に手を差し伸べた。




