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後宮の白銀妃 ~行き遅れ令嬢は、今日も幼なじみの皇帝を足蹴にする~  作者: 九條葉月


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エピローグ・2 12年前の梓宸


 ――俺は皇帝になろうと決意した。


 皇帝になって、凜風の隣に相応しい男になり、凜風を嫁に迎えようと決意した。


 ……正直、凜風からのシゴキ――じゃなくて、勉強を教わるのはキツかったのだが、何とか耐えた。その先に幸せな未来を確信していたからこそ。


 そんな日々を過ごしていた、とある日。俺がいつものように荷運びの仕事をしていると……。凜風が、弟と話をしている場面に出くわした。


「じゃあ、梓宸さんは皇帝になるんですか?」


「そうよー、だってそういう『運命』だもの。だから梓宸が挙兵したら手厚く支援しておいた方がいいわよ? 後々何倍にもなって返ってくるからね」


 気軽な様子で俺の『運命』を語る凜風。ともすれば実家のために俺を皇帝にさせようとしているように聞こえるが……まぁ、そんなはずはない。なぜなら凜風はそんな人間じゃないからだ。


「……支援なんてしなくてもいいでしょう? 梓宸さんが皇帝になれば、どうせ姉さんが皇后になるんですから」


 お、分かっているじゃないか義弟(おとうと)よ。そう、その通り。俺が皇帝になるなら皇后は凜風しかあり得ない。そもそも俺は凜風を手に入れるために皇帝になるのだからな!


 だというのに、


「は? そんなわけないじゃない」


 凜風は即座に否定した。なぜだ!? 俺たちの間には確かな想いがあるはずなのに!


「え? 本気ですか? 姉さん、梓宸さんのこと好きなんでしょう?」


 よく分かっているじゃないか!! 義弟よ!!!


「はぁ? なんで私が梓宸のことなんか好きにならなきゃいけないのよ?」


「はいはい。で? 皇后になればうちの発展も間違いなし。だというのになぜそんな頑なに?」


「頑なになんてなってないわよ。……別に、私と梓宸は、梓宸が故郷を離れるまでの関係ってだけ。梓宸に勉強を教えて、皇帝への背中を押せばそれで終わり。それで終わりの関係なのよ」


「それは、『運命』ですか?」


「えぇ。『運命』よ」


 運命。

 それは凜風がよく口にする言葉だ。彼女の特殊な瞳は時に未来を視て、それを運命として語ることがある。


 つまり、俺と凜風は結ばれない運命であると……?


 …………。


 ……舐められたものだな。


 俺を舐めてくれたものだな、許凜風。


 運命などに俺が負けるとでも?


 皇帝になったら凜風のことを忘れるとでも?


 巫山戯(ふざけ)るな。


 俺の想いは変わらない。

 たとえ皇帝になろうが、凜風を嫁にしてみせる。


 だから、待っていろ。

 待っていてくれ、凜風。


 俺は必ず皇帝になり。

 必ず凜風に相応しい男になり。


 必ず、凜風を迎えに来る。


 ――運命なんて、叩き壊してやるからな。


 その時の凜風の驚いた顔、今から楽しみにしているぜ。




 ……凜風は驚くどころか、俺をぶん殴ってきたんだけどな。まぁ、凜風らしいと言えばらしいのか。




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