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わたしの創った千年王国【書籍&コミカライズ発売中】  作者: クレハ
3章

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67話 クロノとの再会


 組織殲滅のために外出していたデュークとラグナルが帰宅すると、レティシアの部屋のある一角の魔力が荒れていることに気がついた。

 それと同時に、魔力の暴走が起こった時と同じ魔力の残滓まであるではないか。


 それが闇の力ならまだしも、感じたのは光の力だ。

 どうやら誰かによって防がれていたらしく、建物などへの被害も、寮生への被害もない。

 被害どころか、なにかしら騒動が起こったことすら他の寮生は気がついていないだろう。


 それほど丁寧に守られ、痕跡も消されている。

 こんな中で異変に気がつけるのは守護者レベルでなくては難しい。


 けれど、対極であり、背中合わせのような関係性の力を持つデュークはすぐにレティシアの魔力の変化に気がついて走り出した。


 ラグナルもその後についていくと、そこにはしめ殺されそうになるほど抱きしめられている息絶え絶えなレティシアと、レティシアを抱きしめているクロノの姿があった。



「あちゃ~。やっぱりバラしやがったわねん。案外早かったわー」



 ラグナルは困ったように額に手を当てる。

 もうその言葉で、ラグナルはクロノが知っていたことをレティシアに隠していたことが察せられる。

 文句の一言でも投げつけたいのに、しめつけられていてそれができない。

 


「ぐ、ぐゅぅぅぅ……」


「あ、こら、クロノ! レティちゃんが嫌がってるじゃないのん!」



 その素晴らしい持ち前の筋肉で強制的にクロノからレティシアを引き剥がす。

 ちっと舌打ちするクロノは、ラグナルを睨んだ。

 てっきり引き剥がしたことを怒るのかと思いきや違った。



「今までレティを残してなにをしていたんだ! こちらは大変だったんだぞ」


「いや、こっちだって大変――て、なんかあったのか!」



 クロノはいつもの調子を取り戻して、ふんと鼻を鳴らすと、リズラが襲ってきた一連の話を教えた。

 それに焦りを滲ませるデュークと平然としているラグナル。

 二人の反応は正反対だった。



「レティ、どこか怪我はない!?」


「うん、大丈夫」


「私達がいない間になにかしてくるかと懸念していたけど、本当に手を出してきたのねぇ。まあ、レティのことだから瞬殺して終わりだと思うけどん」


「…………」



 レティシアへの信頼感を持つのは大事だが、信頼しすぎるのも問題である。

 実際に魔力を暴走しかかっていたので、レティシアは気まずくなってそっと視線を逸らした。


 代わりにクロノが説明すると、さすがに焦りを見せ始めた。



「レティが暴走とかシャレにならないじゃないぉー!」


「そうだと言っているだろう。お前達二人はどこへ行っていたんだ」


「こっちもいろいろ話すと長いのよん」



 ラグナルとデュークも、町に入り込んでいたいくつかの拠点を潰していたのだと、情報を共有する。



「ところでその女はどうしたのぉ~」



 うふふと、黒い笑みを浮かべるラグナルは、この場にリズラがいたら血祭りに上げそうな威圧感を放っていた。

 それはすでに周囲を探し始めているデュークも負けていない。



「レティの暴走した魔力で、どこぞへ吹き飛ばされていったみたいだ」


「あらん。残念だわぁ」


「まったくだ」



 もしリズラがこの場にいたらどうなっていたか、考えるだけでも恐ろしい。

 その様子には、さすがのエアリスもリズラに怒りを感じる隙もないようで、呆れている。



「いつの間にやら、やべぇ奴らに身バレしちまってるな。大丈夫か、レティ? いや、この場合心配するのはレティに手を出してきた女の方か?」


「あの中にフローレンスとラディオが加わってないだけマシと思おう……」


「それもそうだな。国の全戦力使ってきそうで一番ヤバいのがまだ残ってたか」



 話が終わり、レティシアは改めて部屋の中を見回す。

 自分が言えたことではないが、かなり悲惨な状態で、ここで寝るのは難しそうである。



「最悪食堂で寝るしかないかなー」


「暴走するからだ、馬鹿娘」


「ごめんて」



 自分が魔力を暴走させたせいなのでエアリスのお叱りも仕方ないと受け入れていると――。


 ラグナルと話を終えたクロノがわずかなためらいを持ちつつ、けれどその目にはしっかりとレティシアを写す。


 けれど、次に飛び出してきたのは、微塵も躊躇いを感じさせない言葉だった。

 


「これまでは、あなたに気がつかれたと分かってしまうと我慢していましたが、その必要もなくなったので寮の資金を増やそうと思います。ついでに部屋も一新しましょう」



 やけに声に力強さを感じる。

 なにやらいろいろと吹っ切れたような清々しさすらある。

 クロノの提案は願ってもない話だが、すぐさま突っ込んだのはラグナルである、



「おい! 俺が散々頼んでも聞く耳持たなかったやつが、急になに言ってやがる」



 と、思わずどすの利いた低い声が出たラグナル。

 これまで散々資金不足で苦労していたので当然の反応ではある。



「レティをこんなボロ小屋に住まわせるわけにはいかない」



 至極真面目にキリっと答えるクロノに、ラグナルとエアリスは呆れ顔。



「こういう奴に権力と金は渡しちゃいけないと思うぞ。レティのために学校資金全部横領してレティのために溶かしかねない」


「まったくだわん」



 後日、以前より立派な部屋ができあがり、ルーが不公平だと喚いたとか。







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