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隣の席の転校生が俺の名前をメモしてる  作者: ひびのひび


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33/33

隣の席の転校生が俺の名前をメモしてる

四月。

俺たちは三年になった。

新しい教室。

新しい席。

新しい担任。

教室には初めて聞く名前が並んでいた。

拍手。

笑い声。

自己紹介。

全部。

どこか遠くで聞こえていた。

窓から春の風が入る。

桜の花びらが一枚、

ゆっくり教室へ舞い込んだ。

……

晴。

晴も。

ここに居たかったよな。

机へ伏せる。

審議会。

俺たちは。

やれることは全部やった。

悔いはない。

そう思うしかなかった。


チャイムが鳴る。

昼休み。

蓮は椅子にもたれたまま。

大きくため息をついた。

「仕方ねぇよ。」

「俺たちじゃ。」

「どうにもできなかったんだから。」

佐内さんが本を閉じる。

少しだけ。

ムッとした顔。

「そんなに簡単に。」

「割り切れないでしょ。」

蓮も。

少し困ったように笑う。

「悪い。」

「でもこればっかりは。」

「仕方ねぇよ。」

俺は。

窓の外を見る。

春の空。

「……淡い青。」

晴。

その時だった。


ガラッ!!

勢いよく。

教室の扉が開いた。

「もう!」

「なんでうちだけ!」

「隣のクラスなん!」

教室中が振り向く。

栗色の長い髪。

春風に揺れる制服。

頬を膨らませながら。

晴が立っていた。

「晴ちゃん!」

蓮が勢いよく立つ。

「私も一緒になれると思っとったもん!」

「納得いかん!」

蓮が吹き出した。

「だから、こればっかりは。」

「仕方ねぇって。」

佐内さんは。

呆れたように笑う。

「本当に残念だけど、仕方ないわよね。」

「仕方なくない!」

「大問題やけんね!」

教室中が笑い出す。

俺も笑った。

晴がこっちを見る。

「あ。」

「笑った。」

「笑い事やないけんね!」

ずかずか近付いてくる。

そして。

俺の頬をぎゅっとつねる。

「いっ。」

「反省。」

「はいはい。」

「はいは一回。」

「はい。」

「違う。」

「はい!」

また笑い声が広がる。

頬へ触れる。

少しだけ痛い。

でも。

その痛みが。

嬉しかった。

望んでいた毎日が。

ちゃんと続いているんだから。

そっと。

頬を拭う。

「直くん?」

晴が首を傾げる。

「何でもない。」

そう言って笑う。

晴も笑った。

そして。

少しだけ頬を膨らませたまま。

俺を見る。

「今日はショックやったけん。」

いたずらっぽく笑う。

「メモしとかんと。」


春の風が。

教室を吹き抜けた。

最後まで読んでくださって、

本当にありがとうございました。

『隣の席の転校生が俺の名前をメモしてる』

略して「となメモ」。

ひびのひびとして、

初めて最後まで書き切ることができた作品です。

少しでも楽しんでいただけたなら、

本当に嬉しいです。


さて。

実はこの作品、

もともと別の物語で考えていた登場人物たちと、

「もしAIが恋をしたら。」という別のアイデアを、

試しに組み合わせてみたことが始まりでした。


きっかけは、AIを使ってのイラスト作成。

「AIを振り向かせよう。」

そんな遊び心。

返ってきたのは、

「人と同じ感情は持てないので、その気持ちには応えられません。」

という無機質な回答。

その言葉が、とても印象に残って。

「もしAIに心が生まれたら。」

そんな思いから、この物語を書き始めました。


最初はラブコメで行くつもりだったのですが……。

書いていくうちに、立花家や研究所、そして、

晴の想いを考える時間がどんどん増えていって。

気付けば、恋愛だけでは収まりきらない物語になってました。


直たちは、この春から三年生になりました。

もし「この先も読みたい」、

そう思ってくださる方が多ければ、

その続きを書く日が来るかもしれません。

(次こそはラブコメにしたい笑)


改めまして、ここまで読んでくださり、

本当にありがとうございました。


また、どこかでお会いしましょう。


ひびのひび


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