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宣告の時

薄暗い、日のひかりも届かない地下。

俺は今日から服役囚だ。元々は平凡な生活を送っていたが、

自動車の運転中に出会い頭で前方左側から来た自動車と衝突事故を起こしたのが原因でここにいる。

ひどい衝突の仕方だった。相手は高齢者で、頭を強く打ったのが致命的で・・・

もう、思い出したくもない。

初めて見る人の目が届いていない薄暗闇の世界。一体、ここで俺は何をしろっていうんだ。


かなり広い大部屋に連れられた。ただ広いのではなく、高さもある。3階建ての建物がすっぽり入るのではないかという程はある。

壁に大きなモニターが用意されている。ここで何か起こるのだろうか。

俺はそこで呆然としていたが、おかしい。次から次へと、同じように囚人服を着た連中が俺と同じように入ってくる。

中には、見覚えのある顔もあった。その顔を見たのはつい最近。

TVニュースでたまたま見かけた顔だ。確か、誘拐殺人で捕まった中年男性。

印象的な顔立ちだから、覚えている。しかしなぜ・・・

数十分後、最後の囚人が入れられたところで、唯一の開閉扉が閉じられ、外から鍵がかかる音がした。


「ご機嫌よう、服役中の諸君ら。」

声は広間のスピーカーから聞こえてきたが、かなり高い位置からこちらを見下ろす人たちがいる。

おそらく、その中のマイクを持っている白髪でスーツをきた男の声だろう。

「私は今後、諸君らの処遇、管理を任された。名前は『貸城(かしぎ)』だ。

今日は貴様らに重大な話がある。話をする前に、貴様らにはコイツを見てもらう。」

貸城が後列の同じスーツ姿の人とコンタクトを取ると、モニターに文章が映し出された。

これは・・・異動契約書?

「モニターで見えているだろうが、説明させてもらう。

こいつは異動契約書。簡単に言えば、たった今から貴様らは俺の管理下に置かれるという契約ですでにサイン済みだ。

そして次、こいつが諸君らの今後の生涯を決めるといってもいい程の重大な話。」

固く閉じられていた開閉扉が開かれた。その扉から、次々にスーツ姿の男たちが入ってくる。

「諸君らはまず、組み分けを行ってもらう。今入ってきた係の者が持っているくじ引きの箱から1枚だけ取り

そこに書かれた番号を表に記入してもらう。誰から引いても構わない。

さあ、全員引きたまえ。」


ゾロゾロと、くじを引く列が出来上がる。一体これがどうなるっていうんだ?

・・・くじは無事引けた。【B-06】とメモに書かれてある。

別の係員が持つ表に、俺はメモの内容を書き込んだ。

先人の文字を見るに、アルファベットと数字の組み合わせはどれも共通している。


スーツの係員がサインを出すと、貸城は続きを語った。

「全員終わったな。では、続きを話そう。

今回の組み分けはアルファベットだ。同じアルファベットだった者は同じ組になる。

この組み分けで、諸君らにはお金をゲームをやってもらう。これは強制だ。

さて、その肝心なゲーム内容だが・・・これだ。」

モニターの表示が切り替わる。

「【ダウト】・・・ごくごく普通のトランプゲームの一つだが、やり方を説明しよう。

裏向きのまま、山札のカードをプレイヤー全員に配る。プレイヤーは配られたカードを手札として扱う。

親から時計回りで数字を言いながら、中央に裏向きのままカードを置いていく。

1、2、3、4・・・ おいていく中で、プレイヤーが言った数字と、裏向きのまま置かれたカードの数字が違うと思ったら、

『ダウト』と宣言するんだ。その時、裏向きに置かれたカードを表にすることができる。

カードが、実際に言った数字と違っていたら中央に置かれたカードを全て、嘘をついたプレイヤーの手札にし

逆に宣言通りの数字のカードだった場合、ダウトを宣言したプレイヤーが中央のカードを手札として加える。

これを誰かが手札0枚になり、上がるまで行うのがダウトというゲームだ。

さて、大まかな説明だが、詳しいルールは今から係員が配る紙に書かれてある。」

係員数名が用紙を配っていく。説明を受けたダウトのルールと・・・『特殊ルール』?


「しかしこれは先程も言ったが『生涯を決める』ほどの重要なゲームだ。ただのダウトではない。

特殊ルールを付け加えてあるからこれも説明する。

まず一つ目。掛け金(ベット)についてだ。

諸君らが行うゲームは全てお金をかけなければ勝負ができない。

このダウトは1ターン・・・つまりカードを1枚使って中央に置くたびに1回ベットしていかなければならない。

その額は1度のベットに付き10万と20万円の2種類がある。一度ベットしたお金は勝負がつくまで動かせない。

このダウトは1着と2着までがベットされたお金の配当を受ける権利がある。

つまり1位と2位までしか賞金はもらえない。そしてもらえる賞金。

1位が70%、2位が20%の割合だ。残りの10%は運用費として我々が徴収する。

そして、このダウトは8名で行う。6名が手札7枚、2名が手札6枚でゲームが始まる。

トランプはマーク4種、1から13までのものに加えジョーカー2枚の54枚。

ジョーカーはどの数字としても使えるが、最後の手札1枚のときに場に出しダウト宣言を受けると、

中央のカードを全て手札に加えなければならない。

そしてジョーカーをベットするときは必ずベット額を20万円にして出さなければならない。

いいな、ベット額を間違えるなよ。


2つ目、リタイアについてだ。

リタイアはゲーム中、いつでも可能だが、リタイア時に500万円をベットしてもらう。

これで完全にゲームから退場できる。

ただし、3名以上のリタイアが確定したときにゲームは終了となる。

この時の順位は1、2着が決まっていなければ手札の枚数順となる。

リタイアのベットが済んだらそのプレイヤーにはその後ゲームには一切介入させられない。

当然だが、すみやかに退場してもらう。


3つ目、犯則について。

ゲーム中の犯則はいかなる場合でも800万をその場でベットしてもらう。

それで、お咎めなしだ。以上も以下もない。


以上だ。何か質問はあるか?」

あたりはざわついている。

「・・・・・・まあ、質問があれば明日またこうして揃うときに受け付ける。

明日から勝負開始だ。それまではじっくり策をねることだ。

最後に、ベット額の資本源だが、これは組み分けに使われた番号に依存している。

アルファベットごとに、残りがどれだけあるのかが既に決まっている。

全額なくなるなんてことはどう考えてもありえないくらいの量があるから、遠慮なく勝負していただきたい。

ただし、個人でどれだけ支出したかはしっかり記録させてもらう。その記録を下に、

マイナスならその分のペナルティもある。プラスならボーナスがある。

それを胸に刻んでおけ。ここでの生活を豊かにしたいのなら、プラスになるように、

マイナスが増えないように考えて行動することだ。では、解散!」




結局、明日から俺たちが勝負することくらいしか実感が湧いていない。

当然だ。ルールペーパーを見ても全然さっぱりだ。どうやって、どのようにして勝てばいいんだ。

先の見えない不安を紛らわせるために、俺は個人に与えられた個室にあるベッドに横になり眠りについた。

明日、恐ろしい勝負が起こるとも知らないままに。

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