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37 かきかけの作品➂




 僕らの展示会のテーマは“食”に決まった。

 もちろん食べ物を提供する場ではなく、クラスの芸術家たちが食べ物に関する芸術作品を展示する出し物だ。食玩、アート、イラスト、アニメーション…様々な美味しそうなものを揃えた。


 装飾にも拘っていて和食のエリアと洋食のエリアでまったく違う内装に仕上がっている。芸術室にはそういった道具が多くしまってあるから、それらを有効活用して予算を節約できる。


 出し物が完成して改めて思う。

 やっぱり華岡の天才はすごい。


 食玩はまさに本物そのもので、筒紙さんが描いた絵画は見ているだけで食欲をそそる。ひたすらに料理を楽しむアニメーションはパソコンでループ再生されているけど、既に動画投稿サイトで100万人の視聴数を稼いでいる。

 他にも興味深い作品は盛り沢山だ。


「これすごく美味しそう」

「もうちょっと細部を詰めたかったけどね~」

「あ、これもすごいよ」


 準備期間中はクラスメイトの間で楽し気な会話が交わされていた。もう五十鈴さんグループだけの輪ではない、クラス全員が一丸となっている。


 文句なしのいいクラスになったんじゃないかな。





 準備期間を終えて学園祭当日。

 僕らのクラスは展示するだけの出し物だから、順番に店番をするだけでその他は自由に行動することができる。適当に出し物を回りながらポスターで宣伝するだけで十分だ。


「いよいよですね」

「うん……!」


 僕たち五十鈴さんグループは教室前の廊下に集合している。


「午前中は朽木殿がスポーツ大会に参加するのだな」

「ええ、応援してよね!」

「私も勝手に出場することになったのだが…」

「…うん」


 女子組は日ノ国さん、朽木さん、出雲さんといつものメンバーに加えて、筒紙さんも一緒になって学園祭を回ることになった。


「俺も男子の部で出場するぞ」

「写真撮影はおまかせ」


 さらに男子組は一枝くんと城井くんも一緒だ。おまけに今回の学園祭実行委員の仕事である写真撮影は、城井くんが引き受けてくれた。


「最初はスポーツ大会を観戦しますけど、僕と五十鈴さんと筒紙さんは午後になったら大学部の校舎に行きますね」


 取りあえず大まかな予定を確認する。

 僕たち三人は障害物競走の観戦はするけど、基本的には大学部の出し物を回ることになるだろう。例のイベントに筒紙さんの探し物とかもあるからね。


「それじゃあ行こう……!」


 五十鈴さんは先陣を切って前を歩く。

 もう入院していたブランクも、周囲の噂や視線もなんのそのだ。

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