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夕凪の天使たち 1

 七月一日。今日から私立E・T高校の制服は一斉に夏服に衣替えされた。急いで校門をくぐる生徒達の白い制服に混じり、新しい半袖のブラウスを着た麻乃美咲は、いつものように予鈴ギリギリで二年A組の教室に駆け込んだ。

「おっはよー! 美和ちゃん、あさみちゃん」

「おはよう、美咲。今日もギリギリセーフね」

 卯野美和が美咲に笑顔を向けた。その横には、眠そうな目をして机にへばりついている一ノ瀬あさみが居る。

「あさみちゃんも、おはよう」

 机に鞄を置きながら美咲があさみに手をあげたが、あさみは少し目を開いただけだった。

「朝から元気ねー、あんたは」

「あさみちゃんは朝から元気が無いね」

「……眠いのよ」

 そう言ってあさみはに机に突っ伏す。

「あさみ、ここ最近ずっと朝はこんな調子なのよ」

 あさみの頭を撫でながら美和が心配そうに見た。

「あさみちゃん、シゲルさんと会えなくなったから寂しいんじゃないの?」

 からかい半分で言った美咲だったが、あさみはその言葉に敏感に反応した。ガバリと身を起こして美咲を睨む。

「そ、そんな事ないわよ! なんで私があんなヤツなんか!」

 真っ赤になって言うあさみを見て、美咲はキャハハと笑う。

「ねぇねぇ美和ちゃん、賭けは私が勝つかも知れないね」

 美咲と目を合わせて、美和が苦笑いした。

 つい先週、麻薬にからむ事件があさみの身の回りで起こった。美咲と美和はその時にあさみと共に行動していた報道カメラマンの露木シゲルという青年と、美咲と同じE・T高校の二年D組に通う角間遷という男子と、どちらがあさみとくっつくかという賭けをこっそりしていたのだ。今のところ、結果は出ていない。

「あ、ところで思い出したんだけど、シゲルさんと倉庫で大暴れした時に……」

 美咲が言いかけると、本鈴が鳴った。同時に教室に担任の柱が入ってくる。

「あちゃ、また次の休み時間に言うね!」

 三人はそれぞれ、席に戻っていった。



 次の休み時間、美咲とあさみは美和の席に集まった。

「さっきは何を言いかけてたのよ?」

 やっと目が覚めた様子のあさみが美咲に聞いてきた。

「うん、あのね、倉庫に警察の人達が来たでしょ? あの時に来ていた一番偉い人が規則警部って言うんだけど」

「あぁ、あのダンディな感じの人ね」

 美和は唇に手を当て、当時居た警官の顔を思い出してみる。

「その規則警部、私のパパの友達なんだって。しかも、隣に越してきたらしいの。昨日の夜、パパに聞いてびっくりしちゃった」

「へぇ、偶然ねぇ。そういえば美咲の家の隣に家が建つって言ってたけど、規則警部の家だったのね」

「私、気を失ってたからあまり覚えてないわ、ダンディなら一度見てみたいわね」

「今日、規則さん一家が私の家に遊びに来るんだって。私、キックした所見られちゃってるから、少し恥ずかしいな」

 美咲が眉をしかめつつテヘヘと笑った。警部の前で、ヤクザ相手に派手な飛び蹴りをしてしまった事をいまさらながら恥じているようだ。

「でも、警部さんとお近づきになれるなんて滅多に無いことだから、気にしないで楽しんでらっしゃいよ」

 美和に微笑まれた美咲はニッコリ笑った。

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