ギルドマスターがお説教しちゃうぞ
イバラーク(32)
農業ギルドのギルドマスター。
赤みがかった短い髪で身長が高くガタイも良いので農業ギルドより戦士ギルドのギルドマスターのほうがしっくりくる。
農業以外は何でも器用にこなす。
シニオレ(約800)
旅の途中のドラゴン。
休憩と称してエヒムの土地でごろごろしている。
博識。
『済まぬ』
「スマンで済むか!?」
『鼻がムズッと来たので我慢できんかった』
シニオレが放ったブレスは山脈の一部を削り取り、上空彼方へと消えていった。
山を登らなくても大災害跡地へと入る道を確保するという目的は達せられたが、イバラークの想定とはかけ離れている。
どうやら、シニオレはブレスを吐く瞬間くしゃみをしたらしく、大きく軌道と威力を間違えたらしい。
シニオレも軌道をどうにか逸らそうとしたのだが、正直うまくいったとは思えなかった。
しかし、どうやらギリギリで軌道を空のほうへと制御できたらしく、大惨事はまぬがれた。
『小僧が死ぬのはともかく、エヒムの坊らが死ぬのは寝覚めが悪い』
「おう、性悪ジジイ、俺はどうでもいいんか?」
『殺しても死ななそうだしな』
「よし、表出ろ」
『ここは外だ』
なんというか、イバラークはシニオレに対して遠慮がない。
ギルド員はほとんどが年下であるし部下である。
庇護の対象なのだ。
対してシニオレは年上だし、ドラゴンという上位種である。
シニオレを対等以上の存在と認めているからのこの態度なのだ。
イバラークにとっては珍しい存在といえる。
それをイバラークが意識しているかはわからないが。
『まぁ許せ。結果被害は無かったのだから』
「中途半端な報酬よこしやがって。鱗はがして持ってくぞ!?」
竜鱗は超高級素材の一つだ。
竜鱗で作った防具は並みの剣士が使う大剣くらいなら余裕ではじき返す。
金を積んでもなかなか手に入るものではない。
貴族やバリバリの上級戦士はとにかく手に入れたい代物である。
『そんな簡単に言うでない。貴様らの毛を抜くのとは違うんだぞ? たとえるなら貴様らの爪をはがすようなものだ』
「へいへい、わかりましたよ」
『まあ、なんだ。生え変わって抜け落ちた鱗ならくれてやるぞ』
「マジで!? ウヒャハァ! 言ったぞ!? 約束だからな!」
別にイバラークに成金趣味があるわけでもないし、戦闘を生業とする戦士でもない。
イバラークには無用の物に思える。
『なぜにそんなに鱗が欲しいのだ?』
ピタリ。
イバラークの動きが止まり、その目は鋭い眼光を宿す。
ため息を一つつくと、遠い目をして右手で顔を覆うようにかざす。
「シニオレ、お前も知っているだろう・・・・・・」
声のトーンが一段も二段も下がっている。
シニオレはイバラークを黙って見下ろす。
「うちのギルドには・・・・・・悪魔がいる」
『悪魔・・・・・・?』
「ああ、そうだ。やつはギルドにいる俺の目の前に現れるたびに、防壁を破壊してこようとする」
『・・・・・・狙われている、という事か。それで我の鱗を防具にしたい、と』
イバラークは首を振る。
「やつはもっと恐ろしい攻撃を仕掛けてくる。防具ごときでは防げない。だから、俺はせめて防壁だけは強化しておきたい」
イバラークほどの男が恐れる悪魔とは、一体何なのか。
悪魔族は確かに強いがシニオレの足元にも及ばない。
ドラゴンを恐れないこの男が何を恐れるというのか。
「奴の名はアキータ。この世に舞い降りた魔王だ」
うん、確かにイバラークが恐れる相手だった。
先日はご迷惑をおかけしました。
そして評価をしてくださった方、ありがとうございます。
皆さんのしてくださること一つ一つが執筆する力となります。
え~、私事ではございますが、夜もお仕事することになりましたので、更新が不定期になる可能性があります。
申し訳ございません。
可能なかぎり更新はしますが、お休みの時があるので、ご容赦下さい。




