ギルドマスターもまだまだ小僧
イバラーク(32)
農業ギルドのギルドマスター。
赤みがかった短い髪で身長が高くガタイも良いので農業ギルドより戦士ギルドのギルドマスターのほうがしっくりくる。
農業以外は何でも器用にこなす。
ホッカイ(19)
輝くような銀髪に青い目を持つハーポーンの英雄。
農業初心者だが、農業が好きすぎて農業をしているとしょっちゅうデフォルメされた二頭身の姿になっている。
シニオレ(約800)
旅の途中のドラゴン。
休憩と称してエヒムの土地でごろごろしている。
博識。
『何たる美味! 凝縮された甘味とほど良い酸味、溢れんばかりの果汁! 肉厚なのに硬さはなく口の中でとろけるようだ!』
シニオレはドラゴンなので、金属製の鎧だって容易く噛み砕く。
そんな奴に『硬さはない』とか言われたくない。
ドラゴンなのに食レポするのはどうなんだろう。
いや、偏見かもしれないが。
ホッカイは素直に照れているが、イバラークはうろんな目でシニオレを見上げる。
『なんだ小僧、その目は』
「いや、ドラゴンってみんなそんな感じか?」
『? お前ら人間にとってみればドラゴンなどどれも同じに見えるのではないか?』
シニオレは質問の意図がわからずに答える。
イバラークは、忘れてくれとひとこと言って手をひらひらさせた。
その後もシニオレは食べ続けた。
ゆうに自分と同じ体積くらいを食べているのではないだろうか。
おそらく消化の速度が桁違いなのだろう。
それだけ食べているのに腹は多少膨れているくらいで、あれだけの食べ物が腹に入ったとは思えない体である。
改めてドラゴンという種族が人知を超えた存在だと思わせられる。
『ふぅ、我は満足だ。これでこの先1年は持つだろう』
燃費が良すぎる。
普段からごろごろしているからかもしれないが。
『どれ、食休みをしたら対価を払ってやろう』
ドラゴンの性能を目の当たりにしてしまうと、食休みなんてものはドラゴンには不要だと思うのだが。
十中八九いつものだらけ癖だと思われる。
いつもはエヒムの土地の池のほとりでごろごろしているが、今日はホッカイの土地で仰向けになったりうつ伏せになったり、足上げ腹筋したりしてたっぷりと休憩をとっている。
ごろごろしたりプチ筋トレをしている間、ご機嫌で作物の世話をするホッカイを眺めていた。
飽きもせずホッカイを眺めていたので、イバラークは思わず一言いれる。
「あれは食料じゃないからな。ま、食おうと思ってもてこずると思うけどな」
『食べるか、バカタレ。まずは小僧、貴様から喰らってやるか?』
イバラークはにぃっと笑う。
「面白い提案だ」
シニオレはフン、と鼻を鳴らす。
シニオレにしても本気ではないが、ドラゴンににらまれて楽しそうに笑える人間がいるのは想像できなかった。
まったくもって不思議な男だとシニオレは思う。
ホッカイも相当面白いが、イバラークはもっと面白い。
『まったく、人間は貴様くらいになると角が取れてくるものなのだろう? 楽しそうな顔をしおって』
「ドラゴンに遊んでもらえるなんてのは、そうそうない経験だからな」
『やはりまだまだ小僧だな』
シニオレがおかしそうに笑う。
イバラークは憮然とした顔をシニオレに向ける。
確かにシニオレにしてみればイバラークはまだまだ小僧かもしれない。
ドラゴンと人間では寿命が違いすぎる。
それでも物怖じしない所もまた、シニオレには面白い部分なのだ。
みなさん、いつも読んで下さってありがとうございます。
ドラゴンって本当にいたらどんなんですかね?
ただの恐竜かな?
爬虫類ではない、別の生き物になる?
気になってしまいます。
皆さんはドラゴンのイメージってどんなのですかね?




