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R039話 乗り込む者達②

 1942年夏 『日本 横須賀』


 軍服を着た男達が列を作って空母レキシントンへの乗艦の順番を待っていた。


「大佐、俺達ゃぁ情報戦専門だぜ。アメリカで何をしろって言うんだ?」

 列に並んでいる一つの部隊の中で体格の良い大男がぶつくさ言っている。


「情報戦に決まっているだろう」

 しかし大佐はまともには取り合わず、そっけない。


「アメリカでかぁ? 俺達ゃぁこれまで中国を専門にして来たんだ。全然知らねぇ所に行かされてもなぁ」

 大男の愚痴は止まらない。


「もうやめねぇか。どんな命令が出されても黙って従う。それが宮仕えっていうもんだ」

 髭もじゃの中年男がたしなめる。


「そうそう。宮仕えは辛いもんなのよ」

 一番若い男が軽い口調でからかうように言う。


「そうは言っても俺達の命がかかっている事にかわりはない」

 片方の眼に眼帯をしている男が冷静な声で指摘する。


「だろぅ」

 大男がその意見に嬉しそうに頷いた。


「だが、命令だからな拒否はできない。拒否すれば抗命罪で軍法会議だ」

 禿頭のこちらも体格の良い男がそう指摘する。


「ほらっ、列が動き出した。行くぞ、お前達」

 大佐が話しを締めくくらせる。


 大佐達の前に並んでいる戦闘服を着た二つの部隊の男達が進み始めている。

 両方の部隊が日本陸軍では採用していない戦闘服を着ていた。

 一番前の部隊は赤いベレー帽を被っており、片目に眼帯をした男に率いられている。

 それに続くもう一つの部隊の戦闘服にはプロテクターが付けられ、その右肩のプロテクターだけが真っ赤な色をしている。

 そのグループの後について大佐達は進み始めた。


 彼ら情報工作専門の特殊部隊「堕射灸家(きしゃやいとけ)」はアメリカでいかなる作戦を行うのか。

 それを知る者はごく僅かだ……


【to be continued】

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