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頑張れ!笑顔なPKくん!  作者: ミスタ
9/33

第9話:取得

狂気が始まる中で

 いままで効率狩りのポイントや、レベリングのために最適な虐殺スローター系クエスト、

高額賞金のレアモンスターとかそんな感じの掲示板しか見てなかったけど、

今頃になってそれを後悔していた。

おもいっきりハイスキル化の取得条件とかが載ってるじゃないか。

でもこれを見てたらエフェクトが傾奇者とかに派生していた可能性もあるのか。

おお、こわいこわい。

でもまだハイスキル化してないやつをどうこうするにはこれを見たほうがいいんだよな。

だけどNewの特典を得るにはまだ無いことをしたほうがいいのか。

ちょっと特典とやらを見てからでも遅くは無い。

そこで人気のない場所に移り、特典とやらを見てみる。

特典は、えっと、クエストの受注権を手に入れるか、

そのスキルに見合った装備を手に入れるか、

レベルを強制的に2上げるかのうちから選べばいいらしい。

なんだかこういうときのクエストはフラグになることが多いから、

クエストをとっておこうかな。

そう思ってクエスト受注権の欄を押した瞬間、

意識があっさりととんだ。

ああ、ピースエリア内でよかった。


 目覚めるとそこは

…見知った天井だった。

「お久しぶり?ですね。 人形さん」

一番最初に来た部屋、キャラ決め姉さんのところだった。

というか何故疑問系?

最近どこか出会ったりしたの?

記憶が飛んだりしちゃったのかな?

怖くなったので理由を聞いてみた。

「いえ、たいした理由ではありません。

前にお見かけした姿と今の姿が著しく異なっているので、

本当に同一人物かと疑問に思っただけですから」

どうやらキャラ決め姉さんは心眼系能力を持っていて、

PKスキルの雰囲気とやらを感知したらしい。

それにこの姿では結局前に出なかったしな。

そのせいもあるのだろう。

起き上がって座りなおし、

ちなみに前に座っている、

話す体制に移行する。

「それでクエストを受けに来たんですが、

何をすればいいんですか?」

そういうとキャラ決め姉さんは本題を思い出したかのように、

ポンッと手を叩く。

もしかしてこの姿を見せに来たとか、

久しぶりに会いに来たとかそういう話じゃないのは分かってるよね。

「クエストでしたか。

それでしたら今の望みをおっしゃって下さい。

もちろん私達NPCに出来ないことは実行できません。

そんな願いを言った場合でも、

願いの回数に入るので注意して下さいね」

つまりは出来ないことを言ったらそれだけで特典の回数が減るらしい。

おお、こわいこわい。

今だったら何が必要かな?

レベル? いや、カルマレベルで事足りてる。

アイテム? 必要な奴は攻略組御用達ショップで買えば事足りる。

装備? 属性とかいろいろあるから、

後で困ることになる。

じゃあ、

「スキルで御願いします」

「スキルなんて、ああ、交換してほしいのね。 何がいいですか?

選ぶならノーマルからになりますけどよろしいですか?」

何か勘違いしているようだけどスキル自体は気に入ってるぞ。

今使っていないスキル枠七個をどうするかって事だよ。

「いえ、新規で」

「まっ、まさか、スキル枠を埋めてないんですか?

縛りプレイ? まさかそれもロマンの一つとおっしゃるのですか?

やはりPCの考えというのは予想を超えることを考えてきますね。

それで新規スキルですか。

それでしたら別の担当がおりますのでそちらへどうぞ」

酷い役所仕事だな、と思いながら、

本日二度目になる意識のブラックアウトが発生した。


 今度は見たような見ていないようなはっきりしない部屋だった。

なんかいろんなものがごっちゃごっちゃになって、

何屋さんか全然分からない。

あれ? こんな感じのセリフって確か前にも言ったぞ。

どこでだったか? ああそうだ、

いつもお世話になっている人形装備の店の紹介状をくれた店だ。

確かあの時「面白くなったらまた来い」みたいなせりふを言ってたけど、

今の俺はその面白さに足る資格はあるのだろうか。

「ぐにゃ、あるのですよ。

それよりいつまで寝っころがってるつもりなのですか?

さっさと起きるのです」

蹴られた、痛い。

「みにゃ、それで0001ちゃんから聞いた話によると新規スキルでしたっけ?

それなのですが…」

俺を見下ろしながらとてもにこやかに告げる。

「すにゃ、たぶん他のスキルもハイスキル化したら新規になりそうですけど、

めんどいので他のをいったんハイスキル化した後で、

まとめてスキルをぶっこむのです。 決定権は私が握ったのです」

そういって前と同じように引きずって奥に行き、

寝ている青年の頭に蹴りを入れる。

その青年は何事も無かったかのように起き、

ぼんやりとした目でこちらを見つめる。

「あア、いつぞやの子か。

なかなか面白そうな雰囲気を纏っているじゃないカ。

三世と遊び終わったらいつでもいいから店によりナ。

PK用のネタ装備でもつくってやるヨ。

じゃあお休ミ」

「ふにゃら、お休みじゃないのですよ。

じいさん、ちょっとスキル使うので、

ちょっくら隔離世界を創るのです。

早くするのです」

俺に装備をつくってくれるということを伝えた後、

再度寝ようとした青年の頭に再び蹴りが入る。

おいおい大丈夫かよ、とかって思っていたら、

本日三度目の意識<以下略>


これから起きる出来事は、

確かに強制はされたものの、

楽しくも残酷な出来事だ。

ちょっと同じ作業を繰り返してたときもあるから、

少し省略させてもらいたい。

それではその時間に起こったことを話そう。


 俺は初めて本格的な調理場にたった。

現実の家の台所は基本的に、

惣菜や冷凍食品あっためる電子レンジと、

カップ麺のための水道と、ちっちゃいコンロしかなかった。

そしてこっちの世界で料理スキルを使う場面と言ったら、

攻略中に狩ってきた獲物を調理するわけで、

もちろん設備なんて無かった。

あって水道代わりの川と、コンロ代わりの焚き火、調理台代わりの切り株、

せいぜいがその程度だ。

それに比べてこの設備はなんだろうか?

白く輝くよく分からない機材<冷蔵庫>、

電子レンジの親玉<大型オーブン>、

ドリンクバーの兄貴<製氷機>、

無駄にいっぱいある包丁<和包丁もあります>。

それらを使ってこれまたみずみずしい野菜を、

ただし野菜しかないが、

何回も、十数回も、数十回も、調理して、料理して、加工して、切り刻んだ。

 

 そして始めて使う実験室ラボ<以下略>

また何回も何回も何回も何回も薬品の調合を繰り返す。

単純な作業だったから失敗することは無かったけれど、

単調な作業だったから飽きることはあった。

でもそんなそぶりを見せるわけにはいかなかった。


 一度だけ、もう飽きたから帰りたいと言ったことがあった。

そしたら「むにゃ、面倒なので却下なのです」と言う言葉が返ってきた。

さらに「ぎにゃ、次言ったらかみかみするのですよ」という言葉もついてくる。

かわいらしいので「我々の業界ではご褒美です」といってみる。

肩ごと腕を食いちぎられる。

比喩とか誇張じゃない。

気付いたら腕が丸々なくなっていて、

そして気付いた瞬間激痛が走り、

そして彼女の口には腕が一本飛び出ていた。

「ぐにゃ、簡単な作業だから腕一本でも十分いけるのです」と言われる。

そして思う。

恐怖政治ってこんな感じなのかな、っと。

ここからが悲劇の始まりだった。


 腕一本犠牲?にした甲斐があり、

製作<料理>と製作<薬>もスキルレベルが10になった。

そしてその後野菜しかない理由が分かった。

野菜の次に出てきたのは肉。

それも牛肉だとか豚肉だとか、

そんなやさしいもんじゃねえ。

一言で言うなら人肉。

詳しく言うなら目や鼻や耳や髪の毛が取り除かれた、

まさに肉袋とでも表現したらいいのだろうか。

そんなものがごろごろあった。

次にこれにいままで調合してきた薬を投与しながら調理するらしい。

確かに俺はPKの道に目覚めたかもしれない。

だからと言って人間を調理するなんて奇特な趣味は、

人間を食べるなんて残酷な趣味は持ち合わせていない。

だけど…もう…やるしかない。

ここまできてしまったんだ。

この道を選んだんだ。

人を殺したんだ。

だけど…。


 うじうじ悩んだ割りには、

一度やってみると慣れた。

数回やってみるとはまった。

意外と人肉ってこりこりとしている。

あと食べているときに肉に模様を描き腐らせる遊びを教えてもらった。

食べられなくなるので死体処理用に使うよう言われた。

食べられないのは確かに勿体無い。

そして他のをおいしく食べた後ステータスを確認した。


#人形 男<Lv83<+55>>

Str:420<+280> Vit:42<+280>  Int:42<+0>

Min:42<+280>  Dex:42<+28>   Agi:840<+56> 

MP:42<+0>     Luk:210<+56>

スキル:死の雰囲気<2>、一方的な攻撃<3>、New感染型状態異常<1>、隠蔽<10>、

死の感覚<3>、呪刻魔法<1>、New人喰<3>、惨殺<4>、

New実験動物モルモット<1>、快楽殺人<3>、PK<黒>


 これで隠蔽以外のスキルは全てハイスキル化した。

やったぜ!

ドッペルゲンガーに会うまで一つたりとも、

ハイスキル化しなかったのが嘘のようだ。


 次に戦闘方法をがらりと変えてみた。

今までは銃で牽制し、巨大な人形で殴っていたが、

アドバイスを受け、

相手の動きを狂わせ、または硬直させ、

一回攻撃したら後は一方的になぶるという、

一対一に特化した戦法だ。

そしてそれに必要なスキルも習得し、

PKとしてこれ以上ないほどの俺が出来上がった。

まあ、そんな考えは後日木っ端微塵に打ち砕かれるわけだが、

今の俺はそんなことを盲信してしまうくらい、

調子がよく、機嫌がよく、気分がよかった。


#人形 男<Lv83<+55>>

Str:420<+280> Vit:42<+280>  Int:42<+0>

Min:42<+280>  Dex:42<+28>   Agi:840<+56> 

MP:42<+0>     Luk:210<+56>

スキル:死の雰囲気<2>、一方的な攻撃<3>、感染型状態異常<1>、隠蔽<10>、

死の感覚<3>、呪刻魔法<1>、人喰<3>、惨殺<4>、

実験動物モルモット<1>、快楽殺人<3>、PK<黒>

無拍子<R><1>、認識の歪み<R><1>、ペイン<R><1>、遅覚<R><1>、

伝達阻害<R><1>、悪夢<R><1>、

君と僕だけの世界<SR><1>


 ってあれ? 8つじゃない だ と!

「ぬにゃ、PKで一つ埋まっているのです。

それがPKの哀しい悲しいかなしいカナシイ宿命なのです」

まるで自分もそうであるかのように、とても実感のわく言い方だった。


「そういえば、君って何なの?」

「ぷにゃ、私はMs.TBS三世。 NPC枠のプレイヤーなのです。

どこかであったら気軽に万能とでも呼ぶのですよ。

じゃあ、また会うときまで さ よ な ら」

そして今日最後の意識のブラックアウトが訪れる。


 気が付いたらホームのベッドにいた。

まさか夢オチかよって思ったけれど、

日付は進んでいるし、ステータスも変化している。

そしてタロットは俺を探しても会えず、

なぜかメールもつながらず困惑している。

ここは俺が悪いと思うのでなんか奢ってやるとするか。

そう思ってタロットにメール送り、

一緒に夕食を食べた。


 また人間 タ ベ タ イ ナ。


”キャラ紹介”

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