表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義弟に嫌われているので侯爵家を出たら、なぜか毎日探し回られています。  作者: アキラ・モーリング


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/12

11 リディアだけが知らなかった

「だから、リディアが好きなんだよ!」


 ユリウスの言葉で、応接室が完全に止まった。


 リディアの頭も真っ白になる。


 好き。


 その言葉と同時に、今までの出来事が一気に繋がってしまった。


 送り迎え。


 過保護なくらいの世話。


 護衛を理由に常に側にいたこと。


 自然に繋がれる手。


 リディア呼び。


 男達へ向けられていた妙な圧。


 だがリディアにとって、それは全部、


 “仕事を応援してくれているから”


 だと思っていた。


 義弟として。


 家族として。


 だから突然、“好き”と言われても理解が追いつかない。


 一方で。


 レオニードは片手で額を押さえていた。


「……お前、よりにもよってここで言うのか」


 半ば呆れた声だった。


 アレクシスとフェルディナンドも、何とも言えない顔をしている。


 完全に仕事の話の流れだった。


 そこへ突然の告白。


 だが二人とも、


(今なのか)

(いや、まあ……ようやくだな)


 という顔で、必死に空気になろうとしていた。


 そしてエレノアだけは、小さく目を丸くした後、くすりと笑う。


「……リディアったら、本当に気づいていなかったの?」


「お、お母様まで……!?」


 リディアは完全に混乱した。


 助けを求めるように周囲を見る。


 だが。


 侯爵は咳払い。


 フェルディナンドはお茶を飲み始め。


 アルベルトは露骨に視線を逸らす。


 誰も助けてくれない。


 というより。


 余計な事はするな、と言わんばかりに、ユリウスが全員を睨みつけていた。


 その圧に、三人とも完全に巻き込まれ拒否を決め込んでいる。


 リディアは恐る恐るユリウスを見る。


 だがユリウスは逃がす気がなかった。


 掴まれた手は、離してもらえない。


 別にユリウスから逃げたいわけではない。


 けれど。


 この状況からは逃げたかった。


「え、えっと……」


 どうにか言葉を探す。


「その、……急にそんなことを言われても困るわ……」


 だって今まで弟だと思っていたのだ。


 好きと言われても、すぐに答えなど出せない。


 するとユリウスは真っ直ぐ言った。


「……言い淀むってことは、嫌いじゃないんだろ?」


「もちろん嫌いじゃないわ!」


 思わず即答する。


 ユリウスの眉がわずかに上がった。


「じゃあ好きなんだな」


「そ、それは……家族としては、好きに決まってるでしょう」


 好きという言葉がなんだか恥ずかしくなって、だんだんと声が小さくなってしまった。

 

 でも、本当に自分にはもったいないくらい大好きな家族なのだ。


 ユリウスはリディアの言葉を一言一句聞き流さないように真剣に聞いていた。


「なら問題ない」


「問題ないの!?」


 リディアは思わず叫ぶ。


 するとユリウスは落ち着いた声で続けた。


「俺が学院を卒業するまででいい。その間、弟じゃなく、一人の男として見てほしい」


 静かな声だった。


「その二年間だけは、リディアの隣にいる権利を貰えないか?」


 だが、その眼差しには逃がす気のない熱がある。


 隣に……。


 ユリウスは、これからも送り迎えをしたり、お茶を一緒にしたりするということだろうか。


 それなら今までと、さほど変わらないように思えた。


「それくらいなら……もちろん……」


 あまりにも自然に言われて、リディアは反射的に頷いてしまった。


 するとユリウスがふっと笑う。


「ありがとう。じゃあこれからは婚約者としてよろしく」


「……え?」


 リディアの思考が止まる。


「こ、婚約者!?」


「当然だろ」


 ユリウスは平然としていた。


「貴族社会で、未婚の男女が特定の相手と二年間も親しく行動する理由なんて限られてる」


「そ、それは……!」


「しかも俺は侯爵家嫡子だ。正式な立場もなくリディアの隣を独占していたら、余計な憶測を呼ぶ」


 理路整然とした口調だった。


「だが婚約者なら話は別だ」


「周囲も納得するし、侯爵家としても扱いやすい。俺たちが義姉弟というのも周知の事実だ」


 早まった気がしないでもないが、内容がもっともらしいせいで、リディアはうまく反論できなかった。


 気づけば、“二年間の婚約”は確定事項になっている。


「二年後に、その後どうするかはまた話し合おう」


 リディアは戸惑いながらも、小さく頷いた。


「そういうことなら……わかったわ」


 その瞬間。


 ユリウスの目が、確信したように細められた。


 リディア以外の全員が思った。


 ――ああ、完全に囲ったな、と。


 にこりと笑顔を見せるユリウスの目は、獰猛な猛禽類のそれだ。


 レオニードに言わせれば、初めからユリウスは婚約者の座を狙っていた。


 だからこそ、リディアが是と言いやすい言い回しをしたのだ。


 そして、婚約した後も逃がすつもりがさらさらないことも見て取れる。


 レオニードは深々とため息を吐いた。


 そんな混乱おさまらぬリディアの手を、ユリウスはうやうやしく持ち上げる。


 今までのような護衛のためではない。


 明確な意味を持った仕草だった。


 そして、その甲へ静かに口づける。


「リディア、好きだよ」


 顔が一気に熱を持つ。


 リディアはその一言で、急激に“婚約者”という立場を実感させられた。


 心臓がうるさい。


「か、かかか、変わりすぎでは……!?」


「もう弟じゃなく婚約者なんだ。変わるのは当然だろ?」


 ふい、と目を逸らす。


 だがユリウスは、リディアの手を決して離さなかった。

これにて終了です!

10話完結のつもりがちょっと伸びてしまいました。

すみません。


初めての連載でいたらない点もたくさんあったかと思いますが、あたたかい目で最後まで読んでくださった読者様には本当に感謝しております。


補足ですが、

リディアは流されてる感じですが、もともとユリウスの事は嫌いではなく、むしろ離れることに寂しいと思っていたので、ユリウスに陥落するのも時間の問題では…と思ってます。


陥落するところをニヤニヤしながら書きたい(笑)

そしてユリウスとリディアのイチャイチャも書きたい。

主にユリウスのために(笑)

あと、宿屋と夫婦もまた出したい(お気に入り)。

いつか番外編でその後の話も書けたらな、と思います。


来週月曜日の18時に新しい話をアップ予定です。

宜しければ来週もお付き合いいただけましたら幸いです(^^)


少しでも「面白かった!」と思ってくださった方は、ページ下部にある【ブックマーク登録】や、【星(☆☆☆☆☆)】での評価で応援していただけると、こらからの執筆の大きな励みになります!

宜しくお願いします(^^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ