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詩の海
ほろほろと鮭の身が外れていくように、俺のタンポポから綿毛が離れていく。風に揺られるたびに俺の一粒一粒が四方八方に飛んでいく。その様子は風の勇猛さと彼女の野蛮さを非常に力強く、そして美しく示している。
真っ赤に染まった辺りに力強い風が打ちつける。タンポポの綿毛のように軽くて小さな眼球や手の指や内臓の粒はその元気な風によって動き出し、俺の周りに近づいてくる。それらが俺にまとわりついて、その感触から逃れたくてふっと空を見上げる。青い空。風はまだ嵐のように荒れ狂っていて、彼女が街を支配しているそんな日の悲しみの空。
その誰かが泣いている空に俺はある者を見た。瞳は固まって動かない。その時ばかりは動的な者全てが姿を消していた。それの登場と引き換えに。
初めはただの白鳥だと思った。滑らかなシルエットに純白の大翼。あなたは週末世界にいらっしゃるべきではない。
小さな少女の天使がそこにはいた。こちらを見て微笑んでいた。
戦闘機でも白色巨人でもないのだ。終末世界に相応しいのは本当に美しいモノだけなのだ。




