親愛なるまよへ
まよが亡くなって間もない頃は、ふと二階で物音がしたら思い出していた。
まよのご飯無かったかもと心配になってキャットフードを買って帰ったこともある。
家の周りに猫の影が見えると、まよが脱走したと焦ったこともある。
一年が経ち、そんな気持ちも今や薄れてしまった。
まよのお気に入りのソファに座って、この最終話を書いている。このソファも、引っ掻いてもいいように素材を選んだな。
横の硬いクッションもそうだ。パウダービーズクッションを買って、仕事に行って帰ってきたら部屋中雪化粧だった。あれ以来クッションも破れない物にした。
爪研ぎされたスピーカー。
表紙を破られた漫画。
抜けたヒゲのコレクション。
ご飯用のお皿。
何もかもがいい思い出。
でも、
まよは幸せだったのかな。
親から引き離されて捨てられた。
そのときに二匹兄弟が死んだ。
他の兄弟は元気なのかな。
私に引き取られて幸せだったのかな。
他の子の方が幸せだったかもしれない。
産まれてすぐに捨てられて、
食べ物もなく苦しんだ。
手と尻尾に怪我をして鳴いていた。
人間とはなんて勝手な生き物なのだろう。
そんな思いをしたまよを食べ物に困らせたくなかった。
お腹が空いたと思わせたくなかった。
だから自由に食べさせた。
当然太った。
最後の便秘も肥満が原因だ。
人間とはなんて勝手な生き物なのだろう。
私以外に引き取られていれば、
もっと長生きできていたかもしれない。
でも、拾われずに死んでいたと考えると、
充分幸せだったのかもしれない。
そう思うことで自分を納得させていた。
人間とはなんて勝手な生き物なのだろう。
まよは天国にいることだろう。
これだけ人を幸せにしたのだから。
もし私が天国に行けたなら、
また一緒に寝たいな。
あれ、猫はキリスト教徒かな。
それとも仏教徒かな。
それなら浄土なのかな。
それともそれらはただの人間の考えた世界なのかな。
どうでもいいか。
親愛なるまよへ
君との思い出をここに記す。
長い間ありがとうございました。
まよとの思い出との葛藤で一時期書くのをやめていましたが完結させていただきました。




