祖母の引っ越しの日
時が経つのは早いもので、祖母が家を出る日がやってきた。
実に鮮やかというか、さっぱりしているというか、祖母の性格を表している引っ越しであった。
平日に行われたので私は立ち会えなかった。引っ越し先の老人ホーム初の入居者であったため、施設長自ら車での送迎が行われた。小さなカバンに入る程度の荷物だけを持って出てきたそうだ。
私は仕事を終えると祖母がこれから住む老人ホームに向かった。もらっていた地図を見ながら少し迷ったが、迷わなければ自転車で十五分ほど走れば着くことがわかった。
三階の部屋に入ると、私のマンションと変わらない大きさの部屋でトイレ付きだった。そこにベッドとタンスだけが置かれていた。風呂は二十四時間入り放題、三食食事付き。私の老人ホームのイメージは覆され、何だか羨ましい気がした。
まよの話からどんどん離れている気がする。
まよ中心の話に戻そう。
祖母の家の鍵を預かり、老人ホームを後にした。
祖母の家に入ると、タンスは残されていたが、中身はほとんど空だった。祖母のさっぱりとした性格を表しているようだ。唯一残されていたアルバムを見ていると何だか涙が出てきた。私の父が高校生の頃、当然私が生まれるずっと前に購入した家。この家にまつわる私の写真も多くあった。
生まれてすぐ家の前で撮った写真。
大好きなキリンのぬいぐるみを持って居間で撮った写真。
七五三の後、紋付を着て家の前で撮った写真。
小学校の制服を着て家の前で撮った写真。
そして中学校、高等学校の制服を着て家の前で撮った写真。
色々な思い出が溢れてきた。
また、まよの話から離れてしまった。
話を戻そう。
一階の部屋は脱走の可能性があるため、二階のベランダ側の部屋を、まよの部屋にすることに決めた。
今のマンションの契約が、あと二ヶ月残っているので、ゆっくりと準備をすることにしよう。
いまだに覚えているが引っ越し用に初めて買った物は、和風の一軒家に合わせて、冬用のちゃんちゃんこだ。気づけば、まよの寝床になってしまっていたが。




