第七話 義
「本当の兄弟じゃないってどういうことだ」
「僕はお兄ちゃんに拾われたんだ」
それは、9年前、大希がまだ8才の頃の話だ。
▼△▼
僕は、神咲 大希。神咲家の次期総長及び若だ。
今日は、父さんと一緒に街に出て、能力者の集いっていうのに参加することになった。僕も早いうちから顔合わせをしておいたほうが良いらしい。
たくさんの人と、会議後の私服パーティーの間に、父さんの昔からの知り合いに挨拶しにいかないといけない。それは、父さんが酔う直前じゃないといけない。そろそろマズそうだ。
「父さん。挨拶しにいこ~」
「ああ、わかった。今からいこうとして____」
「やあ、結希。久しぶりだね。となりの子は相続者かい?」
「そうだ。挨拶をしにいこうとしていたところだったんがな」
1人目、哀郡 密。いつも悲しそうなオーラをまとっている男性だ。
「こんばんわ~!僕は、神咲 大希で、そこの神咲 結希の息子です~。よろしく~」
「ちゃんと挨拶はできるんだね。僕は、哀郡 密。よろしくね」
このあと父さんは密さんと楽しむらしい。あと2人は、僕も知っているから1人で行けると思ってのことだろう。
1人は、あそこのテーブルにいるな。
「こんばんわ~お久しぶり~」
「あれ?どうしたの?お父さんは?」
「忘れました~?僕は、神咲 大希ですよ~」
「あっ、大希ちゃん。そっか。忘れてたごめーん☆」
この物覚えが悪そうなお姉さんは、薙刀 竜愛。小さい頃からよく遊んでもらっていた。
「大希ちゃん呼びはやめて...恥ずかしい...!」
「まあ良いじゃないの。そうだ。いつもあの人に声かけてるじゃない。もう話してきたの?」
「あー、まだです」
「そっか。えっと、彼、何て言ったっけ」
「百合鴎 黒、じゃない?」
「そうそう!名前が長くて覚えきれなかったのよね!!呼んでくるわ!」
竜愛さんは、黒さんをつれてきた。
なにやらもめている様子も見られたが、仲が良いということにしておこう。
黒さんは、目の下にクマができていて、だいぶやつれていた。
「お久しぶり~黒さん」
「おぉ...久しぶりだな」
「なんだか、元気がないように見えるよ~。大丈夫~?」
「また、4徹したんだ。能力上、夜しか仕事できないしね」
「癒すよ~【治癒】」
【治癒】の光に会場全体の目が向いた。そのときに、どろどろとした視線を感じたような気がしたが...気のせいか。
会場からは拍手が送られ、その後は能力自慢大会が始まった。さっきの視線が気になるが、きっと大丈夫だろう。
帰る頃にはそんなことは、すっかり忘れていた。
それが大きな間違いだと気付くことはできなかった。
父さんの肩を支えながら、家に帰っている途中のことだった。
誰かが目の前に現れた。それは、黒さんだった。
「黒さん。ちょっと父さんを運ぶのを手伝ってくれな___」
次の瞬間、父さんの胸に風穴があいた。
とんでもない出血量で、即死だった。
「黒さん...?」
「これで運ぶ必要はねえな。背負わずにすむことほど、軽いものはない」
「どうして」
「なんだ?不満か?家に行っても何もないぞ。俺が全て壊してきたからなあ」
「まさか、こういうことをするために徹夜して...!」
「そのまさかだ。大正解おめでとう。でも、君ももうすぐ居なくなる」
殺される。そう思ったときには、手足が貫かれていた。黒さんお得意の影魔法だ。
「最後の1人ってことで、少しは慈悲をかけてやるよ、遺言を言え。朝までまってやる。まあお前には、朝なんてこないんだがなあ!」
身体中を闇がつらぬいて、苦しむ未来が見えた。
神咲家もおしまいか。
さっき言ってたことはたぶん本当だしね。
覚悟を決めたそのとき、誰かが降ってきた。
彼は、気絶寸前だった。受け身はとったが、動くことができないようで、ビルの壁にもたれていた。
どうせ僕は死ぬんだから、“遺言”を使わせてもらおう。せめて、誰かのために何かしてから死ぬんだ!
「黒...さん......遺..言...決まり...まし...た」
「なんだ?言ってみろ」
「せめて...誰...かを...助け...て...死に...たい...です...!【治癒】!!」
優しい光が彼を包み込んだ。
彼の傷は治ったが、僕は自分自身を回復してもすぐ殺される。
もういい。あの人が生きてたらいい。
覚悟を固く決めた。目をぎゅっとつぶって、身構えた。
しかし、痛みは襲ってこなかった。
目を開けると、彼が黒さんを空へ放り投げていた。
「おい。大丈夫か?」
「はや...く...回...復...しな...きゃ......【治癒】」
「それすごいな!」
いや、それほどすごくない。
回復はできたが、疲れて一歩も動けない。
「なんだ?動けないのか...よっと」
急に肩車された。
戸惑いが隠せなかった。
「帰らないとな。どこか帰るところはあるんだろ?」
それは...
「もう...あの人に壊されました」
「そうか」
ぶっきらぼうな言い方だが、気づかってくれているのが伝わった。
少し歩いたあと、彼はある提案をしてきた。
「いくところがないのなら、俺と暮らすか?俺も家はないが、仲間との第2の家はある」
その言葉にすがるしかなかった。
「うん」
「よし!名前はなんだ?」
「神咲 大希だよ~」
「俺は、凍睡 暁止だ。よろしくな、大希」
こうして、僕は〈凍睡 大希〉として、暮らすことになった。
△▼△
「そうだったのか」
「でも、暁止もどうしてそこにいたんだ?」
「それは、また今度にしよう。もう夜だ。寝ようぜ」
「うん。そうだね」
「おやすみなさい。みなさん」
「おやすみ。朝、料理するからキッチン貸してね。そんじゃ」
「おやすみ。あと、理菜、薬の解毒剤とかつくっとけるか?この前の気付け薬みたいなの」
「いいわよ。凪も早く寝た方がいいと思うよ」
「わかった」
Good night__そう思いながら、俺は眠りについた。
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