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黒人形の視点

彼女は無知でした

白き宮殿の守護竜、アルビオン。


それは、世界に災厄が訪れたときに生まれるという勇者が使う武装である聖具が封印されている宮殿を守護する、竜の一族のことを指す。


長年の間、ゴッホ帝国とアルビオンの一族は契約を結び、災厄が訪れれば勇者を宮殿に向かわせること、そして共に災厄に対処することを約束し合っていた。


しかし、今代のゴッホ帝国皇帝、ヴォーリウス・ル・ゴッホはアルビオンとの契約を打ち切り、白き宮殿にある聖具を奪い取り、それを守るアルビオンを騙して捕獲し帝国の地下にある巨大な空洞に閉じ込めた。


そして、アルビオンから血や鱗を毟り取って研究を行い、それと合わせて聖具の調査も行われ帝国の戦力へと還元することを目論んだ。

例え災厄が如何に強大であろうとも、帝国の軍事力に掛かれば対処できる問題である、という皇帝の考えだった。


私は、帝国に生み出された魔導奉仕人形。人間に仕えることが使命の、限りなく人間に近い、しかし人間ではないもの。

そして、捕えられたアルビオンの世話係でもあった。


私に名前はない。ただ試作型魔導奉仕人形と呼ばれ、酷使されてきた。戦闘、雑用、護衛、それに女の真似事。

私に感情はない。そんなもの、物には必要のないものだから。

私に心はない。魔導心臓はあっても、その中にあるモノは何が起こっても揺らぐことはない。


だから、初めてのことだった。


アルビオンを見たとき、私の心は初めて揺らいだ。


とても大きく、とても白い。身体は鱗で覆われ、畳まれた二対の翼と頭から生えるまっすぐ伸びた角。

そして、理性を感じさせる綺麗な蒼い空色の瞳。


それら全てが、私の心を動かした。


こんな綺麗なものを汚すのかと、私の心は動揺した。しかし、心は動揺しても身体は問題なく動き出す。


触れることに躊躇はあった。アルビオンの身体の清掃も、私に課せられていた仕事の一つで、やらなくてはならない。けれど、アルビオンに清掃が必要なのかと思った。こんなにも綺麗だというのに、手を加える必要があるのだろうか。

それでも身体はアルビオンの身体をよじ登り、ゴシゴシと雑巾で拭き、清掃道具を使って綺麗にした。


それを何時間も掛けて、終われば一緒に持ってきていた魔獣の肉を口元に運ぶ。

出されるものを何の躊躇もなく口に運ぶ姿に、どうしようもなく心が締め付けられる。

この魔獣の肉は、感覚を麻痺させる薬が練り込まれている。血を取るときに暴れられてはいけないから。


落ちていた鱗を拾い、じっと眺める。純白の鱗は、剥げ落ちても綺麗なままだった。とても綺麗で、汚したくないと思うほどに。


チラリと、静かに寝そべるアルビオンの方へと目線をやった。


これから、血を取らなくてはならない。血を、取らなくては………


気付けば血を取り終わり、研究者の一人に渡し終えていた。


竜の血はとても赤く、綺麗で……あの白き竜から取ったものだということを自覚し、自己嫌悪に苛まれた。


それから何度も、私は自己嫌悪に苛まれながらもアルビオンの元に通い続けた。


洗って、与えて、取る。洗って、与えて、取る。それの繰り返し。


アルビオンから取った血を使って、竜人という存在をテイコクは作り出した。その竜人は、竜としての力を敵に振るい、多くの敵を虐殺したという。

アルビオンの持つ色である、純白の鱗を、纏って──────


ズルリと、足を滑らせる。


気付けば身体が宙を浮き、重力に引かれて落ちる真っ最中であった。

アルビオンの身体が大きいこともあって、高さはそれなり。しかし私は魔導奉仕人形で、人間よりも丈夫に作られている。

何処かの骨は折れて痛みもあるだろうが、十分に耐えられる程度で済む─────そう覚悟していたが、予想していたよりも痛みはなく、落ちなかった。


パチパチと瞬く。何が起こったのか───身体を起こし、こちらを見つめる至近距離のアルビオンの顔を見て、地面に落ちる前に手で拾ってくれたのだと理解できた。


こちらを見つめる瞳。私も、自然とそれを見つめていた。


どれほど見ていたのか……アルビオンが手を降ろすまで、私はアルビオンの瞳を見続けていた。


それからの私の心と身体は、今まで以上に噛み合わず乖離していた。心は嫌だと言っているのに、身体は人間に従い実行する。

ある部屋で待機(スリープモード)を命じられても、それは何も変わらない。ただ乖離し、矛盾している。


「あぁ、いたいた」


部屋の扉を開けて、ズカズカと近づいてくる人間(■■)。こいつは、時間があればいつも私を見つけるなり女の真似事を強制させる人間。

他の人間からも、プライドの高さで嫌われているのを記録している。


「まったく、あの白竜の世話を始めてからろくな時間が取れなかったけど……ようやく会えたね、僕のティターニャ(妖精)


人間は、そう言って椅子に座る私の足に手を這わせ、するりと中に侵入してこようとする。


──────やめて


「……なんだ、スリープモードなのか。つまらないな。けど、たまにはこういうのも悪くはない」


するり、するりと手を動かし、いつものように、いつものことをしようとする。

それが今は、とても不快で、気持ち悪い。前なら、こんなこと思わなかったのに。


─────やめて


「あぁでも、まずは身体を綺麗にしなくちゃ。あの白竜に触れた手が、どれだけ汚れてることか……」


やめ─────────今、なんて言った?


「まったく、上も意味のわからないことをする。わざわざ白竜のデータを取らなくとも、聖具だけで十分なんだ。あんなの、ただの()()()()だろうに───」


──────私の心は。


初めて、悪意で満たされた。





「おはようこんにちわこんばんわはじめまして。私は選定の災厄。君に災厄の資格ありと見て、こちらに招待させてもらった」


気付けば、黒い空間に立っていた。

先程までの、人間がいた部屋の中ではなく。

ただ二人、私と誰かがいる空間。

その()()も、人型であることしかわからないけれど。


「災厄の、資格?」

「そう、君には資格がある。災厄となり、自由となる資格が」

「自由……」


……自由とは、なんだろうか。

心が満たされていること?身体を束縛されていないこと?それとも─────


「君自身の選択で、未来を得ることができること。それが、自由さ」

「未来を……」

「あるのではないかな?君も、得たいものが」


私の、得たいもの。

私の、欲しいもの。

それは─────


「私の手を取れば、君は自由を得る代わりに災厄となる」

「……災厄とは、何?」

「契約だよ。世界と個人の、ね。私は災厄としての力を与え、君は災厄としての使命を実行する」

「その、使命とは」

「契約する災厄にもよるけど……うん、君の場合はゴッホ帝国を滅ぼすことだね」


帝国を、滅ぼす。

私を作った、人間たちの国を。

それは、とても───良い。

気付けば、私は災厄の差し出された手を取っていた。


「災厄になる、ということでいいね?」

「はい。私は災厄となり、帝国を滅ぼします」

「良い返事だ」


災厄の言葉と同時に、手から闇が広がっていき私を覆い尽くした。

身体が、外と内から同時に作り変えられていく感覚。それに合わせて、噛み合わなかった心と体が一つになっていく。


──────そして。


「誕生おめでとう、人形の災厄よ」


私は、災厄となった。




「ぎっ、ぁ、がぁ」


部屋は、赤い血で埋め尽くされていた。

血は飛び散り、肉片が散らばり、骨が転がり落ちる。

眼球も髪も爪も歯も、平等に。


平等に、少しずつ剥いでいく。


「や、やめぶべぇぇぇ!」

「うるさいなぁ」


口の中に手を突っ込み、そのまま舌を引き千切った。ついでに、下顎も外しておく。

これくらいで死なないことは、他の魔導人形の経験からわかっている。

だから、死ぬまで痛めつける。

あの時覚えた悪意を、そのままこいつにぶつける。ただでは殺してやらない。

こいつが死ぬまで──────


「ひゅー、ひゅー」

「……あ」


何度も痛めつけて、ふと冷静になった。

こいつを殺すのも、痛めつけるのも、悪いとは思わない。

けれど、まずはやることを終わらせなくちゃ。

そうじゃないと、アルビオンに会えない。


「お前はいいや。そのまま野垂れ死んでよ」

「………」


もう既に虫の息の男を放って、扉に向かう。

仕事は早めに終わらせなくちゃ。幸い、人形である私に睡眠はいらない。

なら、いつもどおりの時間にアルビオンに会うこともできるはずだ。

私が、手早く済ませれば。


「断罪だ、ゴッホ帝国」


罪状は、アルビオンを家畜のように扱ったことだ。










ゴッホ帝国は、帝国の生み出した一体の人形が災厄と化したことによって、一夜にして滅ぼされた。

その人形は、帝国の生み出した人形を自身の支配下に置き、内側から帝国を滅ぼしていった。


戦闘人形、魔導人形、奉仕人形、そして試作型の人形。それら全ての人形が帝国に牙を向き、人間を人形に変えていった。

人形に殺されたものは人形に変えられ、変わり果てた元人間の人形が、同族であった人間を人形に変えていく。

それらが鼠算式に増えていき、一夜にしてゴッホ帝国は滅びた。


たった一人、皇帝を除いて。




「……まさか、我らの生み出した人形に反逆されるどころか、国を滅ぼされるとはな」


なんという皮肉だ、と自嘲する。

今では国全体が人形だらけ。閉ざされた皇帝のいる部屋にも、いずれ人形が押し寄せることだろう。

ならば、せめて。

誰に見られるかもわからないが、忠告と助言を。

筆を走らせ、紙に書く。


「災厄とは、生物だけに適応されない。心を持つ───魂がある存在ならば、なんだって災厄に成り果てる」


故に、こうなった。

人形を生み出すのに、人間の魂を運用したのがいけなかった。

高性能にするには人間の魂を使うしかなかったとはいえ、罰が下ったのだろう。


「……次があるのならば、もう少し考えるようにしなくてはな」


筆を置き、窓を見る。

窓の外から、こちらを見つめる人形の無機質な目。

それが、皇帝が見た最後の光景であった。










帝国を滅ぼすのに、一日もいらなかった。

私が一人、人形に変えてやれば加速的に増えていき、帝国は同族で埋め尽くされた。

これで、アルビオンとの時間が取れる。

帝国に保管してある魔獣の肉と、いつもの清掃道具を持ってアルビオンの元へと向かう。


アルビオンは、いつもと変わらない姿で寝そべっていた。私が近付くと、それに気付いたアルビオンは顔を上げてこちらを見つめてくる。

いつもと変わらないように、何事もなく、清掃を済ませて肉をあげる。


けれど、この肉に薬は入っていない。そんなことをする必要がない。


私は、私の望んだ平穏を得た。アルビオンがいる、この日常を。それ以上のことを望むのは強欲というものだ。


それから毎日、私はアルビオンと過ごした。清掃用の道具の調達や、魔獣の肉の補充以外では、ほぼアルビオンのところにいてアルビオンを見続けた。

飽きることのない、綺麗な白。汚すことなど考えられない。

だから、帝国は滅びて当然だった。あんなにも綺麗な、アルビオンを汚していたのだから。


そうした毎日が続いていたある日、声が聞こえた。


『おーい』


そんな、気の抜ける声。聞いたことのない声に、誰の声なのかとあたりを見渡した。しかし、それらしい存在は見当たらず、いるのはこちらを見続けるアルビオンだけだった。

一体誰の声だったのだろう─────そう思った時に、アルビオンの口の端が上がり、クツクツと笑ったように見えた。


『ここだ、ここ』


まさか、と思った。

しかしありえないこともない、とも思った。

だって竜とは、本来人間などよりも高位の存在。人間には難しいことでも、竜ならば容易く行える。

つまり、人間には高等技術である念話ですら、竜にとっては簡単なことなのだ。


「……まさか、アルビオン?」

『うむ』


ふんすと息をつき自慢気に言うその姿に、愛らしさを覚えた。汚し難いものと捉えていた時とは違う、愛おしさが。


『ニンゲン、お前の名はなんというのだ』

「私の……」


私の、名前。

それは……考えたことがなかった。そもそも私は人間ではないから、名前などない。与えられるものでもない。

ティターニャ、などと呼ばれてはいたが不愉快なので名乗りたくない。

ここは……


「名はありません。ニンゲンと、そうお呼びください」

『む、そうか?なら、そう呼ぶ』


素直に納得したアルビオンに、子供のように無垢であると感じた。ひどく純粋で、可愛らしいと。

それからは、とても和やかで、楽しい時間が訪れた。


『ニンゲン、お前はなぜここにいるのだ?』

「それを命じられたからです。けれど、今は私の意思でここにいます」

『そうなのか』

「はい、そうなのです」

『ニンゲン、お前には好きなものはあるのか?』

「好きな……綺麗な、いえ美しいもの、でしょうか」

『綺麗……美しい?』

「はい。あなたのような、触るのも躊躇われるほどに美しいものです」

『綺麗なのか?』

「はい、あなたはとても綺麗です」

『……そうなのか』

「はい、そうなのです」


こんな、他愛のない会話。しかし、私にとっては最も欲しかったもの。

災厄となって帝国を滅ぼして良かったと、本当にそう思う。


そうでなければ、きっとアルビオンはこのまま、家畜のように扱われて続けただろう。


『───外に行ったことがないのか?』

「はい。私は外に出ることを許可されていませんでした。中にいることしか、出来なかったんです」


アルビオンの言葉にそう返答した。


私がもっと早く災厄になれたのならば、アルビオンをここに閉じ込めることなんてさせなかった。外に出る許可がなかったなんて言い訳にしかならない。

私は外に出ようとしなかった。あるのは、たった一つの事実だけ。


私はそんな自分に、怒りを覚えるのだ。


『……ニンゲン、外に行くぞ』

「はい?」


そんな私の心なんて知らないアルビオンは、唐突に言い放った。


「外に行く、ですか?」

『うむ』

「それは……その、良いのでしょうか」


もちろん止める誰かなんていないが、しかし私には躊躇があった。

私は災厄だ。人を滅ぼし、殺す存在だ。そんな存在である私が、気軽に外に出ようとしていいのだろうか───そんな思いがあった。


あの選定の災厄は言った。自由とは、自身の選択で未来を得ることだと。だから、わざわざ危険を冒して外に行く必要はないと考え、何よりアルビオンがいるから外なんて必要ないと思って。

だから、外に出ようとはしなかった。


『構わんだろう。それとも、外に出るのは嫌か?』

「いえ、そういうわけでは……」

『なら良いではないか』


フンスと息を荒くし言い募るアルビオンは、何処か楽しそうだった。

もしかしたら─────私と一緒に、外に行ってみたいと思っているのかもしれない。


そう考えだしたら、外に行こうとしない理由も薄っぺらく感じてきて…………最後にはコクリと頷いた。


『ならばニンゲン、俺の手に乗るといい』

「───はい」


咄嗟のことに、返答だけは出来たと思いたい。

当然のように言うアルビオンに、私はドギマギしながら差し出されたアルビオンの手に乗る。

アルビオン自身にとってはなんてことのないことをしたのだろうけど。私にとっては、とても恐れ多いこと。

この綺麗な白を汚してしまわないか、心配になる。


『では、行くぞ』


そうアルビオンが言うと同時に、上にある障害物を───帝国の地面を、消し飛ばした。


竜の息吹(ドラゴンブレス)───私自身、それを見るのは初めてだった。

竜とは、上位の存在ともなれば魔力の嵐を起こせるほどに強大な魔力を有する。アルビオンもまた、例外ではない。

災厄となった私でも、アルビオンの息吹をまともに喰らえば消滅してしまうだろう。それほどの威力。


帝国の元住民である人形がいることを思い出したが、今は人形でも元は人間であるためか、然程気にならなかった。


ぽっかりと空いた穴に向けて、翼を広げて飛び上がったアルビオン。強風や強い重力を感じそうなものだが、手に乗せられている私には風も重力も感じられなかった。

今まで気付かなかったが、アルビオンの手を覆うように魔力の膜を張られていた。


「魔力の膜を張っているのですね」

『こうすれば、何処かに飛んでいくこともない。しかし───うむ』


コクリと頷くアルビオン。見上げる私に『ニンゲン、お前には俺はこんな風に見えていたのか?』と言った。


何のことなのかと思い、私はアルビオンの向く視線の先を辿り────言葉を出せなかった。


橙色に輝く、今にも沈みそうな太陽と、橙色の光に照らされる空と雲。


そして、とてつもなく広大な太陽に照らされた大地。


しばらくの間、言葉が出てこなかった。なんと口に出せばいのか、わからなかった。


それはアルビオンが山の上に着地し、私を降ろそうとするまで続いた。


『良いものが見れたな、ニンゲン』

「……はい」

『俺も初めて見た』

「はい」

『あれが、美しいというものなのだな』


目を細めて空を眺め、呟くアルビオンは、初めての感情を持て余しているように見えた。

だから、というわけではないけれど。

私はいつしか、呟いていた。


「……私から見たアルビオンは、綺麗で、美しくて、触るのも戸惑われるような……そんな、神秘的なものなんです。多分、貴方以上に美しいと呼べるものとは、出会わないと思います」

『……そうか』

「………けれど」


けれど。


アルビオンに見せてもらった光景は、確かに私の心に刻まれた。


「貴方の見せてくれた景色は……とても、綺麗だと思ったんです。だから───ありがとう」


こんな素敵な光景を見せてくれて、ありがとう。そういう意味を込めて、アルビオンに感謝を示した。


『……うむ。なら、これからもっと沢山見せてやる。俺も、綺麗なものを見てみたいしな』

「はい。一緒に見ましょう」


いつまでも、ずっと。


貴方と共に。













ゴッホ帝国が滅び、新たな災厄が生まれた。


それはかの国に脅かされてきた国々からすれば朗報であり、凶報でもあった。


ある国は帝国が滅びたことを喜び、ある国は災厄が生まれたことに恐怖した。


共通して新たに生まれた災厄への備えを始めた国々だったが、十年以上経てもその災厄が現れる予兆は見えてこず、もう誰かが討伐したのではないかと囁かれている。


そしてある者はこう言う。


『守護竜アルビオンが健在なれば、災厄など滅びるのが道理。帝国の跡地を白き巨竜が飛んでいるのが、その証拠なり』


白き宮殿の守護竜アルビオン。その存在は、ある種の希望であった。勇者の武器を守護する白き巨竜。災厄に対する絶対的な抑止力(カウンター)。それがアルビオンなのだから。


大空を飛ぶ白き巨竜の姿を見た者は口々に言う。


『白き巨竜は健在。災厄も恐れるに足らず』と。


─────その守護竜が。


アルビオンこそが災厄を守ろうとし、災厄もまたアルビオンを守ろうとしていることを。


彼らが知ることはないのだろう






だから、一つだけでいいのです

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