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7.お買い物。セリカと一緒に(前編)

「ねぇ、ももちゃん、だけどね、格好だけでも勇者っぽくすると、ちょっとは自信が出てきたりするんだよ。だから、ももちゃんも、装備揃えてみようよ!ももちゃんはね、今は弱くても私より5つも年下だから、もしかしたらおっきくなるまでにはずっとすごい勇者様になれちゃうかもしれないよ」


 セリカはそう言って、わたしを元気づけてくれようとした。


 それからわたしの答えを待たずに、わたしの手をつかんでギュッと引っ張った。


「実は私もこの装備、揃えたばっかりなんだ!」


 そう言って、セリカはふふっと笑った。


 そして手を引いて連れていかれたのは、凄くおっきな武器と防具のお店。


 たしかにこれだけおっきなお店なら、異国の珍しい装備とかも揃っちゃいそう。


「けど、お金・・・」と、私は呟いた。


「お金なら大丈夫だよ!この日のためにたくさん貯めたし、私が欲しい装備は昨日みんな買ったから、残ってる分はみんなももちゃんのために使えるよ!」


 セリカは何のためらいもなくそう言った。


 ああ、そう言えば、前世で同じようにわたしがセリカに装備を買ってあげたことがあったっけ。


 あのときは、とにかくセリカには傷ついてほしくなかったから、見た目なんて全然気にしないで防御力の高い装備を選んでたんだ。


 まあ、前世のわたしは男性だったから、女の子のファッションセンスなんてなかった、っていうのもあるかもしれないけどね。


 なんか、前世のことってちょっと思い出すたびに涙が出そうになる。


 その瞬間、ああそうか、と思った。


 わたしはたまたまこういう事情で前世の記憶があるけれど、普通の場合、前世の記憶なんて消してしまうのだ。


 けど、それは理由もなく消しているわけじゃなくて、前世の記憶を思い出すたびに悲しい気持ちにならないように・・・新しい人生を、前を向いて歩めるように女神さまがわざと記憶を消しているんだ。


 そう考えると、女神様に悪態をついたのが少しだけ申し訳なく思えてくる。


「おばちゃん、この子に私とお揃いの装備、一式揃えてあげて。昨日買ったときはまだいくつかあったから、揃えられるでしょ。色は・・・ももちゃんだからピンクがいいよ、きっと!」


 そう言って同意を求められたので、私は小さく頷いた。


 お店のおばちゃんは、ほいきたとばかりにすぐに装備一式を揃えてくれる。


「きっと、ももちゃんに似合うよ」


 セリカに肩をポンと叩かれ、促されて着替え室に入る。


 女の子生活を6年もやってると、普通の女子の服ぐらいなら大抵は一人でお着替えに困ることはない。


 だけど、残念ながらビキニ型アーマーとなるとそううまくは行かなかった。


 下側の腰鎧はどこに留め金があるのかのかわからなくて何度かズルッとずり落ちちゃったりしたし、胸の方なんてそもそもブラジャーすら着けたことがないから大変だ。


 ただのブラジャーだったら前側で留めるのもあるからそう言うのを選べばまだなんとかなるんだろうけど、アーマーとなると前側は攻撃に晒されることが多いため、構造的に弱い部分を前に出すことはできない。


 だから留め金は必ず後ろ側についているのだった。


 今のわたしの子どもの手の不器用さで、後ろについた留め金をとめるのは絶対無理。


 だからそうやって困るたびに、わたしは着替え室のカーテンから首だけ出して、セリカに助けを求めるのだった。


 そんなこんなで苦労しながらも、やっとの思いでお着替え完了。


 ビキニ型アーマーって言うのははた目にはすごく心許ない格好にも思えたけど、実際に装備してみると想像していたよりずっと安心感があった。


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