21.ルイスの恐ろしい正体
「ふ・・・女勇者ってのはどいつもこいつもシモの緩いザコばかりだな!これなら当分魔王様は安泰だろう!」
え!?
と、わたしは思った。
ううん、わたし以外のみんなもおかしいことには気づいていたに違いない。
今まで、ルイスはただの、『勇者候補の中で一番嫌なやつ』と思っていた。
だけど、そうじゃない。
『女勇者』って呼び捨てにしたのに『魔王様』って様をつけた。
それだけでどう考えたっておかしい。
そしてわたしには前世の記憶もある。
それも合せて考えることのできるわたしには、今、はっきりとわかった。
ルイスの正体は、小学3年生男子の勇者の卵、なんかじゃない。
魔王の幹部中の幹部、大悪魔ルイーズだ。
前世の私はコイツも倒しているけれど、魔王よりも一足先に復活してしまったようだ。
自慢するわけじゃないけど、前世のわたしは最強ランクの勇者。
そのわたしだったからなんとか倒すことができたんだけど、はっきり言って小学生で勇者の卵程度の半人前が何人束になっても到底かなうような相手じゃない。
セリカがあれだけ怯えていたのだって、ここまで圧倒的な相手が敵では今の段階では仕方がない。
私たちは全員、コイツに弄ばれていたのだ。
セリカは何とか他の子にこれ以上危害が及ばないようにと、恐怖に怯え切りながらもルイーズの前に立ちはだかっている。
けど、ここでセリカを戦わせて死なせるのは絶対ダメだ。
なんとか、助かる方法を・・・私は必死で考えた。
そして出した結論は・・・。
「助けて!魔王の手下がいるの!!今の私たちじゃ到底かなわないよ。早く助けてくれないと、全員殺されちゃう!!!」
わたしは、大声で助けを求めた。
『勇者様』の行動からは最も程遠い、一番カッコワルイ役割だ。
でもだからこそ、その役目は他の子じゃなく、わたしの役目だと思った。
セリカだけじゃなくて他の子もみんなホンモノの勇者の卵だけれど、今のわたしは勇者の『残りカス』みたいなものだから。
わたしはここでカッコ悪く死んで消滅したっていい。
だけどセリカはもちろん、他の勇者の卵たちも絶対にここで死なせるわけにはいかない。
この世界の未来への希望は、守らなくちゃならないんだもん!
わたしが助けを求める声を聴いて、大悪魔ルイーズはわたしたちから少し距離を取った。
大人の大魔導士や騎士様が援軍に来るって言うのは、たとえ勇者の力を持たない者たちだったとしても、大悪魔にとっても厄介だ、と判断してのことかもしれない。
ここでもしも相手がリスクを承知で攻撃して来たら、もうわたしたちに成す術はなかった。
きっと助けが来る前に、徹底的に蹂躙されて抵抗もできずに全員が殺されていたに違いない。
だから相手がこういう判断をしてくれたのは、わたしたちにとっては幸運だったんだ。
今はどんなにブザマでも、生き残っていれば必ず希望はあるから・・・。




