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12.他のみんなにごあいさつ【ルイス君】

 次に私が向かったのはルイス君の部屋だった。


 ルイス君はちょっと怖い雰囲気だけど、もう一人のエミュリさんも怖いし・・・。


 どっちも怖いんだったら、もう考えるのはやめよう!って思って、たまたま近いお部屋だったルイス君の方を先に決めたのだった。


「誰だ!」


 わたしのノックにルイス君は声だけで答えた。


「勇者の卵の一年生のももです。あいさつに来ました」


 怖かったから、私はその分余計、ていねいに答えた。


 それを聞いて、出てきてくれたルイス君。


「敵にあいさつなんて、どういうつもりだよ?偵察かい??いちばん弱そうな君がいくら偵察したところで無駄だと思うよ、僕は。それとも別の誰かに偵察してくるように言われたのかい?」


 完全に見下されている。


 やな感じだなあ・・・。


「違います。誰にも言われてなんかいないし、偵察なんかじゃなくって・・・ルイス君がどのくらい勇者様に相応しいか、見に来たんです」


 わたしはそう言った。


 でもそれって・・・。


「馬鹿か!それを偵察って言うんだろ!」


 って言い返された。


 言われてみれば、確かにそうだ。


 わたしはちょっと心がすくんじゃってたから、反射的に


「ごめんなさい!」


 って謝ってしまった。


 前世は魔王まで倒した勇者!って言ったって、今はただの6歳の女の子。


 怖いものは怖いんだって、再確認させられてしまったのだった。


「・・・で、ボクの事をどう思った?勇者に相応しいと思ったかい??」


 ちょっと脅迫めいた、強いプレッシャーを感じる。


 ハッキリ言って、『あんたなんか勇者に相応しくないもん!』って面と向かって答える勇気は今のわたしにはない。


 けど、勇者に相応しいのは絶対セリカだと思ってる。


 だから、こんな風にわたしを威嚇してくるようなルイス君が勇者に相応しい、とは絶対に答えたくなかった。


 ちょっとだけわたしに残った意地っていうやつだ。


「・・・」


 だからわたしは、何も答えられなかった。


 ルイス君は数秒待って、それでも私の答えが返ってこないのを確認すると、ふっと笑った。


「まあいいや。せっかく来てくれたんだから、きみにいいことを教えてあげるよ。きみは間違いなく6人の中ではダントツに一番弱い。だから明日は誰と戦っても絶対に負けてしまうだろうね。だけど、そうならないようにするには頭を使えばいいんだ。初めは誰とも戦わずに隠れていて、誰かと誰かが勝負するのを陰からこっそり見てるんだ。そして勝負がつきそうになったら、素早く負けそうな方の子から勇者の力を奪っちゃうんだ。勝った子よりも先に、ね。勇者の力が2つに増えたら君でも他の子に勝てるかもしれない。それが、君が勝ち残るための唯一の方法だよ」


「そんなの卑怯だよ!」


 と、わたしは即答した。


「じゃあ、君はどう思う?勇者が正々堂々と魔王と戦って負けて、そのまま世界が魔王に支配されちゃうのと、卑怯な手を使って魔王をやっつけて世界が平和になるのと、人々が幸せになれるのはどっちかな??」


「・・・」


 また、わたしは答えられなかった。


 けど、分かったことがある。


 この子とは、意見が合わない!


 怖くってわたしの意見を言うことは出来ないけど。


「こんどもダンマリかい。ま、別にボクは構わないけどね。ちなみにもう一つ言っておくと、もしも明日戦場でボクが君を見つけたら、迷わずに真っ先に狩ってあげるよ。だって、君が一番狩りやすそうだからね。おおっと、怯えなくてもいいよ。今ここで狩るって話をしてるわけじゃないんだから。ま、明日はせいぜいボクに狩られないように気をつけることだね。事前に忠告してあげてるんだから、僕って親切だろ!?」


 ぶるっと震えが来た。


 そして思わず、わたしはルイス君の所から逃げ出していた。


 逃げるのは勇者に相応しくない行動だけど、怖くて仕方がなかったのだ・・・。


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