713/715
屈辱から屈辱への移行
たしか、ある日どこかの中学校で、靴下を脱いだ。屈辱を穿いた。それがその時の僕がとれる最善策に思えたために。それからずっと素足のまま、学校生活を送った。ふたつの、ふつうの、この足。この足はかつてどこかにはあるはずだが今ではもうどこにあるのかはいえない市立中学で、血をしょっちゅう流していた。その赤は、誰かの室内履きを汚したりしていた。少しでも汚したら、誰かの時間は汚れてしまう。今ではよくわかってる、それは避けねばならないと。その誰かに対する気遣いではなくて、じぶんのために。
あの学校で死んだ振りもできないぐらいには、僕は僕だった、その頃の僕にはだから絶対に理解できないことだった。その頃の僕には理解できないでいたことがいくつもあって、理解できないことばかりだと思っていた、その頃はまだ。




