俺の全て
俺はきみの全てが欲しかった。そう考えているってことはいわないようにしていても、きみの血が流れた時、俺が動けなかった理由はそこにあったのだと、きみはいつか必ず見抜く。大切に思える相手には俺の正体はいつも見抜かれた。俺が本当に欲しがっているものが何なのか、彼らは考えようともしない。それを想像するのもおぞましい、という趣旨のメッセージだけ送りつけてきて、恋はあっさりと去っていた。俺が胸の裡に抱えるものはどれも恋じゃない、といわれ続けるのが俺の恋かもしれない。恋と毎回便宜的に俺はいっているのだけど、世の中の見方としてはその範疇には入らない感情の形である可能性は感じてて、もちろん俺じしん否定しない。何をどうやれば、目に見えない心というものは世界中から肯定されるんだろう、とは思っているけど。だって粘土遊びでランク付けしているみたいな感じにしか思えない。可笑しな人たちばかりだ。
俺はいつも、きみといると優しい気持ちになれる。そして思う。きみの指の骨を折ってみたい。きみも笑ってやり返してほしい、シーソーで遊ぶ子供みたいに。
きみと同じ病院に入りたい。夜中、好きな時間に会えるから。好きなだけ引っ張れる。
梶井基次郎の小説みたいな静かな狂気と血を大切に掌に載せて、音を立てていつまでも膝同士をぶっつけ合っていられたのならそれはもう絶対的に幸福と呼べる。
俺の全てを見せるから、きみの全てが見たい。
食べ残さないでほしいんだ。




