670/716
愚かしくも
目に見えるものだけを信じる人間がいる。昔のおれはそういう人々について何とも思っていなかった。考えてみようともしなかった。だって当然のことだからだ。今はもう、汚いものにばかり触れるようになってしまってる手、それより何よりまずじぶんの心がそうであると感じてる、とても汚い物だと。
だから、目に見えないところにあるものにだけしか、もはや救いを求めることができなくなってしまった人々、おれもその一員に今なっているってわけだ。
こんなの珍しい話でも何でもない。
ただ、愚かしいと思われるでしょうが、信じる心というもの、その、誰に知られようが知られまいが、絶対に変わることなくある静かな場所と時間、今のおれにはそういうものが必要なんです。




