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《改訂版》双子探偵社  作者: 南条祝子
エピローグ
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エピローグ

エピローグ


 依子先生は叔父さんと中野刑事に警察署連れて行かれると、あっさり犯行を認めた。


 私にはあんな態度だったにも拘わらず、正直な気持ち、いつ、自分が犯人だとばれるか気が気でなかったのだとか。



 後日、今回の事件の真相が私たちにも伝えられた。



 倉田先生に一方的に想いを寄せていた依子先生は、理事長の父にお見合いの話を持ち出された。しかし、倉田先生以外の人とは絶対に結婚しないと頑なに首を横に振る。


 娘可愛さに理事長は倉田先生を呼び出し、依子先生と結婚してほしいと話す。


 しかし、倉田先生は理事長にきっぱりと断った。


 勿論、倉田先生はすでにさやかと結婚を考えていて、挨拶に行くところまで二人の気持ちは固まっていたからだ。


 倉田先生に断られたことで、再びお見合いを勧められた依子先生は、諦めきれず、倉田先生の相手を探し始めた。



 ここまではリズが考えた筋書き通りと言ってもいい。


 地道に何度か倉田先生の後をつけているうちに、犯行現場となったあの公園でさやかと会うところを目撃した。


 まさか相手が生徒だとは思わなかった依子先生は、あまり事を荒立てると今度は倉田先生の立場を悪くしてしまうと考えた。


 そこから、依子先生はさやかがまだ高校生なのをうまく利用して、身を引かせようと思いつく。


 普段、とり立てて口を利いた事のないさやかに、学校で下手に声を掛けると警戒されるし、まして、校内でできる話ではない。


 自宅に電話をするのも怪しまれる。


 そこで、さやかの携帯電話の番号を入手しようと思い付いた。


 倉田先生がデスクに携帯を置いたまま、ほんの少し席を外したところを見計らって電話帳をチェックし番号を控えた。


 そして電話ボックスで目撃されたあの日、依子先生は倉田先生がいつもそうしているように公衆電話からさやかに電話をし、翌日、さやかを誘い出すことに成功した。


 事件当日。


 さやかは依子先生のもしも別れないなら、理事長に暴露して、二人とも学校にいられなくするという脅しに屈することはなかった。


 そのうちに口論となり、ついカッとなって彼女の首を絞めてしまった。


 そう、まさしく校舎裏で私にしたように。


 我に返った時には既にさやかは死んでいたそうだ。



 依子先生の一方的な我が儘のために、さやかは命を奪われたのだ。




 一部始終を、私はそのまま、玲香とリズにも伝えた。


 玲香はその場にしゃがみこみ、ただひたすら泣きじゃくった。


 そんな玲香に、私とリズは、ただ、黙って寄り添うことしかできなかった。




 事件の解決から半月以上が経った。


 依子先生が逮捕され、再び押し掛けていた報道関係者の姿もなくなると、世間の関心もあっという間に薄れていった。



 玲香も、ゆっくりとではあるが気持ちの整理を付けはじめ、見た目には元気を取り戻しつつあった。


 そうはいうものの、玲香の受けたショックは完全になくなることはないだろう。



 期末テストも終わり、街中が賑やかなクリスマスムードに包まれる頃。


 私たち三人は一階の応接に集まって思い思いに過ごしていた。


 不意に玄関のチャイムが軽快な音を発てて鳴った。


 私は立ち上がり、玄関へ向かう。


 今日、叔父さんは出勤日の筈。叔母さんは撮影の仕事が入っているし、こんな昼間に誰だろうと首を傾げてドアを開けると、そこには中野刑事が立っていた。


「こんにちは」


 挨拶する彼に、私は「なに?」と冷たく返す。


「え?だって、いつでも来ていいって」


 そうだ、中野刑事に電話したあの時、確かに私はそう言った。


「だからって本当に来ることないでしょう。信じらんない!」


 自分が言った事を思い出しはしたものの、彼に喰ってかかる。


「社交辞令に決まってんでしょ!大人なんだし、それくらいわかんないの?」


「酷い言いようだなぁ。大体、高校生が社交辞令を使う方がおかしいんじゃないの?」


「なんですって?」


 そんな風に言い合っていると、騒ぎを聞きつけた玲香とリズがやってきた。


「あ!中野刑事、いらっしゃい!」


 嬉しそうな玲香。


 その横でリズが

「沙織、もういい加減にしてあがってもらったら?せっかく来てくださったのに」

と腕を組んで呆れたと言わんばかりの表情をしていた。


「そうよ。さ、どうぞ!」


 玲香に腕を引かれ、なかば引きずられるようなかたちで中野刑事はリビングへと歩いてく。


 その背中に向かって、「ちょっと!後で絶対決着つけてやるから!」と私は叫んだ。


「どうぞ。受けて立つよ」


 中野刑事は一瞬振り返ると、まるでいたずらっ子のような表情をみせたのだった。



……end

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