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【完結】恋を知らずに死んだので、あの世で恋を買おうと思います。  作者: 稀葉


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閑話  決裁漏れ

「お、手続きに来たんだ?」

 

 エレベーターに乗り込んでいく男女を見送っていると、背後から声が掛かった。

 三途の手元を覗き込んだ青年は、男女の背中に視線を投げて、澄んだ硝子のような目を細める。

 

「収まるところに収まってなによりだ」

 

「なによりだ、じゃないんですよ。誰のせいだと思ってるんですか」


「……僕?」

 

「他に誰がいるんですか! 貴方の決裁漏れが原因ですからね?」

 

 睨めつける三途の視線を物ともせず、青年は喉の奥で笑う。

 

「まあまあ。だからちゃんと帳尻が合うように、三年ずらしてあげたじゃない」

 

 大変だったんだよ、と口を尖らせた青年に、三途は盛大に息を吐いた。

 

「あげた、じゃないですよ。そういうのを自業自得って言うんです」

 

「いやぁ、これでサイを選んだらどうしようかと思ったよ」

 

名前:寺門 柚

種族:人間

 

 提出されたばかりの書類には、几帳面な文字が綴られている。

 

「ま、雨降って地固まる、だね」

 

「降らなくていい雨を降らせないでください! まったく……ちゃっちゃとそこの書類、片付けてくださいね!」

 

 三途の言葉に、青年は「はいはい」と笑って席に着くと、山のような書類に目を通し始めた。

 


次回最終回です

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