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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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48話 湖にて

 アリサに怒られてから3日経った。

 その3日間は1階で主にトカゲを狩って『再生』を集めていた。

 ゴブリン達の新装備の分の『再生』は残っていた分と合わせて直ぐに集められたが今後、またなんかあった時の為に『再生』を集めたい気分だったのだ。

 まあそういう理由が半分と後は久しぶりに行ったら1階は凄く便利に感じてあまり下に行きたくなくなったのもある。

 1階だと移動時間が少なくて済むし敵が弱いし何より移動時間が短い。大切な事なので2回申しております。

 冷静に分析するとやっぱ相当、2階や3階に行くための移動時間と距離はストレスになっていたんだなと思った。


 まあだからと言っていつまでも1階で狩りをしているわけにもいかない。

 新しいスキルは手に入らないしレベルも上がりにくいので強くなるという点に関しては下に行くしかないのだ。

 

 と言う訳で今日からはまた3階で狩りをすることにする。

 亀が出てくるので行くのはかなり怖いしまだ亀と再戦する気にはなっていないが3階を避けてばかりもいられない。

 ただ前回の戦いで気が付いた事も多いので、きちんと亀対策を取っておけば前回のような窮地に陥る事はないだろう。


 前回の反省点はいくつかあるがまず一つ目は俺は亀を怒らせた。たったひとつの単純な答えだ。

 これによって亀は俺たちに襲い掛かって来たし執拗に俺を狙ってきた。

 原因は俺がメイスから力を飛ばして湖上で音を出していたせいでだろう。だから俺はバシャバシャ漁を止めるよ。

 バシャバシャ漁をすると簡単に蟹が群がってくるので狩りが簡単になるのだが亀が出てくる危険を考えると止めた方がいいという答えだ。


 あともう一つの反省点で言えば、『水魔術』に目がくらんで亀を倒そうと思ってしまったことだ。

 一度亀にメイスパワーをぶち込んで亀が甲羅にこもった事があったがあの時に逃げておけばあんなことにはならなかったのだ。

 次、亀に襲われるようなことがあれば隙を見て必ず逃げる事にする。どんなに『水魔術』が魅力的でもだ。きっと我慢で出来るはずだ、頑張れ俺、負けるな俺。


 後は亀に接近してしまったのも問題だろう。

 いまだにどんな攻撃を食らったか正確に分かっていないが接近しなければ俺が気絶するような攻撃は食らわなかったはずだ。

 意識を取り戻した時の状況から考えられることはおそらく水魔術で大量の水をだして俺を吹っ飛ばしたのだろう。

 あの前後は記憶があやふやなので正確には分からないが俺がずぶ濡れになっていてしかも遠くにいた事からそう考えられる。

 このことからも亀が出たら近づかずに一撃入れて甲羅にこもったら逃げるこれを徹底すれば大丈夫だろう。これが亀対策の全部だ。 


 そして今回の狩りについては完全に蟹狙いで亀はきちんと無視していく方針という事だ。


 じゃあ早速ダンジョンに行こう。


 全ての支度を終えたら冒険者ギルドに行く。

 ダンジョンにの入り口がある建物に入ると予想通り、部屋の隅で俺の事を待っている人がいるので向かう。

 アリサだ。

 あの日以来、アリサはこうしてこの時間帯にここで俺の事を待っている。

 アリサは他の仕事がある為、ダンジョンには入らないが俺の事を見送ってくれる。


 「今日は3階へ行こうと思ってます。」

 「・・・・・・」

 アリサの視線が鋭くなる。怖い。

 「絶対無理はしません。亀とは戦いません。」

 「・・・・・・・・・ならば良し。」


 そしてこうやって俺の行動を確認し、無茶しないか確認するのがアリサの日課となっている。

 有難いのだがこのやり取りは少々、恥ずかしい。

 ダンジョンの入り口で待機している門番みたいな冒険者が必ずいるのだが、その人たちから何時も生暖かい視線が送られてくる。

 「今日もお熱いね。その子の為にもちゃんと無事に帰ってくるんだぞ。」

 というか視線だけじゃなくて直で冷やかされる。恥ずかし。


 そんなやり取りをしてアリサと別れたらいよいよダンジョンに入っていく。

 目指すは3階だ。

 寄り道なしで一気に3階へ向かう。

 

 到着。

 久しぶりに3階への道を歩いたがやっぱり遠い、帰りは登り道になるので更に遠く感じる。

 3階でこれなんだから4階になったらどうなってしまうのだろうか。もう移動時間だけで1日を使いきってしまいそうな気すらしてしまう。


 まあとにかく久しぶりの3階なので、まずはリハビリがてらゴブリン達を軽く倒していく。

 うちのゴブリン達の実力も見てみたいので、やらせているが相手と体格が違いすぎるのでまったく相手にならない。

 クラスアップの前から楽勝ではあったのだがこれはもう瞬殺と言ってもいいくらい簡単に倒してしまう。

 ゲームで言えばその辺の雑魚敵でレベル上げしていたら、いつの間にか1撃で倒せるようになっていたような感じだな。

 ゲームならここでレベル上げしていても意味がないので次に行くのだが、これは現実でやり直しはきかないので慎重でやりすぎるという事はないだろう。

 お、なんか今凄いちゃんとした人間ぽくなっている。目指すべきはちゃんとした人間だ。


 ゴブリンを蹴散らしていたら湖のある3-3の部屋に着く。

 前回までなら直ぐにメイスに力を込めて水面に叩きつけていたが今日はやらない。

 まずは湖をぐるっと回ってみてそれでどれくらい蟹と遭遇するのか確認したい。


 そう思い、ぐるっと湖を回ってみたが蟹とは2回しか遭遇しなかった。1周は大体、1時間くらいかかったので1時間に2回だ。


 どちらも単体で湖の外を歩いているのに遭遇したのでみんなで寄ってたかってボコってやったのだが、なんだろう凄く物足りない。

 2体しか倒していないというのもあるし、単体だとどうしても簡単に倒せてしまうのでなんかなんだかなとなっている。

 本当なら安全に出来ている事を喜ばなきゃいけないのだが、何せ前回まで移動なしで一杯出てきて一杯倒せてるあの効率の良さと快感が忘れられない。

 

 思わず、メイスに力を込めてバシャバシャするバシャバシャ漁を再開してやろうかという気になったがアリサの顔を思い出し止めた。

 とにかく今日はバシャバシャ漁は止めようと思っているので今日はやらない。


 なんか今日はってついている辺り怪しい。

 自分で言っておいてなんだが自分の事は一番信用ならないので明日からはどうなるか分からないがともかく今日はやらないと決めているのでやらない。


 こんだけ自分に言い聞かせないと止められないとかどんだけ我慢がきかないんだよと思いながらまた湖を1周してみる。

 今日は時間的にもこの1周で最後だな。まだ来たばっかりな感じだが帰りの時間を考えるとこれくらいで帰らないとまずい。

 やっぱり3階へ行って戻ってくる移動時間が相当ネックになっているこれをどうにかしないと3階での狩りは本当に効率が悪いな。


 そんな事を考えながら歩いていると前方に大量の蟹が陸に上がっているのが見える。

 やったビックラッキー。蟹食べ放題じゃん。

 そう思い急いで蟹の群れの方に走っていく。


 すると蟹の群れの先で戦っている人の姿が見える。

 1人は金属を装備している大柄な見るからに騎士と言った人。

 そしてもう1人はその騎士にかばわれているかなり小柄で鎧なんかを付けていない女の子だ。

 この2人が蟹と対峙しており、さらにどんどん蟹が押し寄せている、そんな状況だ。


 これはまずいかもしれない。

 もしかしたら騎士は女の子を守りながら戦っておりこのまま行けば囲まれて大変な事になってしまうかもしれない。

 よしこれはチャンス・・・じゃなかった、人として、ちゃんとした人間として助けなければ。


 急いで彼女たちの元に駆けようと更に走っている速度を上げる。

 まずい彼女たちが蟹に囲まれてしまった。だがこっちももう着く直ぐに助け出してあげよう。

 そう思いメイスに力を込める。

 そして、「大丈夫ですか、今助けます。」

 そう声をかけようとした瞬間、バチィという音とともに辺りが光に包まれる。

 なんだ分からないが咄嗟に目をつぶってしまう。


 少しして目を開けてみるとそこには集まっていた蟹が全て倒れており、その中心に立つ彼女たちの姿がそこにはあった。

 

 どうやら彼女たちが今の攻撃をやったみたいだ。

 つまり全然、大丈夫で助けは必要なかったという事だ。

 

 「お嬢様。新手です。」

 騎士の人がそう言って女の子をかばうとこちらに剣を向けてくる。

 それは凛として透き通るような声で遠目では兜をかぶっていたので気が付かなかったがどうやらこの騎士も女性のようだ。

 

 女性であるという事に驚いてちょっとの間、呆けていたがこっちは急に近づいてきた集団でしかも俺以外は全員魔物という事でどう考えても怪しい。

 誤解を解かないと向こうに攻撃されてしまうかもしれない。


 「すみません。僕たちは冒険者です。たまたま通りかかって、それで大変そうだったので来ました。」

 咄嗟に言葉を出したのでかなりしどろもどろな説明になってしまった。

 「・・・・・・」

 女騎士さんはこちらを鋭くにらんでいるままだ。まずいもっとなにかうまい事説明しないと。

 「僕たち、怪しくない。大丈夫、心配ない。」

 やばい焦りすぎてめちゃくちゃ怪しい単語で喋るマンになってしまってる。やばいやばい。

 そんな風に焦れば焦るほどうまく言葉が出てこない。


 「エルザ、もうよい剣を下ろしなさい。その方たちは大丈夫でしょう。」

 そう言うと女騎士さんの後ろにかばわれていた女の子が前に出てくる。

 金色でウェーブがかかっているその髪は肩まであり、色白な肌に吸い込まれるような深い青の瞳を持ったお人形のような女の子がそこにはいた。

 その女の子は人形のような容姿には不釣り合いなほどの勝気な笑みをたたえていた。


 正にこれぞ強気系お嬢様といった感じだ。これでドリルの髪型なら完璧だったのに。

 そんな失礼な感想が彼女の第一印象であり、これが彼女との出会いだった。


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