69.じぃじの土産は遅れて到着した
叩きのめされ、大事な部分を切り刻まれ、一晩中石を投げられた罪人。当然ボロボロだった。顔なんて別人だ。一晩なのに、見分けがつかない程傷だらけで、窶れていた。自業自得だけどね。
キースにぃにのお膝に乗ろうと思っていたけど、じぃじが来たので優先順位が変更される。じぃじの膝は硬かった。でもフリルたっぷりの濃桃ドレスは、柔らかクッションの役目を果たしてくれる。お陰でお尻は痛くならない。
「クラウディア」
「何かしら、お父様」
「……趣向が足りぬぞ」
「ならば火炙りにでもしますか」
じぃじの発言にママとパパが反応する。趣向が足りないを直訳すると、手ぬるいになるの? 結構痛いし屈辱だと思ったけど。その旨を素直に疑問として口にした。
「じぃじ、あれで手ぬるいの?」
「かなり甘い。もっと厳しくいかんか! そんなでは我が孫として恥ずかしいぞ」
がーん。恥ずかしいの? え、本国の親戚はもっと苛烈なの?!
「火炙りはダメよ、パパ」
たぶん、正解じゃない。だって煙で苦しいけど、割と早く窒息すると思う。えっと、拷問って何があったっけ。
唸りながら考え込んだ私の頭を撫でながら、じぃじが知恵を貸してくれた。
「手足を細切れにしたり、牛に八つ裂きにさせるのもいいが……そうだな、今回はすり下ろそう」
そこからお祖父様の、人体の痛み知識披露が始まった。末端の方が痛いので、丁寧にすり下ろす。だが激痛に慣れて狂ったり、ショック死する可能性もあるので、何度かに分けるのが正解らしい。
……それ、孫娘に披露する知識なのかな? 得意げに胸を張るじぃじに首を傾げるのも失礼なので、大きく頷いて拍手しておいた。
「すごい、じぃじ! よく知ってるね。お勉強になったよ」
このくらいでいいかな。ここで思わぬ報告が入った。
「陛下、遅れていた荷馬車が追いつきました」
「ご苦労」
荷馬車……嫌な予感がする。じぃじの愉悦に満ちた笑みも怖い。世界を滅ぼす人って、こんな顔してるのかも。
「グロリア、土産が届いたぞ」
「お土産? ありがとう!」
ほっとした。なんだ、じぃじはお土産を荷馬車で……そんなに大きなお土産なんだね。じぃじの許可を得た将軍の指示で、荷馬車が処刑場に入ってくる。私の想像の倍くらい大きかった。
「じぃじ……何が入ってるの?」
「新しい拷問具……じゃなかった、処刑具だ」
到着した荷馬車は、軍用だった。兵士と物資を同時に運ぶため、とんでもない大きさと頑丈さを誇る。集まった民の注目の中、幌が外された。
ぎらりと日差しを反射する金属製の歯車が並んだベッド? ん……他に表現のしようがない。巨大まな板でもないし、何だろう。
「最新式だ、今後も活用してもらおうと思ってな」
いや、今後は使わないと思うよ。たぶん、今回の処刑までだけど、気持ちは有り難く受け取っておく。金属部分を溶かしたら、かなり使い出がありそう。
「準備に半刻ほどいただきます」
将軍が兵士に合図を出し、道具は馬車から下された。この処刑場に設置予定みたい。利用できるようになるまで、石打ちが延長された。




