65.物騒すぎる女子会
まず罪人を放置する。初日は食事を与え、二日目から水だけ。五日目には水も取り上げた。この状態で七日間無視する。罪人が泣き叫ぶまでこのままよ。尋問もしてあげないの。
「グロリアも結構容赦ないな」
「当たり前でしょう? 私の首を落とされたのよ! ちゃんと首が付いてるだけ感謝して欲しいわ」
即座に落としたっていいの。でもそれでは納得できない。あの時の怒りや苦しみ、悲しみ……すべての複雑な感情を処理できなかった。納得できないなら、とことん突き詰めていいよね。
残酷な処刑は良くないとか、そこまでする必要はないんじゃないかと思うなら、自分の首を落とされてみなさいよ。理不尽に婚約破棄され、人前で貶められ、辱められた。それだけでお釣りがくるのに、追加で押さえつけられた痛みに耐えながら、家族の目前で殺されたのよ。
腰に手を当ててじっくり説明したら、にぃには黙った。
「あの時は助けられなくて悪かった」
筋肉がなくてヒョロリとした文官だった兄キースに、あの場で騎士を振り切る力はなかった。お祖父様が鍛えた今なら、力づくで跳ね除けるかも。
「悪かったと反省したなら、メイベルを同じ目に遭わせないでね」
それでいいわ。お祖父様は忙しいので一時帰国……あれ? 同じ国内か。一時帰城で正しい? とにかく城へ戻った。またすぐに来ると思うけど。それまでに仕上げておかなくちゃ。
助けてくれたお礼も言ったし、ぶっとい筋肉の腕で遊んでもらった。凄いのよ、私とメイベルをぶら下げてもびくともしない。あの筋肉はもう芸術品ね。
「最終的にどうするんだ?」
「迷ってるのよ、この国って奴隷制度がないから。簡単に殺したくないけど、生き延びて幸せになられたら腹が立つの」
その意味で、奴隷みたいに酷使されて死ぬのが望ましいんだけど。なかなかいいアイディアが浮かばない。平民に降格したって、誰かが養う可能性もあるし。また悪さを企むかも知れないわ。悪党の中には懲りない馬鹿も多いから。
「奴隷制度はないが……家畜にしたらどうだ」
「家畜……」
豚とか牛のあれ? 鼻環を付けて外に繋ぐ。想像してみたけど、すぐに首を横に振った。
「ダメね、家畜って飼い主に恩恵をもたらすのよ? どう考えても穀潰しじゃない」
「ああ、そっか。雰囲気が奴隷に似てると思ったんだが」
にぃに、適当な発言だったのね。あ、メイベルに叱られてる。我が家は嫁まで女が強い。ふふっ、お祖父様の「うちの女達」を思い出した。あの表現、素敵だったな。
「でもどう処分しようかな」
「過去にあの男がしたことを、逆に与えてはどうかしら」
こてりと首を傾げた私に、メイベルは元公爵令嬢とは思えない提案をした。女を犯したのなら、二度と出来ないよう潰した上で犯させればいい。国を乗っ取ろうとしたのなら、あの男の持つ財産をすべて国民へばら撒けばいい。なんなら、国民が便利に使える労働力として酷使したらどうか。
貴族階級だった男は大して保たないだろう。でも、多少なり償って死ぬのも有りだよね。ドン引きしているにぃにをよそに、ママも加わって盛り上がった。女子会って楽しいね。




