表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】攻略対象×ヒロイン聖女=悪役令嬢  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/72

28.迫害されても助けたかったの――SIDE母

 この国は魔力持ちが殆どいない。言葉に魔力を込めることで、何が起きるのか。彼らは知らなかった。


 突然吹き荒れる魔力の嵐に耐えるのに必死で、誰も動けない。愚かで矮小な者達よ、私達の宝を奪った罰を受けるといいわ。高笑いが口をつき、建物が悲鳴をあげた。あちこちで壁や天井が崩れ落ち、下敷きになる者が現れる。


 死んでしまえばいい。奴らの魂を対価に、娘の復活を願う。その私の力を相殺したのは、グロリア自身だった。ほぼ魂だけの状態で、小さなお姫様は手の届く範囲を守ろうとしていた。


 傷ついた私の心を癒し、父や兄に降り注ぐ破片を砕く。付き合いのあった知人を救い、大切な友人を魂で包もうと手を広げた。この子は、あんな理不尽な殺され方をしても……小さなお姫様であろうとする。ならば、親として出来ることを成そう。


 中途半端な発動で回収した魔力は、発散できなかった怒りを示すように体内でチクチクと痛みを生み出した。王城を吹き飛ばし、参加した王侯貴族を皆殺しにしたら、スッキリしただろう。それが娘の願いと反するなら、母である私は叶えるために身を削る。そう覚悟した。


 数年は動けなくなる。魔力も使えないし、体の痛みで日常生活も不便になるはず。それでも良かった。回収した魔力を使い、娘の魂を繋ぎ止める。元から魔力量の多かったグロリアなら、王家の秘術で救えるかもしれない。


 瓦礫で足を潰され逃げ損ねた第二王子メレディスへ、光る魔法の矢を突き立てた。魔力で魂を砕き、その激痛に泣き叫ぶ怨嗟を変換する。近くにいた数人をすり潰し、グロリアを固定した。


 存在するだけで魂はエネルギーを発している。彼らのエネルギーを奪うため、丁寧にすり潰した。魔女の所業と疎まれ、一族が滅ぼされかけた原因の秘術だが、今の私にぴったりだ。迫害された我が一族は、武力を得て居場所を切り拓いた。


 今後、同じ迫害が起きるなら……この国を完全に滅ぼせばいい。居場所など、どこにでも作り出せるのだから。魔力を持つ私の暴走は、すでにお父様にも伝わったはず。グロリアの魂を固定した私は、そこで力尽きた。


 すぐ近くで倒れているメイベルの手を掴む。この子は、最後までグロリアの友であったから。涙に濡れた頬を包むように手を添わせたところで、意識が沈んだ。


「私はね、あの場にいた全員を犠牲にしても、あなたを助けたかったの」


 悲しそうに呟いたママには悪いけど、私は誰かを守った記憶はない。自分の首を見たのが最後で、今の体で目覚めてからの記憶しかなかった。


「残りはクリフォードやキースに尋ねなさい。きっと違う話を聞かせてくれるわ」


 すぐ近くで仕事の書類を片付けていたパパが、顔を上げる。だから目を合わせて頷いた。


「パパ、教えて」


 書類を纏めて積み重ね、パパは立ち上がった。大切そうに私を抱き上げ、膝の上に座らせる。背中に感じるパパの胸板は厚くて、寄りかかれば温かかった。


「私から見た事件は全く違う」


 切り出された声は、いつもより低かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ