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野原苺香の日常  作者: 一条ひかり


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7/7

通販生活と灯台下暗し

この話は「異世界のむつ市(最北端)へようこそ!」 128話のサイドストーリーになります。


苺香はネット通販をよく利用する。


仕事が終わった夜や休日になると、PCやスマホの画面を眺めながら定期的に「テーマとなる地域」を決めてお取り寄せを楽しむのが密かなマイブームだ。


「よし、今日は南九州を攻めるわ!」


そう意気込むと、大手通販サイトのページを巡り、気になる特産品を見つけてはポチッ。


さらに探求心が乗ってくると、現地にある各市町村の公式ホームページや観光協会の特設ページまでチェックし、地方の小さな醸造所が作る醤油やこだわりの地鶏、珍しい銘菓を発見しては嬉々としてポチッ。


「ふふっ、楽に産地の美味しいものが手に入るんだから、本当に便利な時代よね」


産地直送の箱が届くたびに、苺香は満足げにうなずき、至福の時間を噛みしめていた。


……しかし、苺香はひとつだけ非常に重要な事実をすっかり忘れている。


彼女が暮らしているのは、世界中のあらゆるモノが集まる大都市・東京だ。


有楽町や銀座へ出かけさえすれば全国各地のアンテナショップがずらりと立ち並び、ネットで送料をかけて取り寄せたあの醤油も地鶏も、目と鼻の先で普通に販売されているのである。


まさに灯台下暗し。


それに気づかずに数週間もすれば、また画面の前で「次は北陸の珍味を集めようかしら」とノリノリでポチッとしている苺香の姿があるのだった。

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