腕の中のミナミ
【ケイタside】
最近、気になる子が出来た。
親友のハルヤが住むアパートに住むミナミ。
失業していると言っていたミナミを、何気なくバイトに誘ったのがそもそもの始まり。
ハルヤの彼女、アカリと仲がいいらしく、時々4人で集まり遊ぶようになった。
自宅飲み会のたびに、酒のツマミとして美味しい料理を作ってくれるその家庭的なところに、気がついたら惹かれていた。
女の手料理に俺は弱かったらしい。
文字通り胃袋をつかまされたってやつ。
もちろんそれだけじゃない。
バイトも真面目にするし、なにより気が利く。
接客業なので、笑顔ももちろん大事だけれど、お客さんからの評判も良かった。
そんなある日、4人で海までドライブをしようと話が決まった。
朝早くから、ミナミとアカリで弁当を作ってくれた。
低血圧で、朝が弱いハルヤを後部座席にアカリと一緒に座らせる。
運転をする俺の隣には、ミナミが座った。
「気持ちいい風だよねー」
窓を少し開けると、外の風にのって、ふんわりいい香りがした。
ミナミのシャンプーの匂いかもしれないと思った途端、身体が熱くなった。
海に着いても、しばらく眠っているというハルヤと、ハルヤのそばについているというアカりを車に残し、俺はミナミを誘って海岸を歩いた。
「気持ちいいよねー」
さっきと同じことを言ってはしゃぐミナミ。
波打ち際まで行って、波が来ると楽しそうに逃げている。
ただそれだけの、なんてことのない一場面なのに見惚れてしまう。
「ケイタくんも一緒に遊ぼうよ」
ミナミに手招きされ、俺も一緒になって波と遊んだ。
と、そのとき急にミナミが俺の腕に飛び込んできた。
「どうしたっ?」
ドキンとしながらもミナミの身体を抱きとめる。
「あ、ごめんなさい。波が思ったより大きくって」
波から逃げた拍子に、俺の腕の中に倒れこんできたと言うことらしい。
俺の腕から放れようとするミナミを、気付いたらしっかり抱きしめていた。
「あ、あの、ケイタくん……」
小さく身じろいだものの、ミナミはたいして嫌がっていないと勝手に解釈した。
「俺……」
「私……」
俺とミナミは、ほとんど同時に言った。
「あ、何?」
「ううん、ケイタくんこそ何?」
「えっと……。あのさ、ミナミ」
顔を見ると照れ臭くて言えない。
俺はミナミの頭ごと胸に抱き寄せる。
そしてその耳元で囁くように告白をした。
俺の腕の中でミナミも小さくうなずいた。
こういう幸せな瞬間の1ページを、ミナミと一緒に重ねて生きてゆきたいと思った。
~Happy End~




