第三幕 出会い
「わあああっ!!」
「きゃあ!?」
俺は慌てて数歩後ろに下がった。
俺の目の前には一人の女子生徒が立っていた。白く綺麗な肌、不安げに潤んだ瞳、桃色の薄い唇。
不覚にも綺麗な人だなと思い、俺は少々ドキドキしてしまった。
「す、すみません。」
女子生徒が小さいながらも、とてもきれいな声で謝った。
「いや、こちらこそ、まさか人がいるとは思わなくて。」
俺はドキドキしたのを誤魔化すように言った。
「いえいえ…ところで、あの、演劇部の活動場所ってここであっていますか?」
女子生徒は消え入りそうな声で呟いた。
「「え??」」
俺と姉は、同時に声を上げてしまった。こんな廃れかけの演劇部に、入部希望者だと?
「なんだって!?入部希望!?ようこそ演劇部に!あなた、お名前は?」
姉はものすごい勢いで女子生徒に近づき、その白く小さな手を握った。
「あ、あのえっと、私、朝比奈桃子っていいます。1年生です。」
朝比奈桃子、素敵な名前だと思った。
「桃子ちゃん、よろしくね!!1年生だよね?何組?うちの湊くんも1年生なんだよ。あ、誕生日いつ?てかどこ住み?」
姉は朝比奈さんの手を握りしめたまま、質問攻めにした。
朝比奈さんは、きれいな黒い瞳を白黒させて困っていた。
「まてまて、姉さん。落ち着け。朝比奈さん困ってるぞ。いつまでもこんなとこに突っ立たせてないで、仲に入れてあげなよ。」
俺がそういうと、姉は我に返ったらしい。
「そうだね、桃子ちゃんこっちにおいで。」
そう言って部屋の中央まで歩きだし、俺がさっきまで座っていた座布団の前まで来て、その隣にもう一つ座布団を置いた。
「さ、桃子ちゃんどうぞ座って。」
「あ、ありがとうございます。」
朝比奈さんは、ゆっくりと部屋の中に足を踏み入れた。
「…あの、ずっと聞きたかったんですけど、お二人はどういう関係なんですか?」
朝比奈さんは座布団に座ると、すぐそう尋ねた。よほど気になっていたらしい。
「よくぞ聞いてくれました!!私は演劇部部長の郡山七海!こっちは2歳下の弟郡山湊!!」
姉はなぜか誇らしげに答えた。
「…どうも。」
「なるほど、ただの先輩後輩じゃなくて、兄弟なんですね。道理で親しそうなわけだ…」
朝比奈さんは腑に落ちたような顔をした。
俺は姉と仲がいいと思われ、少し恥ずかしくなってしまった。
そしてさりげなく一応仮入部に来ているだけの俺も部員の数にカウントされてしまっている。
まあ部員じゃないと言っていないからしょうがないのかもしれないが。
「さて、せっかく桃子ちゃんも来てくれたことだし、上映会といきますか。二人とも、こっちおいで。」
「上映会?なんの?」
「君たちの先輩が作った舞台の映像さ。」
姉がそう言うと、部屋の中央の大きな一枚の板に、映像が映し出された。




