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the beginning of next week

 僕の幼馴染、湊いろりは変わった子だ。協調性が欠けているし、話し方が女の子っぽくないし、いつも左手首に包帯を巻いているし。

 本当にこの世のものなのかと思うくらい綺麗だし。

 とにかく、いろりは僕が見たものの中で何よりも異彩を放っていた。


 僕らがあの幻想の街で目覚めたのは一年前の夏。

 それは唐突に訪れた。


 月曜日。

 僕らが立っていたのは学校の屋上だった。雨が体を濡らして、でも寒く感じなかったのは覚えてる。

 状況が理解できないのは同じだけどいろりは僕の手を引いて校内に入った。

 その後は雨が止むまで二人で机や椅子が散乱した教室で身を寄せていた。

 雨は夜が明けるまで止むことはなかった。


 火曜日。

 教室で目覚めるとハートの女王が僕らを静かに見つめていた。

「ごきげんよう?」

 彼女によると一年前の夜の世界はいわば試運転だったという。一年後、つまり今、正常に機能するかの確認ということだ。

 だが本来おもちゃと案内人以外の人間が手違いで沢山迷い込んでしまったらしい。僕らもそのうちの二人。

「まあ、………気楽になさってね…」

 そういって赤い唇の端を吊り上げて嗤う女王はものすごく不気味だった。


 水曜日。

「誰か来る」

 相変わらず教室で待機していた僕ら。いろりが窓の外を見ながら言った。

「女王の言っていた人たちだな…」

「何してるんだろうね?」

 僕も一緒に窓から外を見渡すと市街地の方から十数人が学校へ入ってくる様子が目撃できた。

 いろりはやけに真剣そうな顔つきで黙りこんだ。

「どうしたの?」

「………嫌な、予感がする。儚葉、隠れよう」

「……?まあ、わかったよ」

 そうして僕はいろりの言葉に従いこの日は身を隠していた。


 木曜日も金曜日も土曜、日曜も代わり映えのない日々だった。

 僕らは二人、誰にも見つからないように世界を探索したがこれといって発見はなかった。

 一週間が過ぎ、再び月曜の夜が訪れたが、僕らが夜の世界に行くことはなかった。

 一年前の夏、たった一週間。

 不思議なあの空間でわかったとこと言えば夢ではない、ことくらいだった。


 ソロモン・グランディ

 月曜日に生まれ

 火曜日に洗礼を受け

 水槽日に嫁をもらい……………。

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