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殺し屋の私が愛してしまったのはターゲットのポンコツ王子でした  作者: 焼きそばこっこ


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***

血の匂いが部屋の中に充満した。リゼリアは窓を開けて、涼しく爽やかな風を部屋の中へと入れる。窓の外を見ていると後ろから、エリオットがハグをして、彼の声がリゼリアの耳元で聞こえた。


「全部、話すよ」

「えぇ…」


リゼリアはエリオットの腕に手を添えて、ゆっくりと頷いた。エリオットはぽつりぽつりと口を開き始めた。


「…初めは、ちょっとした悪戯のつもりだったんだ。オースティンと僕は、小さい頃は髪と目の色は違うけど、顔はそっくりでね。たまに入れ替わって遊んでいたんだ。」

「そう」


リゼリアは小さく優しく相槌を打つ。


「でも、ある日、オースティンに変装した僕が、剣術の授業に出たことがあってさ。相手は当時の騎士団長だった。オースティンとして見られてるなら、多少派手にやってもエリオットは怒られないだろうって思って……そのまま本気でやって、騎士団長をボロボロにした。」

「うん」


「そしたら次の日からオースティンへの周りの態度が変わったんだ…神童だの、剣聖だのって、持て囃されるようになった。それでオースティンは味を占めた。」

「うん」


「それからは、剣術だけじゃない。学問でも何でも、僕と入れ替わって、自分の功績にした。エリオットとしては、出来損ないを演じろって言われてね。不思議と、それに対して怒りも湧かなかった。それが当たり前だと思ってたから。まあ、あいつも何もしてなかったわけじゃない。評価に見合うくらいには、剣も学問も身につけてたし。だから、誰も疑わなかったんだ。」

「えぇ」


「成長して、さすがに顔での入れ替わりは無理になったけど、今度は、人前に出なくてもいい功績を選ぶようになった。反乱軍の鎮圧とかね。ほら、鎧で頭を隠してしまえばわからないから…。思えば、僕が初めから拒否していればここまでオースティンは空っぽの功績に苦しむことはなかったんだろうな」

「…それは違うわ。選んだのはオースティンよ。それに、彼はあなたを苦しめるためだけに、何十人を殺した。これは彼の罪よ。あなたの罪は…」


リゼリアはくるりと回転し、エリオットの方を見た。


「私に、その秘密を言わなかったことよ。そして、それだけ。」

「でも、君にも秘密はあっただろう?殺し屋だって…」

「それは…確かにそうね。じゃあ2人で一緒に罰を受けましょう」

「あぁ。一緒に。」

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