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2050年、世界崩壊。二人の少年が、地獄と化した世界の運命を変える物語。【トゥエンティー・フィフティー・ベイビーズ】  作者: (冬ω冬)Win Poli(╹冬╹)


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Episode 2 :【名を与えし者】

「――その《拳銃型(けんじゅうがた)電磁光砲(でんじこうほう)照射装置(しょうしゃそうち)》には、3つのモードが搭載(とうさい)されている」


 斎賀(さいが)先生は、静かにそう口にすると、同じ拳銃(ハンドガン)模造銃(レプリカ)を持ち上げた。


「一つ目は、《休息(レスト)》。

 マガジンに何も装填されていない、いわばセーフティ状態だな。

 通常は、この状態で携帯するのが、理想だ」


 銃身を傾ける先生の手つきは、熟練者のそれだった。


 まるで、それが己の一部であるかのように、滑らかで正確だった。


「二つ目は《迎撃(ストライク)》。

 今のお前が持っている状態が、それに該当する。

 通常戦闘で最も使用される、基本モードだな」


 先生の言葉に合わせて、俺は手元の拳銃を見る。


 確かに、今の状態は、弾倉(だんそう)がセットされており、すぐにでも次弾を発射可能だ。


「そして最後が……《超新星(スーパーノヴァ)》」


 その言葉を口にした瞬間、先生の声に、わずかな緊張が走った。


「私が今から行う手順通りに、お前も操作してみろ」


 そう言うと先生は、グリップに組み込まれた、小さな歯車型のスイッチを押す。


 その動作だけで、内部のマガジンが緩み、弾倉のような形状のバッテリーが露出する。


 それは、通常の弾倉と違って、わずかに発光している。


 淡い光を帯びたそれは、まるで生命体のように脈打っていた。


 先生はその弾倉(バッテリー)を取り外し、拳銃の一番手前、撃鉄の真下にある別のマガジンスロットに、それを差し込んだ。


 俺も、先生の動作をなぞるようにして、再現する。


 すると――。


 ――ガチャッ。


 金属音が鳴った瞬間、拳銃のボディを駆け巡る照明が、激しい輝きを放つ。


 それと同時に、重厚感のある電子音が、耳をつんざく。


【Warning……Warning……】


 アラーム音と共に響き渡る、機械的な電子音声。


 ただならぬ雰囲気を感じた俺は、思わず身構える。


「バッテリーに内蔵された粒子エネルギーを大量に消費することで、絶大な威力のレーザーを照射することが可能なモード。

 それが、《超新星(スーパーノヴァ)》だ」


 先生の言葉は冷静だが、その眼差しは、明らかに警告を孕んでいた。


「おっと、今ここで引き金を引くなよ? 

 私も、お前も、この家も、全てが吹き飛んでしまうからな」

「……笑ってない目で、言わないでくださいよ……そういう冗談」


 先程のレーザーの威力が標準だというのは、どうやら誇張表現ではないらしい。


 誤って引き金を引いてしまわないよう、俺はバッテリーを外して、《超新星(スーパーノヴァ)》モードを解除。


《休息》モードに切り替わった拳銃は、音も光もスッと消え、再び沈黙を取り戻した。


「ム、名案を思い付いた」


 突然、先生が呟き、そして言葉を続ける。


夏神(なつみ)。それに、名前を付けたらどうだ?」

「……名前?」


 思わず聞き返す。


 武器に名前なんて、必要なのか?


「いちいち《拳銃型電磁光砲照射装置》と呼ぶのは面倒だろう。

 それに、名前というのは、ただの飾りではない。魂を宿す〝言霊(ことだま)〟なのだ」


 先生は、レプリカを静かにケースに戻すと、俺の目を真っ直ぐに見据える。


「――お前なら、それに何と名を付ける」


 唐突な問いに、言葉を失う。


 だけど、その答えは、すぐに思い浮かんだ。


 いや、心の奥から、自然と湧き出してきた。


「――《HERO(ヒーロー)》」


 自分でも驚くほど、迷いはなかった。


「こいつの名前は、《HERO》……。それが一番、しっくりくる」


 俺は、先生の威圧ある眼差しを、真正面から受け止めながら、言葉を重ねる。


「こいつは、俺の……信念の象徴。

 世界を変える英雄の、最強の武器にして――最高の相棒です」


 一瞬の沈黙の後、先生は目を細めて、微笑む。


「……成程。安直だが、お前らしい名前だな」


「……ありがとうございます」


 俺は、《拳銃型電磁光砲照射装置》――改め《HERO》を、引き金に通した人差し指を軸に、クルッと回転。


 そうすることで、銃身の重量の感覚を確かめた後、腰部に装着済みのホルスターに収めた。


(これから、よろしくな。《HERO》――俺の、相棒)

《次回予告》


「……しかし……どう考えても、普通の高校生に渡すような代物じゃないですね、これは」

「……それにしても、よくこんな物を作れましたね」

「……一つ、聞いてもいいですか?

 どうして先生は、ここまで俺に協力してくれるんです?」


次回――Episode 3 :【託された想い】

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