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2050年、世界崩壊。二人の少年が、地獄と化した世界の運命を変える物語。【トゥエンティー・フィフティー・ベイビーズ】  作者: (冬ω冬)Win Poli(╹冬╹)
【First Story of the Babies:《〝世界を浄化する地獄の花〟》】

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Episode 11 :【戦いを終え、今もなお雨は降る】

 ――俺は、勝利の余韻に浸るよりも先に、首元に下げていた〝Future-Phone〟を手に取り、ロックを解除。


 巨大蜂との戦闘映像が、ちゃんと録画されているかを確認した。


 ……よし、問題ない。


 大雨のせいで画質は悪いし、多少のブレはあったが、撃破の証拠としては、十分すぎる映像だ。


 なぜ、俺はそんな映像を記録していたのか。


 理由は、単純明快――〈御門(みかど)大江戸おおえど〉に入国するためだ。


〈御門大江戸〉と完全に隔離(かくり)されている〈アフターエリア〉だが、一つだけ繋がっているルートがある。


 その唯一の接点は、〈狭間(はざま)交信局(こうしんきょく)〉と呼ばれる場所だ。


 その〈狭間交信局〉は、『〈アフターエリア〉を警邏(けいら)する〝治安維持型フレンド〟の活動拠点』以上の意味合いはなく、〝トガビト〟――つまりこの場所に住む人間は、一切の干渉(かんしょう)を許されていない。


 ……しかし、こんな噂を聞いたことがある。


 アタッシュケースを抱えた何人かのトガビトが、そこを訪れた――そしてその後、二度と〈アフターエリア〉では姿を見かけられていない、というものだ。


 もしそれが本当なら、相応の代価さえ払えば、秘密裏に入国することは可能ということだ。


 眉唾物(まゆつばもの)の噂だが、信じてみる価値はある。


 つまり俺にとっては、今撮影した、この映像こそが、代価となるわけだ。


 《御門大江戸》の連中にとっても、《ヒューマネスト》は、驚異的(きょういてき)な存在のはず。


 そんなバケモノを、俺は単独で撃破した。


 となれば、充分戦力として認められる可能性はある。


 そう信じ、この動画を持っていく。


 それが、俺の次なる第一歩だ――。


 ――ピコン。


〝Future-Phone〟にロックを()けようとした時、ネスト速報のアプリから、通知があった。


DD(ディー・ディー)》の惨劇(さんげき)後、ここ〈アフターエリア〉では、公共の報道機関は、マトモに機能していなかった。


 しかし現在では、ネスト速報という、「現在確認されている《ヒューマネスト》の出現地や、被害状況などを伝達するシステム」がある。


 さらにこのアプリには、〝Future-Phone〟を所持している場合は、その現在位置と照らし合わせて、安全かつ速やかに避難できる、逃走経路を指示してくれる機能もある。


 もはやネスト速報の存在は、〈アフターエリア〉で生活する人間の、生命線とさえ言えるだろう。


 そのネスト速報から通知が来たので、「まだ近くに《ヒューマネスト》がいるのか」と身構えるが……どうやら、ネスト速報が伝えたいのは、別のことらしい。


 気になったのでアプリを開いてみると、


『〈速報〉〝謎の白髪(はくはつ)剣士(けんし)〟、またも見参!

 その正体は、敵か味方か!?〈必見〉』


 ……というタイトルの記事が、ページの一番上に掲載けいさいされていた。


 ――〝白髪の剣士〟。


 どこからともなく現れ、《ヒューマネスト》を撃退しては、瞬く間に姿を消す。


 1年ほど前から存在が確認され、度々(たびたび)話題に上がる、謎の人物。


 しかし、その目撃証言は、正直言って、どれも決定打に欠けるものばかり。


 「少年だった」と唱える者もいれば、「女の子に見えた」、はたまた「人間のフリをした何かだ」とさえ言う人もいるからだ。


 確かに共通しているのは、純白の髪と、日本刀を(たずさ)えているという特徴。


 そこから〝白髪の剣士〟と、いつしかそう呼ばれるようになった……らしい。


 せっかくの機会だから、もう少しこの記事を、読み進めてみることにしよう。


『今から三十分ほど前、AE-B-G13地区で、砲台を背負った巨大ネズミと戦う、白髪の剣士が確認された。

 剣士は、漆黒(しっこく)の刀で砲台ネズミを()()いた後、またもどこかへと去っていったという。

 神出鬼没(しんしゅつきぼつ)剣士けんしの目的は、何か?

 果たして彼は、あるいは彼女は、人類の味方なのか?

 我々も調査を試みているが、未だ真相は、全て謎に包まれたままである。

 白髪の剣士は、これまでも幾度(いくど)となく、《ヒューマネスト》を撃破してきた。

 我々は、彼、もしくは彼女が、〈アフターエリア〉の守護者(しゅごしゃ)であることを、願うばかりだ……』


 ……という(むね)の記事本文を読み終え、俺は〝Future-Phone〟のロックを()ける。


 そして、《HERO(ヒーロー)》をクルクルと回転させた後、ホルスターに納めた。


 そのまま俺は、薄暗い雨雲を、ふと見上げていた。


 ……昔、母さんが言っていた言葉を、思い出す。


 花にとって雨とは、成長を(うなが)す恵みであると同時に、大地を腐食し、太陽を覆い隠す、脅威でもあると。


『残酷な世界の(ルール)叛逆(はんぎゃく)し、この世界を根底から変えてみせる』。


 そんな過酷な道を歩み始めた俺を歓迎したのは、焼け焦げた大地の熱を冷ます……そんな雨だった。


『願わくはこの雨が、恵みと祝福の雨であると、信じたい』。


 雨に打たれたせいか、どこかセンチメンタルな感情を抱いたまま、俺は〝俺達〟を拒絶(きょぜつ)する地平線の防壁(ぼうへき)へと、向かった――。



 ――今日という〝運命の日〟、俺は斎賀(さいが)先生から託された《HERO》と共に、未来への一歩を踏み出した。


 そしてこの瞬間から、本当の意味で、俺の人生という物語は、始まりを告げる。


 そう、これは、地獄で咲いた一輪の花が、腐り切った世界を浄化する物語――。


 ----------


 人間(ひと)と花は とてもよく似ている

 どちらの命も (はかな)く散る (もろ)いもの

 世界は そんな僕らを「無様だ」と嘲笑(わら)


 それでも僕は 雨にも負けず 風にも負けず

 凛と咲き誇る美しさを 信じていたい


蓮元(はすもと) 夏神(なつみ)


 ----------

《次章&次回予告》


《俺は、次なる目的地である〈狭間交信局〉へと向かう。》

「……じーっ……」

《……ところで、物陰にいるあいつは、いったい何がしたいのだろうか。》


 次章――【出会いと別れ、それは新たな運命の幕開け】

 次回――Episode 12 :【物陰に潜み、覗く影】


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 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!


 物語を最後まで見届けてもらえたこと、心から感謝しています!


 もし少しでも心に残ったものがあれば、

一言だけでもレビューや応援コメントをもらえたら、とても励みになります!


 それでは、また次の章で、お会いしましょう!


 「【T.F.B】の物語が、あなたの人生に、小さな輝きを届けられますように!」

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