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塩対応のクラス委員長が俺の嫁になるらしい。  作者: 白ゐ眠子
第五章・ここから先が大変だと思う。
131/131

第131話 隠れ縁者多過ぎ問題発生か。

 難しい顔の(さき)に黙らせられた俺氏。

 まさか、お義母さんが尼河(にかわ)家の関係者だったとはな?

 (さき)のスタミナお化けの由来が判明したはいいが、


(さき)(あかり)とも縁者ってことか……)


 別の意味で困惑した俺であった。

 それは以前、(あかり)の親父さんが(さき)に対して言っていた事。


『長い付き合いになりそうだな』


 とは、白木(しらき)の姪っ子がこんなに大きくなっての意図もあったのだろう。

 (あおい)や生徒会に限らず、血縁的にも長い付き合いになるのは確かだ。

 関係者と明かすと面倒になるから問われるまで教えないだけかもしれないが。

 一方、(さき)は自身が体験した獣の制御についてお義父さん達に説明していた。

 難しい顔は混乱もそうだが、間違いなく伝える(さき)の責任感のようなものが感じられた。

 スタミナお化けで怒ったとも取れるが、褒め言葉だからな? これ。


(いや、女子に使う褒め言葉ではないか)


 同じ言葉を(あおい)に言っても怒られる気がする。

 それはともかく、


「私は当分、嫉妬した事がないから判断出来ないが」

「そうね。ほぼ枯れていると言っても過言ではないし」

「あ、ああ。うむ」

「いや、まだ現役だろう?」

「三人目が欲しいと願ってはいるのですけどね。腰が保たないって」

「そ、そうか。耀子(ようこ)のスタミナお化けは健在か」

「「ぶっ!」」


 おいおい、(あかり)の親父さんが明言したし。

 (さき)のスタミナお化け、母親譲りであると。


「兄さん、その呼び名はちょっと」

「あ、ああ。すまん」

「デリカシーを覚えて下さいね。(あき)君も」

「うっす」


 ああ、(さき)への発言を聞かれていたか。

 やはり、女の子にする発言ではないわな。


「この人が嫉妬する事案は仕事面くらいでしょうね。夜は私の独壇場ですけど」

「「「「……」」」」

「それにこの人は(しゅん)のようなムッツリではないから、酷くないわ」

「私って父さん譲りなのね?」

「そうなるだろうな」


 まぁオープンではあるわな。

 結構、人前でも平然と下ネタを発するから。

 (さき)を見ると、この両親に、この子有りって感じだ。


(例外は(しゅん)さん、か?)


 オープンとムッツリの形成は生活環境が左右するだろうから、ムッツリになるだけの何かが(しゅん)さんに有ったとしか思えない。

 (あおい)のムッツリは性格的な物があるだろうがな。


「あの子も男子校に通わせていた事が間違いだったとしか思えないわね」

「そうだな。公立に通っていたら、また違った感性になっていたかもな」

「私、途中まで女子校だけど?」

「あの女子校は閉鎖空間だから論外だ。内部は百合色に染められているが」

「そうね。男子校はムッツリとなるべき空間が拡がっていたとも、とれるから」

「そうだな。俺もあの男子校出身だが、勉学一辺倒とスポーツ一辺倒でそちらの情報は封鎖されていたも同然だった。俺は適度にガス抜きしていたが」

「遠方から公立に通っていた市河(いちかわ)さんと良い感じになってね?」

「そ、そうだな」


 となると規律が酷すぎてもダメか。

 そんな厳しい環境で上手くガス抜きが出来た者と出来ない者とが分かれると。


(しゅん)さんは出来なかった方に居たのかもな……)


 そこに次期経営者という重圧もあった。

 旧姓、優木(ゆうき)李依(りえ)という、やり手の婚約者も居た。

 白木(しらき)の一族、同一世代で男は自分一人。

 一応、一人だけ居たが、それは托卵で論外。

 (さき)も俺に嫁ぐ立場だから家の経営には関わらないしな。

 (さき)の報告を聞いていたお義父さん。

 簡単な報告書を認めて白木(しらき)の研究機関に書類を送信していた。

 一族でも研究される嫉妬の獣の性質か?


(一体、何処で湧いて出た性質なんだか?)


 こればかりは一族の遺伝子を調査しない限り分からないかもな。

 今後、制御法が確立すれば相手を死に追いやる状況も激減するだろう。

 ムッツリかオープンかで違いが明確なんだけど。

 (あかり)の親父さんは安堵した様子で本邸から出ていった。

 このまま(あかり)達の様子を見て、家に帰ると言っていた。

 俺もお義父さんから工具を借りていたので、


(久方ぶりの家族の会話か。親子とはこうあるべきだな)


 (さき)をお二人に預けて駐輪場へと向かった。

 これから俺が行うのはサイドカーの取り付けだな。


「先につなぎを着るか。ご丁寧に用意されているし」


 取説を読みながら工具を用いてサイドカーと車体を繋げる。


「安全を担保するならこれがベストだよな。二人乗りは転けた時が大変だから」


 繋げて問題無いか把握して、つなぎを脱いで工具片手に室内へと戻った。

 つなぎは駐輪場に置かれていた籠に収めるだけで良かった。

 この後、邸宅の職員が回収してクリーニングに出すのだろう。

 俺が室内に入る前に回収していった姿が見えたから。

 工具を家令に返し、ジャケットを羽織りながら(さき)の元へと向かう。


「あはははは。結局、由真(ゆま)ちゃんは意中の相手と交際したのね」

「え? なんで知ってるの? 由真(ゆま)のこと?」

「ん? ああ、間仲(まなか)家には三番目の姉さんが嫁いだからな」

(さき)にとっては三番目の伯母さんだけど、由真(ゆま)ちゃんは娘よ」

「はい?」


 そこで驚くべき話題が繰り出されていた。

 間仲(まなか)白木(しらき)に関わる家なのか?

 それ以前に母方の実家が白木(しらき)だって知らないだろうな。


「なら、(いつき)家は?」

(いつき)家は無関係だ」

「そうね。(いつき)家は一般家庭ね」

「そうなのね。なら、山田は?」

「一般家庭よ。彼は一人暮らし中みたいだけど、大家が間仲(まなか)家ね」

「あの二人って、そういう繫がりがあったんだ?」

「大家の娘と懇意になっただけね。妹も狙っていたから、どうなることやら?」

「……」


 山田って姉妹からモテモテなんだな。

 姉と付き合うから妹は可愛がられるだけか。

 今回は間仲(まなか)家が被害に遭ったから、調査に入ったのは納得か。

 宿の干渉については一日目は爺達が願ってきた。

 俺の爺さまも嚙んでいた、孫可愛い、だからな。

 二日目は姉が盗撮事案を知ってお願いしてきた。

 伯母そのものが警備部の上役らしいから。


「それと女子校の警備員については半年の減給だな」

「それだけなんだ。もっと厳しい沙汰があると思った」

「優秀ではある。融通が利かないだけでな? 今回は急な予定変更もあったから」

「そうね。貴女達が関わった女子校内の盗撮事案が遠因でもあるし」

「ああ、あの件が各所に波紋を投げかけたと?」


 盗撮事案で男性職員への不信感が噴出し国内に変更したと。

 元々立てていた警備計画が頓挫し新しく立案して大失敗と。

 問題はお嬢様方が自由気ままに動き回った所為かもな。

 (さき)瑠璃(るり)が自由気ままだから願った者が多かったのかもな。

 だが、少数と大多数を一緒くたには出来ない。

 警備員達も頑張ったのに減給とはやりきれないだろう。

 今後は看板を背負っていることを自覚して欲しいよな。

 何はともあれ、入口で佇んでいた俺にようやく(さき)が気がついた。


「あっ」

「ども」


 お義父さんとお義母さんはとうの昔に気づいていたが。

 真剣に会話していたから邪魔したら悪いと思ってな。

 お陰で色々な事情が判明し心から安堵した俺だった。

 そうして俺は(さき)をお二人から預かり、


「サイドカーありがとうございます」

(さき)の安全のため、だからね」

「ここに向かう間は二人乗りでしたけど」


 暖機運転を行いながら(さき)をサイドカーに座らせた。

 その間にお義父さんと色々会話したけどな。


「長距離を走るならそれがいいだろう。これから先、乗るとしたら」

「そうですね。秋口と春先くらいでしょうか」

「寒くなるからね。その時は自転車か」

「来年は自動車免許も考慮しています」

「学科が無い分、楽ではあるか」

「そうですね」


 一方、(さき)のお母さんは柔らかそうなクッションを(さき)に手渡していた。


「大丈夫とは思うけど、これを敷いておきなさい」

「これは?」

「クッションよ。お尻を護るために必要だからね」

「そうなのね」

「自転車とは違うから真っ赤に腫れることはないけど」

「うぅっ」


 それと取り付けたサイドカーは雨天時に屋根が張れる代物だった。

 俺は雨合羽を羽織ればいいが、(さき)だけはそうはいかないから。

 何から何までお世話になりますって感じだ。

 その後、白木(しらき)本邸を出発した俺は、


「ちょっくら、高速乗るぞ」

「高速ぅ!?」


 近隣の高速道路へと入り、速度を引き上げながら都心まで走っていった。

 唐突な長距離ツーリングとなったが、十分楽しめたよな。


「まさか、数時間後に、こんなところまで、来るなんて?」

「デートスポットでもあるから、楽しめるだろう?」

「それは、そうなんだけど、ね……あ! イルカだぁ!!」


 俺が選んだ場所は海沿いの水族館だった。

 本当ならハム王国に向かうべきだが旅費が無かったからな。

 修学旅行の後に大規模な遊園地に向かう予算など無かった。


「ショーを見る時間が無いから、程々でな」

「そうだね。地元に戻る時間も必要だから」


 二人で館内を見回っていると、


「「あっ!」」

「「ふぁ?」」


 正面から見覚えのあるカップルが歩いてきていた。

 それはつい先ほど話題に出ていた間仲(まなか)と山田のカップルであった。


「ん? んんんんん?」

「ちょ、ちょっと! (さき)、近いって! お尻に寄り過ぎ!」

「ほぉ。これが……そういう違いかぁ。なるほどね」


 (さき)間仲(まなか)の尻をじろじろと見ては頷いていた。

 一方、山田の方は何処か清々しい姿に見えた。


「ん? お前、まさか?」

「ああ。由真(ゆま)は凄かった」

「そ、そうか」


 というか改めて思ったのだが、間仲(まなか)は母方といえど白木(しらき)の娘だから、オープンな性格から判断して……居るよな?

 なので俺は気になったことを山田に問うた。


間仲(まなか)って、嫉妬深くないか?」

由真(ゆま)が? ん〜?」

「なんだ、その長考は?」

「お、思い当たる節がありすぎて、どれが嫉妬か分からない」

「おい」


 ということは、だ。

 妹もその気があるってことか。


「妹はどうだ?」

「その話はノーコメント」

「あるのか。血を見たのは?」

由真(ゆま)だな。俺が原因だけど」

「その話じゃねーよ」

「違う? ああ、まぁ……あの姉妹のキャットファイトは壮絶とだけ」

「そうか」


 ガチで白木(しらき)の気が出てるわ。

 どちらもオープンならば制御は容易い。

 妹がムッツリなら南無と山田を拝むしかない。


「ところで妹はムッツリか?」

「なんで知っているんだよ?」

「南無」

「なんで俺を拝むんだよ?!」


 勿論、寿命的な意味で。




翌日には山田が喰われたの(´・ω・`)?

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